29 Jun 2022

雅楽の古譜を読む:竹林楽

 ”ちくりんらく”

葬式用の雅楽の曲。

笛の古譜に4拍子と8拍子があった説が書いてある。

琵琶の古譜は8拍子と思われる。

以前に作った音源動画では4拍子にしたが、今回は8拍子版を作った。


盤識調の曲は古い笛譜(新撰笛譜)が残っているので、よりシンプルな旋律を再現することができる。
おそらくもともと笛の類はシンプルな旋律を演奏して、箏と琵琶は装飾たっぷりな旋律を演奏していたのだろう。それらが合奏されていたわけだ。

そして日本独自の編曲版である楽拍子版が作られた。笙の古譜は箏、琵琶のリズムと旋律に合わせたものになっている。笛、篳篥は独自の技巧的旋律を奏でている。

当初は笛、篳篥も箏琵琶の旋律に沿ったものだったと思う。それが室町時代には宮廷の雅楽が断絶してしまい、雇ってもらえなくなった楽人は自立しなくてはいけなくなった。音楽書を書き、旋律に装飾をふんだんに盛り込んでハッタリを効かせて、権威を確立し延命を図ったと思う。

江戸時代の雅楽復興の時には、既に宮廷の雅楽を知っているものはいなかったので、地方に残存する雅楽と古譜を元に儀式様に編曲したものを作り上げた。この時点で一定のテンポを維持して演奏されなくなっており、箏は左手の技法が省略され伴奏を担当することになった。

これを明治になって王政復古の形をとり、雅楽で国の威信を高めるために雅楽の演奏を全国で統一し、一般に開放することにした。政府からテンポを落として荘厳に聞こえるようにと再三要請があって、現在のテンポは古譜の4-12倍遅いテンポになっている。間延びした箇所を唱歌にある節回しで埋めている。

江戸時代の復興で舞も変化したと思われる。近代の演奏では舞がどれくらい変化したのだろうか?