13 Oct 2021

雅楽の古譜を読む:更衣

 ”ころもがえ”

現代の雅楽で演奏しているものと古譜に書かれているものはかなり異なる。

僕の音源は箏と琵琶は平安時代末期に成立した譜、篳篥と笛はそれより後に成立したと思われるものを読んで作っている。

現代のバージョンを幾つか。

雅音会

遅い。それに歌の変な揺れ、これは他の催馬楽でも共通して見られる。歌詞は”流行の最先端の布で作られた衣服に衣更えしましょう!”っていう内容なのに葬式ですな。

博雅会


こちらも雅楽の演奏団体としては上手い方だと思うけど、やっぱり葬式音楽になってる。明治選定譜に収録されている譜を使っているのだろうけど、明治選定譜が如何に粗悪品かわかってないらしい。粗悪な音楽を強制することに慣れてしまって(洗脳されて)ぶっ壊れた人間になってしまっているように見える。


では古譜にあるのをそのまま音にしたもの。


これは律歌で暗い調の曲なんだけど、うきうきの感じ!

雅楽は古代中華帝国 唐の宴会用の曲がたくさんあってそれらも含めて全ての曲が古譜の4-12倍遅いテンポで演奏されている。これは1970年代にイギリスのDr. Laurence Pickenが指摘している。彼の著書には40曲程が分析されている。唐楽以外の雅楽曲も調べてみたら全ての曲が極端に遅く演奏されている。

楽譜は漢字、片仮名等で書かれているが、その一文字を4拍に数えるのが現代の手法らしい。これは古い音楽書に書いてあるそうだ。Dr. Pickenは一文字を四分音符1拍に数えている。僕もこれに倣っている。四分音符1拍を細分化して4拍カウントするとアンサンブルがきちっとそろう。これは西洋のクラシックでは基本なのだが、日本の雅楽の演奏家はさっぱり気づかないらしい。気づいても何らかの圧力(政府や皇族?)によって直せないのか。宮内庁雅楽部は国家機関なのだからいい加減なことをしてもらっては困る。