28 Jun 2022

雅楽の古譜を読む:越殿楽 まとめ

 ”えてんらく”

中学校で雅楽の曲として習ったのがこの曲だった。

鎌倉時代に成立した音楽書の教訓抄では、安城楽を移調して破として演奏するとある。つまり越殿楽自体は急として演奏される。だから12回繰り替えして演奏しても聞いて居られるわけか。

現在の越殿楽の演奏は急の演奏ではないので、せいぜい3回繰り返す程度しか聞けない。

この越殿楽、雅楽の古譜を見ると平調、黄鐘調、盤識調の3つの調にある。

おそらく平調が元の調と思われるが、楽譜が残っていないので決めてに欠ける。

平調の楽譜は一部残っている。それから作った音源がこれ。


盤識調の譜から作ったのがこれ。


黄鐘調の譜から作ったのがこれ。


雅楽は古代中華帝国の宴会用の曲として演奏された。古譜ではすべての楽器が旋律を演奏している。12回繰り替えして演奏してもそれぞれの楽器が旋律を奏でているなら、それぞれにソロを与えて楽しめる。


現代の編曲は江戸時代のものを引き継いで使っていると考えている。明治になって地方で継承、演奏されていた雅楽も宮内庁のものに一本化するため、再度まとめられたのだが、具体的にどう手が加えられたのかはわからない。