6 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:顔除 高麗壱越調

三五要録にだけ譜が残っている。

2020 11 05 懐中譜に笛譜があるが、拍子16なので琵琶の拍子18と合わない。旋律線が共通のところを参考に琵琶譜にあうように補填、校訂した。

かつては行事の会場に右方の人が入る時、高麗の参音声として用いられたが、平安時代末期には既に演奏されなかった。この代わりに演奏されていたのが春庭花。新河浦がこの曲の急として用いられた。

高麗曲を読んでいて唐楽と変えた事がある。それは小拍子間の音価の割り方を基本的に2分するということ。例えば「8分音符+16分音符の3連符」を「16分音符4つ」として速いテンポに対応していたのだが、ここまで読んだ数曲の高麗曲ではそこまでテンポを上げずに前者のように読んだ方が、音楽が生き生きする。
Jazz waltzやbebopの様にテンポによってswingの度合いが変わるように雅楽でもテンポによる変化があったのではないか?

楽家録に太鼓、三之皷、鉦鼓の譜があるので、今回は打楽器に集中した。

アニメ映画「千と千尋の神隠し」に出てくる”かおなし”というキャラはこれを元にしているのではないか?

参考文献

  •   三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録 巻之十八、十九、二十一
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫 199-0162