24 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:古鳥蘇 新鳥蘇 高麗壱越調 改訂版

古鳥蘇


新鳥蘇


どちらも音階をE Ionianに設定した。というのは琵琶がE Ionianで書かれているから。琵琶の調弦はE MixolydianとE Dorianが同じ調弦でE MixolydianとE Lydianの違いが第7音でこれは箏の調弦には含まれていない音で左手の技法で作り出すから、E Ionianで演奏することが可能と思われる。


古鳥蘇の方が単純だが、たいして変わらない。5拍子の小節を含む古鳥蘇の方がノリが悪かったかもしれない。そこを改良したのか新鳥蘇では5拍子の小節は極々わずかしかない。

雅楽の古譜を読む:犬 破 急 高麗壱越調 改訂版


この曲は以前に動画にした。 

雅楽の古譜を読む:犬 破 急 高麗壱越調

法政大学で教鞭をとるスティーブンGネルソン教授の指摘を受けて、譜面の誤読箇所を修正したバージョン。

この曲は小節数によって3つ程の版があるが、笛の譜と小節数が合う基政説を採用している。

以前との大きな違いは音階。以前は琵琶はE Ionian、箏と笛はE mixolydianだった。これでも聞けないわけではないのだが、E Ionianは断然聴き易い。Ionianは長調の音階なので現代人の耳に慣れているからかもしれないが。


高麗壱越調自体がE Ionianスケールということになる。唐楽にはIonianすケースは無く、Mixolydian、Dorian、Lydian、Aeolianがある。そしてそれぞれに調弦方法がある。その調弦方法を用いて高麗曲の調も演奏するわけだ。それ故最も長調に近いMixolydianかLydianを適用して、半音でぶつかる第4音と第7音をトリルしてごまかすという手法が用いられているのではないかと考えていた。

Notationソフトの使い方にも慣れていなかったし、頭のメモリをめいいっぱい使っていたので方針を変えるという事ができずにいたというのもある。

2020年12月23日の時点で間違いはあるにしても高麗曲の全曲を読んだので、傾向は把握できた。もらった助言の活かし方も分かってきたので、修正版を作ってアップしていく。

23 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:新鳥蘇 高麗壱越調


改訂版。音階がIonian mode。序部分にパーカッションを追加。琵琶がIonian modeなのでそれに合わせた。


古鳥蘇の新しいバージョンらしい。

古鳥蘇の場合は5拍子+4拍子という構成だったが、新バージョンでは4拍子に統一されている。しかしテーマが5小節から成り、最終的には4小節から成るテーマで終曲する。

テーマをに3つのバリエーションを設けて、5小節から成る1と2を破に用い、4小節からなる3を急に用いる。長い換頭が用意されているがそれらは同一。1と2の間で演奏されるBridgeには2種類あって、1つは5拍子が挟まっている。


教訓抄によると序破と急にわけて演奏していたらしい。楽曲構成上は序は3小節程の長さしかない。破はテーマが5小節からなり、急は4小節から成るというだけで、唐楽の序破急に比べると技術が足らなさ過ぎる感がある。

 短い曲をループして演奏するという高麗楽のパターンを踏襲して、それに工夫を加えたように見える。




Youtubeに舞い付きの動画があった。

しかし、三重県の多度雅楽会の動画しかない。
この面が一体どういう意味の面なのか?

こういう不出来さというか単純さが残っているところが民衆の音楽へ影響を与え易かったのかもしれない。三重県北勢地区の獅子舞の曲楽曲構成に共通するところがある。

21 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:古鳥蘇 高麗壱越調


 ”ことりそ”

短い曲なのだが、繰り返しにバリエーションが設けられていて長い構成になっている。

篳篥と笛の譜は4拍子のみで書かれている。これに対して箏と琵琶は2回目の繰り返しまでは5+4拍子で書かれている。3回目の繰り返しからは4拍子のみになっているので、篳篥と笛は3回めの繰り返しから用いられると考えられる。


この5拍子が入っている意味がよく分からない。3回めの繰り返しにある4拍子だけの構成の法がわかりやすくて良いと思う。5拍子を用いるおもしろさがあったハズだが、それは何なのか?


Youtubeに新鳥蘇の方は動画があったが、古鳥蘇はなかった。

20 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:皇仁庭 高麗壱越調


全体でE Ionian modeで演奏するように変更。以前のものは琵琶だけE Ionian、他はE Mixolydianだった。


この曲は破と急の2楽章から成る。
教訓抄によるとその急には小踊り(こをどり)という舞いがあった。氏族によって舞う回数が異なるが3-5回程度舞っていたらしい。
”小躍りする”の語源だろうか?

破はゆっくり、中くらい、速いテンポで演奏されたらしい。速いのが京様、中くらいが奈良様だった。

フレーズを繰り返す箇所をエコーの様にしてみた。

Youtubeに動画があった。
2倍速で再生するとちょっとおもしろい。
青色と黄色の面を着けて舞うらしい。頭の後ろに見えるのが牟子だろうか?面を着ける時にかぶる帽子らしい。この青と白のボーダーが三重県鈴鹿市、四日市市を中心に活動する獅子舞の背中の模様と被っている。これは影響があると思う。左方楽の方ではこの柄を見たことがない。

2倍速で再生しても僕が作った音源の旋律に近づいているとは思えない。

古譜にある元の旋律を下敷きにして、それを長く伸ばして吹いて、その上に新たに旋律を付け足すという作曲技術は西洋でも発達した。それをカウンターポイントとか対位法という。
現在の日本の雅楽もそうやって発展してしまい、元の旋律を忘れてしまったのではないだろうか?
僕が読んでいる笛の古譜は室町時代位のもので、曲にもよるがとんでもなく込み入った譜が書かれていたりする。とても箏にある元の旋律を生き生きと演奏できないようなゆっくり過ぎるテンポで演奏しないと完全には吹けないような代物。







19 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:退宿徳 高麗壱越調


琵琶がE Ionianで書かれているので、それに統一してみた。前回の音源で最後が笛がテーマに戻るところが変奏していたので、それも修正。


 Youtubeには動画がない曲。先の進宿徳と似ている。

こちらは面が白くて老人に見えるらしい。後ろへ走りながら舞うところから「退走禿」と名が付いたという。

舞台を廻りながら舞った例もあったらしい。旋律の中間部分が短いフレーズの繰り返しになっているところが特徴的。この箇所で後ろへ下がり左右を見る振り付けが繰り返し行われたのか?

これに対して「進走禿」の方は前へ走りながら舞うということか?


これら宿徳は”盆踊り”等みんなで輪になって踊る舞いの元ではないのか?合いの手が入るところは進宿徳よりわかり難い。

雅楽の古譜を読む:進宿徳 高麗壱越調

 


全てのパートをE Ionianで演奏させた。この曲の調は高麗壱越調で唐楽の壱越調D mixolydianが全音高くなったと解してE mixolydianと考えていたが、琵琶はE Ionianで弾いているのでこれに合わせた。

篳篥の譜がない。

これは「若舞い」とも呼ばれるそうで、「退宿徳」という曲もある。

合いの手のようなフレーズが面白い。雅楽に合いの手があったとは考えもしなかった。

Youtubeには動画がなかった。これは廃絶曲ではないと思うが。


1曲が割と長い。そして演奏するテンポがゆっくりめ。これは笛の古譜がかなり込み入ってかかれているので、これくらいのテンポにしないととても吹けないから。


14世紀位はテンポがゆっくりになって笛が込み入った感じになっていたらしい。

18 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:狛鉾 高麗壱越調

以前のものは琵琶がE Ionianで演奏されていた。他の楽器はE mixolydian。新しい版ではすべてE Ionianで演奏している。

 ”こまぼこ”と読む。

宮内庁雅楽部の動画があった。

2倍速で再生するとちょっとおもしろい。演奏は趣味の団体とは違いますね。最後の方だとちょっとおもしろい。お祭りの囃子みたいに聞こえる。

この曲は18小節のものと22小節のものがある。18小節の方は曲の終わりが属音になっていて半終止になってしまう。
22小節のものは主音で終わる。これは18小節のものに冒頭の4小節に似たフレーズが付け加えられているように見える。
そこで僕が古譜を読んで音源化した版では冒頭の4小節を付け加えて曲を終えるようにした。

僕の作った音源にしてはテンポが遅い。それは笛の古譜にあるメロディが、この曲の旋律が快適に聞こえる位のテンポでは到底演奏できない位難しいからだ。凝り過ぎだと思う。しかしながらこれが演奏可能なテンポを求めていくと14世紀位にはかなり遅めで凝りに凝った演奏がなされていたことが想像できる。演奏の腕前が凄かっらしい。現在の日本の笛の伝統的奏法では舌を使って発音を助けたり、音を区切る奏法がないのだが、古譜にあるとんでもなく凝った演奏や同音を連続で発音したりする箇所が出てくるとこのタンギングという奏法があったのではと思う。

途中からの部分を「蘇利古」という別の舞いに用いるらしい。「進蘇利古」というまた別の舞いの曲を演奏せずに隠す時に、この部分を用いるらしい。


17 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:貴徳 破 急 高麗壱越調


紀元前に匈奴(北方騎馬民族)が中華帝国の漢に降伏して、属国になったという話しが元になっている。その匈奴の日逐王(じつちくおう)を帰徳候(きとくこう)と呼ぶらしい。

面を着けて舞う。その面が白表の鼻高面。一般的な鼻高面は赤で、天狗としても知られているし、日本書紀や古事記で描写される猿太彦の容貌だったりする。

Youtubeにも幾つも動画が上がっている。

これはばっちり白い面。2倍速で再生すると曲の旋律もちょっと楽しめる。舞いは雄壮なのかもしれないが、音楽はさっぱり雄壮に聞こえないけど、お祭りの囃子っぽい。聞くところによると雅楽では舞いが伴わなう演奏の場合は、その曲が管弦だけで演奏される時のテンポの倍の遅さで演奏するらしい。どうりで旋律聞き取り辛いハズ。2倍速再生で楽しめるようになるわけだ。

この貴徳には口がとがった鯉口という面があって、それは”ひょっとこ”面の元になったと考えられている。雅楽は明治になるまで一般の民衆は習うことができなかった音楽文化だが、祭囃子やお面などに影響があるのは余程おもしろかったということではないだろうか?
現在の退屈さがとても残念。
せめて曲を楽しめるテンポで倍にカウントして舞うとかできないのか?

これのペアになっている舞いが散手(さんしゅ)でこちらは赤い鼻高面を着けて舞う。


16 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:地久 破 急 高麗双調


琵琶譜がA Lydianで書かれているので、それが正しいとして他をA Lydianに統一してみた。


読みは”チキウ”。

別名”ヒタカホテモ舞””圓地楽”

面と甲を付けて舞う。虫除けの薄くて白い布を顔の前にかけるらしい。

こちらは第1版で古譜にあるように琵琶はA lydianで書かれているのをそのまま音にしている。次の動画ではそこを修正している。

呂催馬楽の「桜人」「美ノ山」に合うらしい。

桜人の内容は一夜を過ごした男が「明日また来る」と言って帰っていくのを「明日来ると言ったって妻帯者だから来ないでしょう。」と思いながら見送っているというもの。

アーフタクトで始まる曲が左方楽では珍しいが右方楽には幾つもある。

琵琶パートはA lydianで書かれているが、箏パートはA dorianだったりする。これは改訂版。

高麗双調は双調とつくからMixolyidianかと思いきやdorianだった。つまり黄鐘調と同じ。
試しにメロディをA mixolydianにしてみるとBとC#のクラッシュが気になって仕方ない。(単に僕のNotaterの知識の不足だった。)
そこでA dorianに統一することにして琵琶パートを修正してみた。
何故琵琶をA dorian 黄鐘調弦で書かなかったのか?黄鐘調ではないからか?と言う事はA dorian以外の可能性が高まる。


Youtube上に舞いの付いた動画がある。2倍速で再生するとちょっと面白い。

この動画の太鼓のパターンは高麗曲用の四拍子のパターンで僕も使っている。
どうしてこんなに彩りの無い旋律になるのだろうか?この人たちが音楽上手いとは思えない。

これまでの僕の音源動画では箏でアルペジオを常に聞かせていたのだが、この奏法は昔用いられたものではないと指摘があった。そこでアルペジオではなくて単音を同時に弾くように変更した。これによって低音が明瞭に聞こえる。この低音をテーマとして管楽器のソロの部分に重ねるとソロが効き易い。この場合ベースは要らない。全体として繊細さを増したと思う。また作業量も減った。

15 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:納曽利 破 急 高麗壱越調

 改訂版。琵琶だけがE Ionian modeで演奏し、残りはE Mixolydianだったのを総てのパートがE Ionianで演奏する様に変更。箏のアルペジオは止めた。繰り返し回数を増やしてテーマを憶え易くした。


双龍舞とも呼ばれる舞い。その名の通り2匹の龍が舞うという設定らしい。

これも相撲や競馬の節会で演奏されたらしい。

1人の舞人で舞う時は「落鱒」(らくそん)と呼ばれた。


この曲は破と急の楽章の間を切れ目なく演奏することがあったらしい。そのためのブリッジも譜に残っている。

箏の譜や琵琶の譜に拍子の記号が書かれていない箇所が多く、それぞれの譜やまた別の譜を照らし合わせながら読んだ。

Youtubeには舞いのついている動画が幾つもある。

これは簡単な解説がついて動画のどこから楽章が変わるかわかりやすい。2倍速でみると音楽もおもしろく聞こえる。少しだけだが。
古譜では箏や琵琶の譜が残っているのだが、最近の雅楽の演奏では高麗楽は弦楽器無しで演奏されている。それが余計につまらなさを感じさせていると思う。
これ破と急とそんなにテンポ変わらないように感じる。大きくテンポがかわることはほとんどないと思うが。これは西洋音楽でも言えることで昔の演奏は緩急の差はせまかったらしい。こちらが僕が古譜を読んで作った音源。
現代の雅楽は狂っていると思う。

参考文献
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子曲並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏884
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十七、十八、十九、二十
  • 平安時代の箏ー失われた伝承をめぐってー スティーヴン・G・ネルソン 2008


14 Dec 2020

雅楽の古譜を読む: 長保楽 破 急 高麗壱越調


右方楽の中曲。長浦楽、長宝楽、泛野楽など名前がある。

さらに破を保曾呂久世利、急を加利夜須という。

教訓抄でこれらの名を上げているがその名の由来については分からないとしている。

急については高麗笛平調、弦楽器下無調でkeyが違うとも言及されている。

仁智要録には急が2つ掲載されていて、同急とタイトルのある方は平調調弦で書かれている。三五要録には下無調の急だけが掲載されている。

笛と篳篥の譜は下無調で書かれているが、両方共小節数が異なっている。これらはどれも箏と琵琶の譜には合わない。

他のパートを移調して、箏の同急と比較してみたとろこ、管楽器は冒頭のテーマをそれぞれの末尾にコピペすればだいたい補完できる事がわかった。これで補完できない個所はそれぞれの譜の中の似た小節から切り貼りして補完できた。

こうして補完できた急は19小節あった。これは教訓抄で言及されている18小節に近い。冗長と思われる小節があるのでそれを省略したら18小節とすることができる。

これを下無調に移調して4本の楽器がそろった下無調の急ができあがった。


舞いのついた長保楽の急がYoutube上にあった。

急だけのもある。

右方楽の曲名は万葉仮名っぽい。この曲は長保楽という名だが、破を保曾呂久世利、急を加利夜須というらしい。これらの意味が分からないのは残念。
保曾呂は”ほそろ”は”ホト”で古い日本語で女性器を示すのではないか?”くせり”は古語の”くじる”で穴を開けると言う意味だが、”女性器を愛撫する(いじる)”といういみなのではないか?
”かり”は陰茎のカリで”ヤス”は古語で”やせる、やつれる”
つまり、破は女性器のを愛撫するする時にかける曲、急は男性器を果てさせて萎えさせる目的でかける曲ということではないのか?

左方楽の扶南と言う曲が房中楽で、子作りする行為の時に奏でる曲だったらしい。右方楽にも同種の曲があってもおかしくない。


12 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:五常楽 急 平調

 

現代の雅楽の箏では失われて用いられない奏法について研究しておられる大学教授が冊子を送ってくれた。それを読んでもう一寸修正できる個所があったので直した。

Yourtubeにアップしたところいろいろとアドバイスをもらって読譜のミスに気づいたので修正版を製作してアップした。古いのも残しておく。

これまで製作した音源のほぼ総てに誤った読譜が用いられているので、それらはいずれ直す。

五常楽には序破急そろっているのだが、とりあえず今回は急だけ。

この曲は唐で作られたということになっている。平調というEを主音とする短調系の調で書かれている。しかし箏はほとんどの場合他の調の特徴音を用いて演奏するので、旋法の間を行ったり来たりする感じがする。これが古代の雅楽の箏の演奏の特徴と思う。この手法は現代の雅楽では失われている。左手を使って音程を作りながら弾く手法は高度だったのだろうか?現代雅楽はたいして上手くもない奏者でもなんとか弾けるようにレベルを下げているように聞こえる。

この様な手法を用いるのは現代ではMode Jazzに見られる。

毎度の通りテーマは箏の旋律からとっているが、臨時記号で他の調っぽく聞こえるので、それを直して平調の旋律にした。箏の元の旋律は曲の中程でソロとして演奏させている。

其々の楽器のソロは古譜にある通り、そのままの演奏。


Youtubeにも五常楽の急の動画があった。

これは急のテンポじゃないと思う。ナメクジの急の感じだとこんなかな。


11 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:延喜楽 高麗壱越調

以前のバージョンは箏の左手の技法を誤解していたし、調弦自体がおかしかった。指摘を受けて直した版。長調で演奏されている。長調自体が唐楽にはないのだが、どうも高麗楽を特徴づける要素が長調らしい。



延喜(901-923)に日本人によって作られた曲。式内神社とか延喜式内神社とかはこの延喜。この頃に律令の細目が改正されまとめられた。今も神社の宮司が行っている儀式の次第とかはこの延喜式に書かれているらしい。

皇紀2600年とか適当なこと言っているわりには、神道の次第は1100年位前にまとめられたもので執り行っているわけ。それ以前からあった信仰はどうなったのだろう?

遣隋使という語は日本書紀に載っていないわけだが、遣隋使はあった。倭から倭の国の楽をもっていったら、隋ではもう見られない位古いスタイルの五弦琴を用いていたので、珍しいということで倭国楽として宮廷の宴会用楽に加えられた。中華帝国は周辺国を平定するとその音楽を取り込んで宮廷の宴会で演奏させていた。つまり倭国は取り込まれたというわけ。

この取り込まれた倭国を切り捨てて、日本として再度中華帝国と国交をしきり直そうとしたのが日本ではないのか?切り捨てられた倭国は沖縄へ逃亡したという説もある。後に海賊として対馬辺りを根城にして活動してたらしい。


Youtubeには舞いの付いた動画もある。

最低でも2倍速で聞かないと音楽のおもしろさはわからない。これ短調系に聞こえるんだけど。。高麗壱越調って短調?壱越調がD mixolydianだから第3音は長三度のハズだが。僕の読んだ譜と全然違うように聞こえるんだけど。。

10 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:仁和楽 高麗壱越調

 

音階をE ionianに統一。箏の奏法記号を誤読していたのを修正。

日本で作られた雅楽曲。仁和代(885-889)という短い間に作られた。

繰り返す時に演奏される換頭という箇所があるのだが、これは祕密とされていた。譜を読んでみたところ、秘密にすると言うほどのものではないと思う。

旋律のフレージングが長いのが左方楽や右方楽の大陸伝来の曲との違いだと思う。この曲が右方に配された経緯はわからない。そんなに良い曲とも思えない。

Youtubeで舞いの付いた動画があった。

せめて2倍にしてないと聞いてられない。
Youtube動画をもっと倍速で再生する方法はないのか?動画をダウンロードしてpcのプレイヤーで再生速度を上げる方法があった!これで3倍位で再生すると面白い。僕が読んだ古譜と全然違うけど。この動画で演奏している曲は古譜を元にしていないのか?基本的に全てのパートがユニゾンというのは古譜と同じ。

参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

9 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:林歌 高麗平調

箏と琵琶は平調で書かれているが、笛達に合わせるために全音高く調律する。

譜によっては”臨河”という異名があると説明されている。

前半はアーフタクトで始まる。後半は頭拍から始まる。拍子(小節数)は14なのだが、箏譜には拍子が11と短いものがある。動画では各楽器の独奏として拍子11版も演奏させている。

2倍の再生速度で再生するとちょっとおもしろい。

高麗壱越調は明るい調性に聞こえる。高麗曲の大半はこの調なので短調系の曲が少ない。

教訓抄には高麗平調は林鐘調と説明があった。

この旋律は催馬楽に用いられている。

現代語訳「催馬楽」(25)

7 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:白浜 高麗双調

 

読みは”はくひん”。

笛と篳篥の譜は箏と琵琶の譜より短いし、譜の終わりの音はEで高麗双調の主音Aとは異なる。

また1拍ズレている。1拍ズラして演奏する方法も用いられたのか?舞いの間くり返して演奏するので、聴衆の興味を弾くために様々な手段が講じられたと思われる。


この譜を読むのは苦労したのだが、意外にYoutubeに動画があったりする。

最低でも2倍速にしないとおもしろくない。よくもこんな遅さで演奏する気になるものだ。これが洗脳の結果というわけか。


参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

6 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:登天楽 高麗双調

三五要録は水調調弦でないとコクのオクターブが合わない。返風香調の調弦のまま全ての弦を全音高く調弦する。

三五要録では高麗双調は返風香調で弾くとあるが、それでは笛より1全音低い。水調調弦は返風香調を1全音高くしたものと同じ。

琵琶譜から#4個の調と思われるが、箏譜からは#2個の調に見える。

今回は笛達も#2個の調にして、琵琶は独奏の時に古譜のままに演奏させてた。

伏808は拍子が8と短いが繰り返しの反付から2小節間を末尾に加えて長くすれば、他の楽器に合う。


教訓抄によると男の舞いらしい。舞う間の拍子は50なので10回程くり返して演奏していたらしい。この間に1回位は曲の冒頭から演奏していたと思われる。

Youtubeに動画が上がっている。

他にも舞いがついているのもあるが、さらにゆっくりなテンポなので聞いてられない。

参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

5 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:埴破 高麗壱越調

読譜ミスを修正。

 ”はんなり”と読むらしい。

宮内庁書陵部に所蔵されている六調子及高麗曲譜 伏872には別名として”金玉舞”、”登球舞”とある。

子供が舞う童舞いとされることもあった。玉を持って舞うのだが、童舞いの時は花を持たせた。丸めた紙を持たせることもあったらしい。この舞いについての由来は平安時代末期にはすでにわからなくなっていたそうだ。(教訓抄より)

Youtubeには篳篥の独奏の動画があった。

僕は篳篥の古譜を見つけられなかったので、僕の動画では篳篥無しになっている。この人の演奏は現代の雅楽風に聞こえる。古譜を読んでいるのではないのだろうか?

これが僕が今回読んで音源化したもの。この曲のテンポは割とゆっくり。笛の譜の音符の大さに目を見張る。32音符の箇所が幾つもある。


雅楽の元になったのは大陸から伝来した舞楽。新羅楽、百済楽、高麗楽など三韓楽とよばれたものとか、インドからカンボジア辺りを経由して入ってきた林邑楽とか、隋唐の宴会で用いられた燕楽、朝鮮半島近海の済州島からと思われる渡羅楽など。燕楽は中華帝国の西方の国々の特徴的な曲が含まれていた。

龍笛はインドで発明されたBansuriが元になっていると思う。当時は最低音とその直ぐ上の第7指穴による音の音程は様々あっただろう。現在は最低音がReだったら第7音孔はRe#。妓楽の笛として伝わってきたものは最低音がDoとしたら第7音孔はDのものがあったと思われる。

日本の現在の龍笛では最低音は用いない。音程はDoかDo#で、第7音孔はD#。当初は最低音は最低音はReだった。江戸時代初期の宮廷の雅楽の再興の折りには最低音が半音以上低くなっており、古譜にある通りに吹けない龍笛が定着してしまい、これが現在まで続いている。

このバカな誤りを未だに直せないのが現代の雅楽。テンポも原曲の味わいがわからない位遅くなったまま、直そうともしないし。話しになりませんね。

4 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:蘇志摩利 高麗双調


平安時代末期以前にすでに廃絶曲だった。天暦(947-957)年代に多好茂が舞いを考えて再興した。明治時代に宮中の雅楽のレパートリーから外されたらしい。他に道教系の千金女児や案弓子等も外された。仏教系の舞い楽は残された。廃仏毀釈だったのに。

雨乞いのために用いられ、必ず雨が降ったと教訓抄には書いてある。おおよそ8回程くり返して演奏される間舞われる。

蘇志摩とも呼ばれ最後の”利”の字が省かれることもある。この”利”が何を意味するのか不明。

この曲には異名がある。廻庭楽とか敷手とか。敷手は別に曲がある。右方楽には鶴舞もダブってある。

Youtubeに動画があった。


再生速度2倍にすると少しは楽しめる。旋律がユニゾンで演奏されているのがよくわかる。この演奏は僕が古譜を読んで音源化したものに近い。

琵琶は水調調弦、箏は壱越性調調弦で読むと互いに合う。

参考文献

  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

3 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:酣酔楽 高麗壱越調

 廃絶曲。Youtubeに動画はない。


元々右方楽だったが、左方楽に移調、編曲された。藤原氏が春日大社に詣でた翌日の食事(うどん粉/小麦粉でつくられたもの)のBGMだったらしい。酣酔は酒にかなり酔っているという意味なので、酒のつまみというところか?それとも飲酒後の占めのラーメンか。

右方楽に多く見られる短いパッセージの繰り返しで構成されている。

雅楽には酒に関する曲が幾つもある。雅楽のベースは中華帝国の宴会用の曲なので当然といえば当然か。

現代の日本の雅楽はその宴会用の曲のテンポを4-16倍に引き伸ばして原曲の楽しい味わいを消し去り、荘厳さを感じさせるように編曲されたもの。これは明治以降の政府の度重なる要請によるものらしい。日本政府(右派)による日本国民洗脳の一手段と思われる。

国民主権なので国民は正しい、真の情報を提供されるべきだし、政府や皇族、旧華族の権威によって洗脳工作が行われているのは非道と思う。左翼は当然ゆるせないが、右翼にも断然許せないことをやっている奴等が入る。

特に今の天皇と前の天皇、皇族は少林寺拳法を手下にして、王族、旧華族の子供にリンチを仕掛けて従わせていた。皇位を継ぐにあたって、他の王族に認められる必要があるのだが、今の天皇はその王族に出自を知らせず、自分が王になることに同意させた。それを他皇族には皇位を継ぐことを認められたと吹聴していた。卑劣な屑野郎である。こんな奴が天皇でいいわけない!上に立つ者が屑だと下々がそれを見習って屑になる!

参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫199-0162
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

2 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:胡徳楽 高麗壱越調

読譜ミスを修正したバージョン。
 

遍鼻胡徳とも言う。酔っ払って赤くなった顔を模した面を被って宴会の酒盛りの様子を演じる。そのBGMらしい。


信西古楽図 p.16は唐の燕楽の舞いを描いたものだが、そこにある遍鼻胡童の絵では舞っており、酒盛りの様子に見えないし、面を付けている様にも見えない。

Youtubeに現代の胡徳楽の動画がある。最後の方でちょっと踊っている。

僕が古譜を読んだのがこれ。


全然別の曲に聞こえる。現代演奏している雅楽は戦国時代に絶えていた宮中の雅楽を知るものが誰も居なくなってから、地方の楽人を呼び寄せて古譜や地方に残っていた雅楽を手がかりに復興させたもの。秀吉から家光位までかかった。

当時のテンポは今よりもずっと速かったらしい。僕の古譜の読譜した結果と同じくらいのテンポだったかどうかはわからない。

Cambridge Universityが笙の楽譜をベースにしてテンポを速く設定して復曲する研究をしているらしい。盤識参軍という曲においては、芝祐輔による復曲だと演奏に5時間かかるものが、40分で終わるらしい。どう考えても演奏に5時間はおかしい。平安時代の時間の感じ方が異なったと言っても宴会で5時間も1つの曲を楽しめないと思う。

明治以降の政府が権威を高めるために雅楽の演奏を荘厳に聞こえさせようとテンポを落として演奏するように再三要請した結果が現在の雅楽。宮中の雅楽が遅く演奏され、地方もその影響を受けただろう。音楽を国家の(皇族の)権威を高めるために歪ませる使い方は非常に悪質と思う。日本人は雅楽が中華帝国の宴会用の音楽だということさえ知らなかったりする。すでに40曲程雅楽の古譜を読んでみたが、どれもテンポを上げるとなかなかおもしろい旋律が聞こえてくる。どの曲もそうなのだ。


仏教系の雅楽曲もあるし、道教系の雅楽曲もあった。明治に道教系の雅楽曲は選定から漏れてしまい、演奏されなくなった。

天武帝とか道教狂いだった天皇がいた。その後も聖武とか仏教に入れ込んだりして、国を統治する立場でありながら、科学的に思考できないバカさだった。道教の影響も日本は強く受けている。家を立てる時に土を盛ってお祓いするのは土公という中華の呪術だったりする。

現代は国民が国政の有権者なのだから、国民はあるがままの本当のところを知らなければ判断できない。その情報は左翼系メディアTVと新聞によって偏向報道されていて、国民は洗脳されている。教育はその準備段階。教師は国家の左翼化に貢献しているのだ。日本を左翼化したいのは隣の中国。そしてアメリカの共産系の政治。日本の優位な技術力、生産力を破壊したいのはグローバルビジネス。

世界と関わらないという選択ができないのだから、これらの悪い勢力に対して徹底的に対抗して日本を守っていかなくてはいけない!


参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一
  • 信西古楽図 p.16 国立国会図書館