31 May 2022

雅楽の古譜を読む:酒清司

 ”しゅせいし”


箏と琵琶の譜は4/4拍子で書かれているが、笛、篳篥、笙の譜は2/4拍子で書かれている。

以前の読譜では箏と琵琶を2/4に縮めて合わせていたが、現存する雅楽譜のほとんどの曲を読んだ今は、以前のやり方はおかしいと思っている。

まず箏と琵琶の譜を読み直して、誤読を修正。次にそれに合う笙譜を探してみたところ、笙の譜のとなりに琵琶の譜が書かれている譜を見つけた。懐中要録譜 伏896。

この琵琶譜は三五要録と異なっていて2/4拍子で書かれている。2/4拍子の譜が完成するためには箏が足りないので、探してみるとあった。秦箏要録譜 伏913。

この箏譜伏913は左手の技法が省かれている。つまり平安時代の雅楽の箏の奏法が単純化されているので、江戸時代の宮中の雅楽復興以降のものだろうか?

こうして平安時代末期12世紀頃の4/4拍子バージョンと箏の奏法が省かれた2/4バージョンがあることがわかった。


上記の琵琶譜は2/4拍子、4/4拍子の両方ともD Lydianで書かれている。笙はD Mixolydianで書かれているように見える。笙のhigh C、middle Gのは半音高く調律されていたのだろうか?笙の場合個々の管を差し替えればそれぞれhigh C#、middle G#に変更できる。