”おうだいはじんらく”
以前はD Mixolydianで読んでいたが、古譜に残る雅楽を一通り読んだところ、どうも違うように感じている。
遊声はD Ionian、序はD Mixolydian、破はD Ionianで演奏させると楽想を掴みやすいし、自然に響く。
曲の基本の旋法がD Lydianでなければ、壱越調に分類したのではないだろうか?
つまり壱越調はD Ionianがメインで稀にD Mixolydianの曲があるということになる。
日本の雅楽の調性は752に成立した中華帝国の燕楽の調性に基づくと思われているが、実はそうでもないらしい。主音は大陸の理論を継承しているだけではないのだろうか。
琵琶の古譜(三五要録)は壱越調に含まれる曲はすべてD Lydianで書かれている。これに対して笙の古譜はD Mixolydianで書かれている。
壱越調の全曲をD Mixolydianで演奏させるとなんか暗くなるし、旋律の音程をとりにくかったりする。D LydianだとG#の音程を上手くとれない。
LydianとMixolydianの間にあるのはIonianである。つまり琵琶と笙が異なる調で書かれているのは譜を読んだだけで曲を盗み取れてしまう才ある人から自分たちのビジネスを守っていたからではないのか?
笛の譜に必要な臨時記号が書かれていないのもそのためと思われる。古譜にはそのまま読んでも正しく再現できないような工夫が施されている。特に伎楽の譜は。