20 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:皇仁庭 高麗壱越調


全体でE Ionian modeで演奏するように変更。以前のものは琵琶だけE Ionian、他はE Mixolydianだった。


この曲は破と急の2楽章から成る。
教訓抄によるとその急には小踊り(こをどり)という舞いがあった。氏族によって舞う回数が異なるが3-5回程度舞っていたらしい。
”小躍りする”の語源だろうか?

破はゆっくり、中くらい、速いテンポで演奏されたらしい。速いのが京様、中くらいが奈良様だった。

フレーズを繰り返す箇所をエコーの様にしてみた。

Youtubeに動画があった。
2倍速で再生するとちょっとおもしろい。
青色と黄色の面を着けて舞うらしい。頭の後ろに見えるのが牟子だろうか?面を着ける時にかぶる帽子らしい。この青と白のボーダーが三重県鈴鹿市、四日市市を中心に活動する獅子舞の背中の模様と被っている。これは影響があると思う。左方楽の方ではこの柄を見たことがない。

2倍速で再生しても僕が作った音源の旋律に近づいているとは思えない。

古譜にある元の旋律を下敷きにして、それを長く伸ばして吹いて、その上に新たに旋律を付け足すという作曲技術は西洋でも発達した。それをカウンターポイントとか対位法という。
現在の日本の雅楽もそうやって発展してしまい、元の旋律を忘れてしまったのではないだろうか?
僕が読んでいる笛の古譜は室町時代位のもので、曲にもよるがとんでもなく込み入った譜が書かれていたりする。とても箏にある元の旋律を生き生きと演奏できないようなゆっくり過ぎるテンポで演奏しないと完全には吹けないような代物。