22 Sept 2021

雅楽の古譜を読む:抜頭

 ”ばとう”と読む。

雅楽にはインド由来の仏教系の楽曲が幾つもある。それらについて言及している論文がある。

東洋音樂史講座第一講日本を中心をしたる東洋音樂の系統 (中) 田邊 尚雄

1938年に発行されている。

この論文に高楠博士によると抜頭という曲は抜頭王の名馬が蛇を退治した話を元にしている。

この曲は猛獣に両親を殺された子供が怒り狂い復讐のためにその猛獣を探しに山野へ分け入っていくと中華の音楽書では解説されていて、日本の音楽書もそれを引用している。

現代の雅楽のこの曲は非常に遅いテンポで短調系の先方で演奏されている。

しかし古譜を読んでみると旋法は最も明るいLydianであることがわかる。この旋律が生き生きと奏でられるテンポを見つけ出して演奏すると軽快な曲であることがわかる。

平安時代末期にはすでにこの曲、または乞食調は長調系の明るい旋法であることが忘れ去られていたのだろうか?


その時代にすでに旋法の個性を蔑ろにした演奏がなされていたのであれば、現代の雅楽が頭おかしい演奏をしていても仕方ないのかもしれない。
これまでの歴史の中でおかしいと思う者が居ても直して来なかったのだろう。
これは先人に従うという悪い面から生じているのではないだろうか。
科学的態度が身についていない年寄は尊敬に値しない。さっさと引退して欲しいものだ。