26 Jul 2021

雅楽の古譜を読む:秦王破陣楽 乞食調

” しんおうはじんらく”


教訓抄に又の名がある。

一つ名、「神功破陣楽」。群書会要云う、「斉正破陣楽」。また曰く「七徳楽」

「神功破陣楽」が興味を引いた。古代日本の女帝で神功皇后というのが居たらしい。仲哀天皇の妃で、九州に攻め入り、そこから朝鮮半島へ攻め入った。天皇家の血族らしい。しかし母は新羅の王子天之日鉾。新羅の王子なのに”天之”とあるところが不思議。
阿毎多利子比古に通じるのではないか。そうなると九州王朝の系列か。
大体九州制圧に天皇皇后が出向くというのがおかしい。

九州では山門群の田油津媛を討ち取った。これが中華の歴史書にある邪馬台国の女系の王ではないのか。

コトバンクで意味を調べた。
読みは”しんこう”
〘名〙 神の事業。また、神の功徳。転じて、神のように霊妙な功績。ひじょうにすぐれた功力。

○○天皇という呼称は天武帝以降から使い始めたらしい。それまでの天皇には遡って名前を付した。

神功皇后は今は歴代天皇にカウントされていない。

この曲を”神功破陣楽”と呼ぶのは、やはり統一王朝秦を建国したことに由来するのか?

隋書には倭の筑紫の東側に秦王国というのがあったらしい。”其人同於華夏"と説明されていて、これは”中国人と同じ”という意味。
筑紫の東側に中国人による国があったということか。

帰化氏族というのが大陸から渡ってきて日本に根付いたらしい。天之日鉾もその内の一人で秦の系譜だと弓月君もそうらしい。神功皇后の時代にもあったらしい。

倭の五王は中華帝国に通じた倭の中の中華人による国の王ではないのか?

21 Jul 2021

雅楽の古譜を読む:蘇合香 盤識調

 ”そごうこう”

この急の笛譜伏872は倍長い音価で読むと他のパートと合う。

只拍子四鞨鼓がベースでこれに笛譜は合う。しかし他のパートは8拍子で書かれている。

この楽章はかなり速いテンポで演奏されたのだろう。


僕はどの曲も速めのテンポを設定している。それは旋律を聞き取り易くするため。
これまで雅楽の古譜にある曲を読んできたが、それらの全てが現在の4倍から12倍のテンポで演奏すると耳に馴染み易い旋律を持つことがわかった。

幾つかの曲の笛の旋律は装飾が過多になり、テンポを落とさないと演奏できなくなる位である。

新撰笛譜の旋律は装飾がほとんどなくシンプルだが、旋律として完成している感じではない。あくまで箏、琵琶の旋律を補強するのが目的のような完成度の低さがある。

これに対して竜笛延忠拍子譜にある旋律は装飾がついていて、且つ延ばしの音価も正確に書かれているので旋律としての完成度が高い。これは管楽器だけの演奏でも聞くに耐えると思う。

19 Jul 2021

日本古代年表

日本に伎楽が伝わったのが612年。
その行道をモチーフにして天孫降臨が書かれた。
天狗の姿をした猿太彦は伎楽の治道で、インド人仏教僧。


B.C. 200〜 倭人が漢へ朝貢
57 倭奴国封冊
107 倭国王 師升 後漢へ朝貢 生口160人
146-189 倭国大乱
173 卑弥呼が新羅へ遣使(新羅本紀)
193 倭人1000人が飢えて新羅へ渡る。(新羅本紀)
208 倭軍が新羅へ攻める(新羅本紀)
232 倭軍が新羅へ攻め入ったが敗走
233 倭軍が新羅へ攻め入ったが、舟を焼かれ全滅(三国史紀)
238 卑弥呼が魏へ難升米を遣使。新魏倭王として封冊。
248 卑弥呼沒
287 倭軍が新羅へ攻め入り火攻めを行った。
413 倭国が東晋へ朝貢
421 讃が宋へ朝貢。安東将軍倭国王
425 讃が朝貢
430 讃が朝貢
438 珍が朝貢。安東将軍倭国王
443 済が朝貢。安東将軍倭国王
451 済が使持節都督倭・新羅・任那・加羅・秦韓・慕韓六国諸軍事」を加号される
460 朝貢
462 興を安東将軍倭国王
477 朝貢
478 武を「使持節都督倭・新羅・任那・加羅・秦韓・慕韓六国諸軍事安東大将軍倭王」とする
479 南斉が武を「鎮東大将軍」(征東将軍)に進号
502 梁が武を「征東大将軍」に
600 倭王 大王 阿毎多利思比古が遣隋使を送る。(隋書)
603 冠位12階
604 17条憲法
607 阿毎多利思比古が遣隋使を送る。日出處天子日没處天子〜の親書
612 伎楽伝来
670 倭から日本に国号を変えた。(新羅本紀)
672 壬申の乱

701 大宝律令
712 古事記編纂
720 日本書紀完成

新唐書では用明帝(585-587)を多利見比古としているが年代が合わない。記紀の天皇は実在したのか?

古く唐朝貢してたのは九州勢力で、本州勢力の影響下になってからは、本州勢力に反逆を疑われてもごまかせるように本名でない中国名をなのって朝貢し続けたのか?倭の五王は天皇ではなくて九州勢力の王だったのでは?九州勢力が朝鮮半島の任那を統治していたので大将軍の称号が必要だったのでは?

神功皇后の朝鮮出兵は3世紀後半の話で、それまでも攻めていたが負けていた。

本州勢力が九州を制圧してから外交を担当するようになったのか?

本州勢力が九州勢力を制圧して日本がまとまっていき、その後九州勢力が王座についたのか?

日本神話は7~8世紀に地方の史書を元ネタに創作されたもので、中央集権化(中華帝国化、ランドパワー化、共産化)するためのマインドコントロールだったのでは?

阿毎多利思比古というのは天から下った男という意味で王の個人名ではなかった。随が阿毎を姓と考えたのは誤解か?

13 Jul 2021

Blender for Bionic puppy linux

 Packageからインストールしてもlibraryが見つからないとメッセージが出て起動しない。

Blenderのサイトからダウンロードして、解凍。フォルダの中の起動ファイルをクリックしたらすんなり起動。

10 Jul 2021

卑弥呼の鬼道と古代中華帝国の鬼道

 魏志倭人伝: Wikipediaによると

  • 238  魏に使いを送る。
  • 240  倭王に任じられる。
  • 248  狗奴国と紛争、卑弥呼死去
卑弥呼は鬼道に事え衆を惑わした。

この鬼道という名称は古代中華帝国でも用いられた。
卑弥呼に先行して中華帝国では道教ベースの鬼道集団が成立した。

後漢(25-220)末
  • 168-189  太平道 184に黄巾の乱を起こす。
  • 25-220  五斗米道
後漢書には倭奴国に金印を与えた話が載っている。
漢(B.C.206-A.D.8)の時にはすでに中華帝国に謁見しに行っていた。

古代中華帝国で成立していた原始道教に触れる機会は充分あったのでは。

五斗米道はお札を用いた呪術をやっていた。これは現代の神社が発行するお札に通じるものがあると思う。獅子舞もお札を配っていた。

7 Jul 2021

雅楽の古譜を読む:只拍子と楽拍子

 ”ただびょうし””がくびょうし”と読む。


明治よりも以前の雅楽の楽譜を読むと同じ曲に2つのバージョンがあったことがわかる。

只拍子と楽拍子。

これらについては論文が書かれている。

これらの論文で残念なところは古譜を音源化して楽拍子と只拍子の差異を聞いて確認できるようにされていないところ。僕の古譜を音源化し、一般公開するプロジェクトによってこの問題点は解決される。

只拍子は中華帝国の宴会用の燕楽が日本に輸入された当初の形を残しているものらしい。そして楽拍子は舞楽用に作られ用いられたものらしい。

宮内庁書陵部にある六調子譜という譜は龍笛、篳篥、笙のバージョンがある。これらは基本的に楽拍子のバージョンらしい。只拍子と楽拍子で曲の長さが異なる場合があって、只拍子の方にだけ合うと言う事例がある。

盤識調の鳥向楽という曲の只拍子の譜面には(仁智要録と三五要録)では2/4拍子が2箇所ある。しかし楽拍子の譜面にはこれがなく、初めから最後まで8拍子(4拍子)で書かれている。

これに対応する六調子譜(木管楽器)の譜面にはどれも2/4拍子の箇所はなく、箏、琵琶の楽拍子譜と合う。


只拍子の譜も探せばある。譜面の充実具合から楽拍子の方が充実していたらしい。例えば竜笛には竜笛延只拍子譜という只拍子だけを収録した譜がある。この譜の只拍子の旋律は新撰笛譜の旋律に装飾音や変奏が追加されている。

これまでよくわからなかったので、六調子譜でも只拍子譜と合うものは箏、琵琶とともに音源にしていたが、これは改める必要がある。

笛の只拍子譜と新撰笛譜を読んでみたところ、新撰笛譜の方がずっと簡素に書かれていたが、拍子の位置とか音価が正確に書かれていないので、箏譜の旋律と比較して音価を設定しなおす必要がある。

箏、琵琶の只拍子は一定の拍子に基づいて書かれている。これを旋律の末尾に自由にフェルマータを付けて演奏していたのだろうか?

只拍子と楽拍子を比較すると基本の音価が異なることに気づく。只拍子は4分音符、楽拍子は8分音符がベースで、楽拍子は只拍子の8ビート版といったところ。その8ビートにも独特の癖がある。

現代で4ビートの曲を8ビートで演奏してもテンポを倍落とすというわけではない。雅楽の場合舞楽は管弦時のテンポを半分に落として演奏するらしい。8ビートの只拍子ならそれは簡単だろう。また楽拍子はそのままのテンポで只拍子の旋律と合わせてもおもしろい。


管楽器の只拍子の変奏と比較すると楽拍子の変奏はずっと大胆に行われている。