30 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:新靺鞨 高麗壱越調


まず靺鞨とは?靺鞨ーWikipedia隋(581-618)唐代に朝鮮半島の北方沿岸部(今はロシア)辺りに住んでいた農耕漁労民。後に渤海(698-926)を建国した粟末部と女真族になった黒水部から成る。

尿で顔や手を洗う習慣があったのは何故なのか?

雅楽も隋唐代に日本が取り入れたので時代は合う。その民族の音楽かと思われる。

渤海と日本は交流していたらしいので渤海楽というのが日本で演奏されたらしい。

鞨鼓ではなく三之皷が用いられる。唐拍子であるが16分音符と8分音符のセットの方を用いた。3連符の方は合わない。楽家録巻之二十一p690によると腰皷とも呼ぶ。これは伎楽の楽器。

伎楽は東アジア大陸に流行した仏教系音楽劇の集成で、日本に伝わったもの朝鮮経由で楽器を横笛と腰皷と銅拍子の構成にしたものではないか。

三五要録 鷹587調弦は平調(返黄鐘)で読んだ。小拍子と太鼓の百が書き込まれていない。伏931より補完。

箏は琵琶譜に対応させて太呂乞食調弦で読んだ。

六調子並高麗曲譜 伏808は曲の最後の繰り返し箇所が書き込まれていない。他譜を参考に補完。

パーカッションは太鼓と三之皷にし、楽家録の譜を用いた。冒頭の導入は綴拍子(楽家録巻之十八p.641)を用いている。


教訓抄p.181

右楽唐拍子の物というは、「新靺鞨」「崑崙」「狛竜」「吉桿」などである。これを早吹き物という。初拍子より綴拍子なり。

p.173

綴拍子 「胡飲酒」破躰の楽にある。

p.194

「胡飲酒」破の太鼓が書かれている。


楽家録巻之十八p.644

太鼓の唐拍子の説明がある。 

p.642

「胡飲酒」破の綴拍子の例がある。

p.643

唐拍子の例として「納曾利」急、新靺鞨等が上げられている。

楽家録巻之二十一p.693

三之皷の唐拍子の譜がある。三連符で構成されている。これをこの曲で演奏させると合わない。一説の方の16分音符と8分音符の組み合わせの方を用いた。譜には太鼓の強拍弱拍が逆に書かれている。

高麗壱越調はE lydianではないだろうか?

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録巻之十八、二十一

現代雅楽の動画が幾つか見つかる。

熱田神宮。。。おもしろくない。元の意味わかってるとは思えない。短調っぽく聞こえる。これだけおかしな事をこれだけ大掛かりにやっていたら当人達もおかしいとおもわなくなるのだろうか?
江戸時代初期に再興された雅楽は平安時代に隋唐の宴会用の燕楽を儀式用に整備したものではないだろうか?それが現代まで続いている。
元は宴会用の音楽なので、わかり易く楽しめたハズ。僕は儀式用のハッタリ音楽なんて要らないと思う。税金つぎ込むのおかしい。儀式など不要。おもしろい雅楽、燕楽だったころの雅楽を甦らせる方がおもしろい。

29 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:吉桿 高麗壱越調


読譜ミスを修正した改訂版。





笛の譜を見つけることができなかった。

2020 11 04 国立公文書館の懐中譜に笛譜が掲載されていた。

教訓抄には秘曲とある。 相撲の説に左方が勝った時に奏される剣気褌脱に対して右方が勝った時にこの曲が奏されたらしい。どちらも様々な猿楽(ジャグリング等)が出てきてそれぞれの芸を披露した。

唐拍子については楽家録巻之十八に太鼓の例があるが、鞨鼓の例は無かった。鉦鼓はどう打つのだろう?

10/30 唐拍子については楽家録巻の二十一に例があった。右方楽では三之皷を使う。

曲は2/4の2小節を繰り返すのが基本構造となっている。唐楽に比べると簡単。小節の頭拍から曲が始まるので、冒頭に太鼓が打たれる。唐楽では小節の半分から曲が始まる。

宮内庁書陵部にある伎楽譜の獅子も短いフレーズを繰り返す構造でできていた。

「力なき蛙、骨無きミミズ」をこの旋律で歌ったらしい。割と難しい。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録 巻之十八、二十一
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫199-0162

27 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:越殿楽 盤識調


元は平調だったと考えられる。盤識調と黄鐘調に移調された。
雅楽の場合移調時に一工夫加えるので、さらに移調して平調に戻しても元の平調の曲には戻らない。

教訓抄p.120によると三拍子を加えるとあるが、三拍子が不明。急、13回繰り返して吹くべし。
法勝寺で行われた供養で初めて用いられた。
盤識調には小曲がないので、盤識調に属する曲とされた。
康保3年(966)の侍臣奏楽では退場の楽として演奏された。この時拍子は六羯鼓、三度拍子を加えた。平調曲だった。

渡辺信一郎の雅楽の来た道に唐天宝13載(754)太楽署供奉曲名「唐会要」巻33「諸楽」が表で掲載されている。その小食調、双調の中の月殿「越天」が同曲と思われる。
林鐘角にある堂々が獅子舞。

六羯鼓がよくわからない。六拍子は楽家録にあるが。今回は三度拍子にしておいた。急とあるので快速のテンポで演奏されたと思われる。現代のテンポは異常に遅い。


Youtube上にある演奏動画も遅い。

今回の音源動画ではテーマを箏のものをベースにして盤識調に属さない音A#やGをAやG#に変更して用いている。
古譜にある箏の旋律は簡素。左手を用いて音程を変化させるのが妙技だったのかもしれない。


参考文献
  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 懐中譜 東京国立博物館 QA-1368
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹 587
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録
  • 雅楽の来た道 遣唐使と音楽 渡辺信一郎

24 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:鶏鳴楽 盤識調

仁智要録には2つのバージョンが掲載されている。

前者は4拍子に見えるが、8拍子でカウントしないと速すぎる。おそらくこちらが只拍子で、他方が楽拍子と思う。

新撰笛譜にはこの曲は無い。

三五要録 鷹587の9拍目前の辺りの不明箇所は伏931から補完した。

六調子及高麗曲譜 伏808の篳篥の旋律は跳躍が鶏の鳴き声を思わせるフレーズを含んでいる。この曲のテンポは鶏の鳴き声に聞こえる位だろうか?

教訓抄p.123によると換頭のある只拍子。吹き出しは普通の楽に似ていない。三度拍子を加える。臨時深更還御時(?)この曲を奏して退出の曲とした。

鶏が鳴くときこれを歌う。あるいは鶏鳴を歌う者『林歌』なり。

この曲の楽拍子については触れられていない。

管楽器の変奏方には旋律の音を装飾するということ以上の変奏が行われている。

これまで音源化してきた20曲程の中でも曲によって変奏の程度が異なる。特に横笛。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏871
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波新書

23 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:竹林楽 盤識調


六調子並高麗曲譜では 早八拍子と延四拍子の2説がある。リズムパターンは三度拍子。

管楽器の譜は込み入って書かれているので延四拍子での演奏のために書かれたのでは?

新撰笛譜は非常に簡素なので、こちらは早八拍子で演奏されたのかもしれない。

教訓抄によると大国の葬送の時に演奏された。吉事には奏するべきではない。などとある。


廃絶曲ではないらしい。Youtubeでは管楽器の独奏の動画はあったが、合奏は無かった。

コンサートのレパートリーには入ってないらしい。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波新書

21 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:遊字女 盤識調


この曲は新撰笛譜に掲載されている。現在は廃絶曲。

新撰笛譜の譜字の”引”は延ばす音価を具体的に示していない。そのため箏譜と対応させないと何拍延ばすのかわからない。

仁智要録には2曲掲載されている。
1曲目は只拍子と思われる。この譜は曲末に2拍の休符がある。この休符は管楽器にはない。
2曲目は箏のアルペジオが一定の間隔で入るので楽拍子のように聞こえるが、楽拍子特有の旋律の変化がない。箏独特の派生音を用いた装飾はわずかだけ用いられている。
この曲の説明

早八拍子(早八羯鼓)なのでテンポは速いめに設定した。

篳篥の最高音が続く部分は特殊な奏法なのではないか?wowwow聞こえるようにするとか音色を変化させるtimbre fingeringとか。

盤識調の箏の調弦によって音域が下方へ下がる。龍笛は第1オクターブを中心に演奏したのではなかろうか?それが盤識調の枯れた味わいの要素の一つではなかったか。

この曲の曲名を”遊児女”とする説もあるが、子供の女子が遊んでいる様子が表現されているようには聞こえない。隋の皇帝煬帝並子が作るという説がある。”並子”は不明。後宮に使える女が作ったか?

参考文献

  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏871
  • 新撰笛譜 富山市立図書館 3828
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波新書
  • 楽家録

19 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:千秋楽 盤識調

 

六調子並高麗曲譜によると早八拍子。16拍子、4拍子でも演奏されたらしい。

六調子並高麗曲譜と註大家龍笛要録譜に掲載されている譜はほぼ同じ。この曲は古譜にある通りに合奏させても旋律の流れが分かる。しかし箏の旋律をユニゾンで演奏させた時程すっきりはしていない。

教訓抄p.124によると1068-1072の大嘗会の時に中務省の諸庫の出納係の頼吉が作り、演奏した。頼吉は後に楽所預ずかりになった。笛の名手だった。盤識調には小曲が少ないのでレパートリーに取り上げることになった。

リズムパターンに2説ある。

  1.  早八鼓打つ、三拍子加える。
  2. 早四揚拍子(1小節4拍で2小節を1連とする)打ち、一拍子くわえる

Youtubeに動画がある。

天理大学のもあった。

古譜を読んで、それに書かれている音楽が生き生きと奏でられるテンポを探り設定している僕から見ると、彼らは死に体にされた音楽をそのまま演奏しているだけに聞こえる。そんなことに生きている時間使うの無駄じゃないのか?マインドコントロールされているというのはこういう状態じゃなかろうか?

この曲のタイトルは相撲の最終日に用いられるが、その関連はわからない。

教訓抄 p.123
剣気褌脱 相撲の節「猿楽」がこれを用いる。この猿楽とは左方の曲芸のことで、右方は吉簡。

p.106

狛犬相撲これを用いる。右方が勝った時に勝負の舞いとして演奏される。

p.75

昔相撲の節に撥弦楽器で抜頭が演奏された。


参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808

  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872

  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609

  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店

18 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:渋河鳥 沙蛇調

 

拍子10 行道に用いられる。5回繰り返す。パーカッションは三度拍子。廃絶曲。

これは中華帝国隋の時に作られた曲らしい。

篳篥のパートが頭拍がスラーでつなげられて、裏拍から吹くことが多い。素早いパッセージも含まれる。現代の様にたらたら演奏していない。

龍笛も大神流は手が込んでいるが宮内庁書陵部にある六調子及高麗曲譜と酷似している。

これらの変奏を同時に演奏してもやはり聞きづらい音楽になるだけ。かといって註大家龍笛要録譜の通りに他のパートが演奏できるとも思えない。

新撰笛譜が残っていたら、より簡素は笛の旋律が得られたと思われる。今回は箏からテーマをとっている。
新撰楽譜の例から旋律を細切れにする方向でフレージングした。

行道に用いるので歩く速さとテンポをシンクロさせるべきだろうか?

雅楽のテンポを著しく遅くしたのは明治政府の要請で雅楽を荘厳に響かせ、国家の権威を大きく見せるというハッタリ策のせいなのだが、同様のことが江戸時代にも起こっていたら、さらに前の時代にも起こっていたかもしれない。
つまり、大寺院の供養行事で荘厳さを演出するためにテンポを落として演奏していたのではないかと。

しかしながら譜に残っている旋律達を見るとちょうど良いテンポで弾いたとき、過去の奏者がインストの音楽を楽しんでいる様子が感じられる。

今回の場合、三五要録に同曲として収録されていた譜は緻密だった。基本的に昔の雅楽はユニゾンで演奏された様子。其々の楽器のために其々に変奏されたものが譜に残っているが、それらは全て旋律に基づいている。

参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609

14 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:採桑老 盤識調

 


延八拍子。ゆっくりしたテンポで1小節8拍。

リズムは繰り返しの最終回で三度拍子。テンポはこれまでの僕の製作した動画よりは遅いテンポに設定されているが、現代のテンポよりはずっと速い。

今回は源博雅による新撰笛譜をテーマにした。フレーズの多くは2つの音符でできていて、息継ぎが頻繁にある。朗々と歌うよりも語るように奏でるという印象。箏の旋律では派生音が多く用いられるが、この笛譜ではない。

楽拍子を採桑子と呼ぶらしい。楽拍子は旋律のラインが小拍子毎に区切られていて、一定の拍子が継続することが旋律を歌いあげることよりも優先されている。楽拍子では曲の個性が薄く感じられてしまう。楽拍子に関しては今後復元する意味がないと思う。

演奏したり、詠を読んだりが繰り返して行われる。4回繰り返されるのか5回繰り返されるのか説がある。

動画があった。他の曲とどう違うの?という印象。細かい節回しは他の曲でも耳にする。それには気づくのだが。

この曲は長寿を願うためのものらしい。仁智要録にある詠では100歳まで書かれている。今から1000年前に100歳まで生きる人がいたのだろうか?

盤識調もインド由来の調と考えられている。仏教系の呪術なのだろうか?

雅楽には道教系の楽曲もあったのだが、明治選定譜から漏れて、廃絶曲になった。何故道教系の曲が廃されたのか?

盤識調では箏の音域が下がっている。そのため低い音域が多く使われている。笛もそれに対応して低い音を中心に割り当てた。

琵琶では二拍三連符が見られる。これが珍しい。


参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏587
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏855
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏892
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 新撰笛譜 富山市立図書館 3828
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 楽家録

10 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:青海波 盤識調

 

譜によると早八拍子。楽家録でも早八拍子の項に青海波用の鞨鼓のバリエーションが幾つも掲載されている。この当時から人気だった曲らしい。早と付く位だから快速なテンポの曲と思われる。しかしながら現代の青海波は遅すぎると思う。


昭和18年の宮内省雅楽部の演奏。

Dr. Pickenによって前世紀に日本の雅楽が4から16倍の遅さで演奏されていることが指摘された。国家の権威を示すために荘厳に聞こえるようにテンポを落として演奏することを度々政府から要請された結果らしい。

現代の雅楽は江戸時代当初(秀吉から家光まで)に既に廃れて元の姿を知る者が誰も居なくなっていた宮中の雅楽を地方に残る楽人を集めて復興させたもの。古譜にある旋律は用いられているが、古譜では龍笛、篳篥、箏、琵琶にはメロディの変奏が書かれている。博雅笛譜に書かれているのは変奏の無いメロディと思われる。箏は変奏の度合いが少ないが調の構成音でない音がブルーノートのように用いられていたりする。現在のmode jazzの様に同主音の近い旋法を用いるような感じがする。この手法は龍笛や篳篥の譜には見られない。琵琶には用いられている。実際の演奏では笛においても用いられていたのではないだろうか?

箏の譜(仁智要録)は2種の譜を載せている。今回は前者をテーマにして後者を変奏として構成した。

管楽器のブレスの位置でテーマの印象が変わる。博雅笛譜では結構細切れに音を切っているので、現代の様にたっぷりしたブレスで長い歌の線を描くような旋律の歌わせ方ではなかったようだ。


三重県四日市の近鉄四日市駅の駅裏におおきな天理教教会がある。そこへ笛の製作を習いに行っていた折、その先生より高圧的な扱い、且つ暴力を振るおうとされたことがある。それに対して柔術の関節技で対抗した。彼は大声で奥さんをよんで現場を見せ、僕が一方的に暴力を振るった様に主張した。彼はその教会を運営する浅井家の一人である。天理教教会のやり方とはこういうものかと思って、それ以降出入りしなかったら電話がかかってきて「許してやろう」と言う。頭おかしいなと思って縁を切った。

天理教は神道系の大きな宗教団体だが、頭のおかしいのは宗教で囲うよりも精神病院で隔離するべきと思う。

京都市立大学伝統音楽研究センターの復元と演奏。これは僕の動画に近いがこれでもテンポは結構遅いと思う。
笛のピッチ何とかして欲しい。他の曲で独奏の動画があって、箏や琵琶のはそう悪くはないが横笛は酷い。
上海のアマチュア。こちらの方がおもしろい。彼らは中国人で譜面は日本に残っているものを用いている。
どの団体にも言えることだが、演奏者としての技術が未熟過ぎる。知識は素晴らしいのにそれが反映されていないばかりか、能無し?と思われる演奏をする技量で伝統音楽の研究に関わって演奏を披露するのは頭おかしいと思うのだが。
演奏技術が未熟だと、当時のプロ演奏家のハイレベルな演奏にたどり着けないのではないかと思う。


参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 六調子譜  宮内庁書陵部 伏807
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏892
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏855
  • 新撰笛譜 富山市立図書館 3828
  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 楽家録

7 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:庶人三台 太食調


\拍子16

教訓抄より現代語訳して引用

p.117

相撲の節にこの曲をアララムギ(阿良々木)ということがある。近来舞いが絶えた。テンポが速い。

16拍子の時4鞨鼓が1拍子を加える。8拍子の時は早8鞨鼓、三度拍子を加える。


脚注によると紅の袴に薄衣という女房姿でイチメ笠を着て舞う。侍女一人付く。懐にろくろ(?)を構えて竹(丈?)を高くして清涼殿に尻をかける。


アニメの物語シリーズの主役  阿良々木くんの姓と関係あるのかと興味を抱いて読んでみた。が詠が日本語。中華曲ではないのか?イチイの木と関係あるのか?家紋に”五つイチメ笠”がある。市女笠は女性の外出用の笠。


速いテンポの曲で女性が舞うというのが興味深い。女性の舞いは優雅な舞いだけではなかったということか?袴の裾の高さ(?)が登場時にとても短く、舞台に上がるにつれ長くなるらしい。そして門や御殿に尻をかけて(腰かけて?)舞う。袴の裾を上げて素足を見せる舞いだったか?


天之受女のストリップが神話にある位なので、現在の感覚から見れば下品な舞いが宮廷で行われていても不思議ではない。宴の席で男二人に下半身を露出させたまま踊らせ、それを見て笑って楽しんだとかもある。性をおおらかに楽しんでいたのが日本人の文化なのだが、昨今はお行儀が良過ぎて去勢されているように見える。


仁智要録にはA#が出てくる。これはEを主音とする音階の第4音が半音上がっている。又D#も出てくる。これは第7音が半音上がっている。このためこの曲はE Lydianで作られているように聞こえる。

Dを主音とする壱越調の枝調子に沙蛇調D Lydianがあるように、Eを主音とする音階にもE Lydianがあったのではないか?

遠藤徹の雅楽の分析では太食調はE Mixolydianとされている。乞食調は元はEを主音とする調ではなく移調されたものらしい。


龍笛譜を3点読んで比較したところ鷹609が最も読みにくい。譜のタイトルが同じ註大家竜笛要略譜でも収録されている譜は微妙に異なる。


これまで同様古譜を全て同時に演奏しても微妙にズレていて聴き応えがある音楽に到達していない。やはり各楽器の独奏が行われる構成であったように思われる。


三五要録には西譜と書かれた譜が掲載されているが、太鼓の拍子が書かれていない。この譜はこの曲の只拍子の譜とほぼ同じである。


楽家録17巻p.590に鞨鼓について書かれている。早四拍子としてリズムパターンを加えた。しかし正と来の違いが分からない。Youtubeには小泉文夫の解説動画があるが、来は速いテンポでは使えない。おそらくリムショットではないかと思う。


参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子譜 宮内庁書陵部 伏848
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 註大家竜笛要略譜 宮内庁書陵部 伏893
  • 註大家竜笛要略譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録 巻17

3 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:輪鼓褌脱 太食調(平調)


仁智要録の説明によると平調で弾くとある。左手の技法の残っていない楽譜、六調子曲譜

伏807で太食調弦で読んで鳴らしてみたところ、なかなかおもしろかったので太食調版と平調版を作ってみた。

管楽器の譜は調によって固有の派生音が反映されていない。太食調版は箏はAをG#に、笛はGをG#にしている。笛の場合クロスフィンガリングを用いるとエンディングホールが変わる。Gのエンディングホールは第4孔だがG#だと第3孔になる。これだと譜字がエンディングホールを指している意味がなくなる。よって太食調版は正解に近いとは言えない。

平調版は古譜通りと一応言えると思う。

太食調はE lydianなのでDがD#になるはずだが、笛でD#の譜字が全く用いられない。これは笛は指穴6孔だったことを示しているのではないか? 太食調はMixolydian。第7音がDで正しい。

龍笛の第7孔 D#が用いられている曲を調べてみたい。

拍子が22、23、24と複数の版がある。22と23がほとんど同じ例もある。最も長い構造を持つ版がすべての譜にあるようなので拍子23を選んだ。

これは高校生の演奏らしい。これ演奏していて何がおもしろいのか?集団催眠状態なのではないだろうか?

なかなかこの曲の動画がない。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏807
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五懐中元本 宮内庁書陵部 伏848
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 註大家龍笛要略譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店

1 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:剣気褌脱 盤識調


 拍子15

仁智要録によると破は廃絶曲らしい。褌脱だけが残っているということか。仁智要録では最後の小節は1拍、六調子曲譜では2拍ある。これは後者が繰り返しの際に演奏される音を含んでいるから。後者には左手による装飾が書かれていない。


三五要録伏931の太鼓の拍子の百等鷹587で修正した。盤識調弦で読むと乙クがD#Eとなりオクターブで合わない。黄鐘風香調調弦ではこれが合うので、この調弦で読んだ。

三五懐中元本 伏848は盤識調弦で読んだ。


三五懐中元本 伏848と三五要録 鷹587の譜は異なる調の同じ曲に聞こえる。音型は同じ。より仁智要録に合うのは前者だが、幾つかのAをG#に修正した。後者はG#以外の音を長1度上げると仁智に合うし、これらによって三五懐中元本と三五要録の譜は同一曲になる。


懐中譜と六調子及高麗曲譜伏808はよく似ている。装飾は後者の方が多い。どちらもAをG#にすると仁智要録と合う。

仁智要録のG#をAにすべきか?篳篥は音程を下げる方が簡易に思われる。そうであればAの運指でG#を演奏していたのではないか?

六調子並高麗曲譜 伏872は1拍子多い。最後のあたりを1小節分カットしても合う。今回は伏872をベースに註大家龍笛要略譜 伏894との旋律の共通箇所を追い、最後の4小節を継げて拍子15とした。


笛にはG#が入っていない。箏の調弦にはG#があってAはない。盤識調のペンタトニックに沿うようにAをG#に置き換えるべきではないか?


註大家龍笛要略譜はわずかなテンポのズレも書き込まれているように見える。そのためある程度の速さで演奏した時に簡素な旋律を見出すことができる。


教訓抄p.155によると唐拍子で打つとある。唐拍子は譜で百と表されている箇所に相応する。鞨鼓は用いない。しかし3度拍子を加えた。

この曲は猿楽、曲芸、雑技等の芸が披露される時のBGMだったらしい。御霊会の行進では道程で僧が短刀をジャグリングするという芸が魔除けとしてなされていたらしい。”剣気”という名称はここから来ているのではないか?

構成

  1. テーマ(仁智要録の旋律をユニゾン)
  2. オーボエ(懐中譜)
  3. オーボエ(六調子並高麗曲譜)
  4. フルート(六調子及高麗曲譜)
  5. 琵琶(三五要録)
  6. 琵琶(三五懐中元本)
  7. Mixed all parts
  8. テーマ(仁智要録の旋律をユニゾン)


参考文献

  •  仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏807
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五懐中元本 宮内庁書陵部 伏848
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 懐中譜 東京国立博物館 QA-1368
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 註大家龍笛要略譜 宮内庁書陵部 伏894
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店