21 Dec 2021

雅楽の古譜を読む:朗詠

 多家秘書の中の秘譜に朗詠の譜があったので読んでみた。

朗詠について書かれた論文が幾つかある。外国人によって書かれたものがあるのが興味深い。

これまでの例に習って現在の演奏習慣をとっぱらって譜を読んでいる。Dr. Pickenの唐楽の研究にあるように日本の現在の雅楽は古譜の4-12倍遅いテンポで演奏されており、また演奏技術を簡易にするために高度な奏法は排除しているので、原曲の曲想を味わうことができない有様だから。

朗詠の音程はPentatonic scaleのみで”宮商角微羽”(12356)で書かれているのだが、朗詠案譜によると(12456)らしい。現代の歌唱法では譜に波線で表されているところに独特の符点のリズムが用いられる。譜には波線なのでその独特のリズムが書かれているかどうか全くわからない。基本的に音程の書かれた譜字を1拍とした。

まずは嘉辰令月。この歌は3回目の繰り返しの時のみ、合唱になる。音源動画では女性の声を加えている。


次に徳是北辰。論文によるとこの歌はこれ他の歌の形式を備えているとある。先の嘉辰令月は少々特異な形式らしい。


手拍子を加えているのは、歌だけだと物足りないから。催馬楽や神楽歌の笏拍子を想定した。旋律を追ってフレーズの終端となる箇所を見定めて三度拍子を基本にしたリズムパターンを設定すると2/4拍子3小節のパターンになっているところが興味深い。


どれも似たようなものなのですぐ飽きる。古代にはどうやって楽しんでいたのだろうか?もっと速いテンポで歌えるかなー?と言って歌比べしていたのだろうか?新しいの考えましたと言って披露していたか?即興で今作りましたといってやっていたか?

壱越調のもの。案譜には笛の譜字でDEF#AB(宮商角微羽)と書かれている。それと並んでDEGABと笙の譜字で書かれている。ここでは笙のものを用いた。

朗詠は五音音階(Pentatonic scale)しか用いてないところが興味深い。より古いタイプの音楽なのか?


ここまで数曲、どれも同じに聞こえて退屈してきた。飽きない遊び方、演奏の仕方があったはず。