元は平調だったと考えられる。盤識調と黄鐘調に移調された。
雅楽の場合移調時に一工夫加えるので、さらに移調して平調に戻しても元の平調の曲には戻らない。
教訓抄p.120によると三拍子を加えるとあるが、三拍子が不明。急、13回繰り返して吹くべし。
法勝寺で行われた供養で初めて用いられた。
盤識調には小曲がないので、盤識調に属する曲とされた。
康保3年(966)の侍臣奏楽では退場の楽として演奏された。この時拍子は六羯鼓、三度拍子を加えた。平調曲だった。
渡辺信一郎の雅楽の来た道に唐天宝13載(754)太楽署供奉曲名「唐会要」巻33「諸楽」が表で掲載されている。その小食調、双調の中の月殿「越天」が同曲と思われる。
林鐘角にある堂々が獅子舞。
六羯鼓がよくわからない。六拍子は楽家録にあるが。今回は三度拍子にしておいた。急とあるので快速のテンポで演奏されたと思われる。現代のテンポは異常に遅い。
Youtube上にある演奏動画も遅い。
今回の音源動画ではテーマを箏のものをベースにして盤識調に属さない音A#やGをAやG#に変更して用いている。
古譜にある箏の旋律は簡素。左手を用いて音程を変化させるのが妙技だったのかもしれない。
参考文献
- 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
- 懐中譜 東京国立博物館 QA-1368
- 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
- 三五要録 宮内庁書陵部 鷹 587
- 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
- 楽家録
- 雅楽の来た道 遣唐使と音楽 渡辺信一郎