1 Oct 2021

雅楽の古譜を読む:伎楽 仁智要録巻の12

 ”ぎがく”

3つの楽譜を読んだ。他にもあるのかもしれないが個人的に見つけられていない。

この内の一つが関西大学のデジタルアーカイブで公開されている仁智要録巻の12にあるもの。

これは箏のための譜で、打楽器については全く書かれていない。

この譜を初めて読んだ時、菅掻きを1拍としてカウントして単音を前の菅掻きの音価に組み入れることを思いついた。というのは1文字1拍で読んでも旋律として今ひとつキャッチーでなかったからだ。

現存する雅楽の古譜のほとんどを読んで、だいたい雅楽の全貌がわかったので、再度妓楽譜を読むことに挑戦した。

まずは音取や調子、独奏曲のように一文字四分音符1拍で読んだ。それがこちら。

よくわからない旋律。つまらない。

改めて初めて読んだ時の手法を試した。

やっぱりこれが当たりのようだ。読譜の留意点をまとめると
  • 菅掻きを1拍として読み、その後の単音を菅掻きの音価に含める。
  • ”火”はそれが付く音の音価を半分にする。
  • 余白を持ってグループ化されている箇所は菅掻きを複数含んでいても1拍とみなす。

簡単過ぎる!


未だに良く分からないのは打楽器。三鼓と銅拍子を伴うのだが、リズムパターンがはっきりしない。三鼓は高麗楽に用いるのだが、そのリズムパターンを妓楽の曲につけるととてもおかしい。合わない。壱鼓のパターンは良く合う。しかし鼓と銅拍子だけで四拍子の三度拍子を打つと一泊目が空拍になる。これで良いのか?鼓は少なくとも2つのグループに分かれて、一泊目を明示するグループと三度拍子を叩くグループがあったのではないだろうか?

この妓楽譜では打楽器は倍のテンポで演奏するのかもしれない。そうでない曲ももちろんある。酔狐、大狐等。これらは序が合う。

この妓楽譜では呉公が冥土となっている。三五要録では呉公である。これらの楽譜の編集者は同一人物なのだが。