29 Apr 2022

雅楽の古譜を読む:十天楽

 ”じってんらく”

去年の夏頃初めて読んでその後放置していた。その頃は忠拍子と楽拍子があることは知っていたのだが、笛、篳篥、笙がどちらのための譜なのか判断できなかった。

その後も雅楽の譜を読み続け、延忠拍子の笛譜を見つけて読んだところ、忠拍子の譜がどんなものかが理解できた。篳篥のための忠拍子譜はあるのだろうか?

笙譜は忠拍子と楽拍子の両方を掲載しているものがあるので、どのような違いがあるか理解しやすい。

新撰笛譜は忠拍子譜と言える。六調子曲譜伏872は基本的に楽拍子譜。三五要録の退宿徳の譜に書かれている笛譜は1177辺りにどのように笛が演奏されていたかがわかる。多分新撰笛譜に近い。

箏と琵琶の譜(仁智要録と三五要録)が残されているので、現在まで伝承されていない管楽器の忠拍子譜を作ることはたいして難しくない。むしろ容易と思う。完全に古代にあったものを復元することはできないが。それらしいものを作るのは造作ない。

現代の雅楽の復曲がおかしいのは、演奏するテンポが原典の4-12倍の遅さであり、そのテンポでは曲想がつかめないからだろう。曲想が把握できるようなテンポで復曲すればたいして難しくないことがわかる。


例えば”さくらさくら”を4-12倍遅く歌って、旋律の曲想を正しく把握できるだろうか?できまい。その状態で復曲しようとしているのだから、話にならない。

芝祐靖氏が現代の雅楽の五線譜版を作る仕事をしたり、断絶した曲を復曲しているが、彼の仕事はハッタリだったりする。一応古譜を読んでおり、その曲の個性をつかんではいるのだが、現代のスタイルで復曲しているので、古代に演奏された状態を復元したものではない。にも関わらず彼は文化勲章を受賞しているので、右翼の芸術家のハッタリの仕事に国家最高権威の天皇が勲章を与えているというさらなるハッタリをかましてけつかる状態になっている。