18 Sept 2021

雅楽の古譜を読む:琵琶の秘曲

 琵琶の秘曲が琵琶の古譜に残されている。3曲ある。

これらは調子の旋律が掲載されている箇所に書かれている。ついでに読んでみたところ調子の演奏手法で演奏するとおもしろい結果が得られた。

石上流泉と石原石上流泉は同じ曲。旋律の一部がオクターブ上がっていたりする。

これらをカノン(かえるの歌などの輪唱)のようにずらして演奏してみると結構おもしろい。特に1拍ずつずらして4声にすると響きが終始充実していて、古楽を聞いている感じがしない。


大常博士揚真操は旋律に工夫が凝らされていて飽きにくくなっている。しかし琵琶のソロとして聞いていても秘曲と言うほどのこともない。

どこが秘曲なのか?それはやはり対位法的に演奏しておもしろいからではないのだろうか?やってみたところかなりおもしろい。

こうして秘曲の内2曲が対位法的に演奏した方がずっと楽しめる作品であることがわかった。この対位法的手法は雅楽の調子の演奏手法なので、時代的に問題はない。

残りの曲であるキツツキは、キツツキのノックする音が聞こえるのを描写した曲だろう。かなり速い一定のテンポがあるが、一定の拍子はない。休符は演奏者の音楽的感性でその長さを決定するらしい。ボディを叩いてキツツキのノックする音を表現する箇所があるが、ノックする音は楽曲全体に渡ってある。おそらく目の前でキツツキがノックしている様子を描写しており、雑音が混ざっているのを表現しているのだろう。

最後に主音のシンコペーションがあるのがおもしろい。


Youtubeで見られる啄木の動画では一定のテンポが無いように聞こえるものがある。それはおそらく間違いと思う。調子の音源を作った時に鞨鼓を鳴らしておいて一定のテンポを維持し、各パートは一定の拍子はなくても一定のテンポ上で旋律を奏するようにした。この結果がなかなか上手くいったので、琵琶の小品についても同様のことが言えるのではないかと考えた。


一定の拍子が無いということは一定のテンポがないということではない。