27 Jun 2022

雅楽の古譜を読む:器楽曲の五線譜版追加

以前に書いた記事に雅楽の古譜から起こした五線譜の楽譜と音源のリンク集がある。

器楽曲譜リンク


今年は、以前に読んだ譜を見直して清書しており、残すは盤識調だけとなった。さらに追加して調子関係の譜も読むつもりでいる。予定は数ヶ月送れている。

現在の雅楽では明るい調はMixolydian、暗い調はDorianとされているが、これは戦国時代に断絶した宮中の雅楽が江戸時代に復興され、断絶曲が多数あるままテンポを4-12倍遅く演奏している現在の雅楽の現状である。

雅楽の古譜の明るい調にはLydian、Ionian、Mixolydianの3調があり、暗い調にはDorian、Aeorianの2つがあった。この内Aeorianは角調と呼ばれ、ごく少ない曲しか残っていない。

壱越調はほとんどの曲がIonianと思われる。琵琶の古譜ではLydianで書かれており、笙の古譜ではMixolydianで書かれているのだが、古譜を正確に読んで(唱歌は残っていないので考慮しない)、適切なテンポを与えると曲の全体像を把握できる様になるので、用いられている音階がおかしいという違和感を感じられる。それに適切な音階(旋法)を設定すると綺麗に響いたり、音程がとりやすかったり、歌いやすくなったりするので、その旋法(音階)が本来のものであることが想定される。

現行の雅楽には廃絶曲が多く、古譜を適切に読んで楽曲を把握することが行われずに音楽理論が考えられたので、古譜に基づかない理論ができてしまっているのだろう。

換言すれば、音楽的センスのない頭でっかちの学者が研究しているがために、本来の姿にたどり着けないでいたというところか。

英国の音楽学者のDr. Laurence Pickenが前世紀に古代中華帝国の唐の音楽を日本に残存する雅楽の古譜から研究して先鞭をつけた。せっかく資料を保存していても活かせない保守派の音楽家や研究者ばかりそろっているので、研究が立ち遅れているというところか。