28 Jan 2021

雅楽の古譜を読む:最涼州 沙蛇調

 

箏譜と琵琶譜は四拍子に見えるが、笛篳篥は8拍子に見える。元々は四拍子だったのだろうが、かなりテンポを遅くして、笛が装飾過多になった例に見える。

8拍子と4拍子の打楽器を付けてみた所8拍子の方が合っているように聞こえる。

雅楽の古譜を読む:壱徳塩 沙蛇調

 

教訓抄によると古楽に分類されているが鞨鼓を叩く。

箏と琵琶には楽拍子バージョンも掲載されている。

雅楽の古譜を読む:安楽塩 沙蛇調

 

”塩”とは楽曲の構造のことか。

壱徳塩とよく似ている。

箏、琵琶譜共に楽拍子が掲載されている。

雅楽の古譜を読む:十天楽 沙蛇調

 


教訓抄には東大寺の講堂供養の時に天から天人が十人下りてきて花を供えたので、曲を作ったと書かれている。当然そんなことはない。

笙譜伏806にはNatural Cが出てくるが、C#に置き換えた。

雅楽の古譜を読む:酒清司 壱越調

 

酒胡子のように短い曲。

琵琶譜はD lydianだが、D mixolydianに直した。

雅楽の古譜を読む:壱団矯 壱越調

 

左方楽にしてはテンポの速い曲。


笛譜伏872に他の楽器に合わない箇所がある。修正可。

教訓抄によると”早物四々々”とある。”四々”なら只拍子四鞨鼓なのだが。

11世紀頃に琵琶譜から笛譜が作られた。復曲されたのか?



雅楽の古譜を読む:河曲子 壱越調


 教訓抄には別名として”歌曲子幔”が上げられており、この幔は舞姫の名らしい。ということは女性が踊った舞いということか。


註大家龍笛要録譜の譜は前半の繰り返しの記譜がないが、こちらの方が教訓抄の拍子と合う。

他の楽譜には繰り返しが書かれていた。この音源動画では繰り返し有り。

古譜には小さな誤りが見られるがどれも補正できるレベルのもの。

雅楽の古譜を読む:廻杯楽 壱越調

 

”かいばいらく”

笛にグリッサンドが多用されている。

遠楽ではないがYoutube上に他の動画を見つけられない。

琵琶に楽拍子バージョンがある。歴史的には楽拍子の方が主に演奏されていた時期があるらしい。

雅楽の古譜を読む:北庭楽 壱越調

 

鎌倉時代の音楽書の教訓抄にはわずかな説明しかない。太鼓のパターンとか。小節数とか位。

古譜には少々の記譜上のミスがあるが、他の譜を参照すれば修正できる小さなもの。琵琶譜ではC#が用いられているがこれは箏のモルデントに合わせるためと思われる。僕の音源では木管楽器が箏のテーマをユニゾンで吹く時もこのマナーに沿わせている。

笙の譜は単音の旋律が書かれているのを伝統的中華マナーにおいてハーモナイズした。これは単純なルールで書かれている音の完全5度上の音を付け加えたり、さらに書かれている音のオクターブ上を付け加えるというもの。楽器の音域上オクターブしたへ付加する場合がある。


この曲は廃絶曲ではないらしい。Youtubeにも幾つか動画が上がっている。

古譜を読んで作った曲と同じ曲には聞こえない。古譜の箏譜に基本的な旋律が書かれているのでそれを見ながら聞いてもどこを演奏しているかわからない。これでは平安時代から続いている雅楽と言えないのではないか?別の曲に聞こえる。