7 Nov 2021

雅楽の古譜を読む:新年

 ”しんねん”

旋律は安名尊、梅枝と同じ。


現在も演奏されている。

博雅会による安名尊の演奏


この曲は呂歌、G Mixolydianなのでやや長調よりの音階なのだが、この演奏は暗い。。。。さらに遅い。呪いでもかけるつもり!?という気味の悪さ。当の博雅会は古譜と異なる自分たちの演奏を伝承されたものとか日本人の好みに合わせて変わっていった結果とか言っているが本当にそうだろうか?こんな演奏聞いてもさっぱり今日生きてる尊さを感じないのだが。

雅楽が変質してきたのは、宴会様の曲を儀式に用いるために荘厳に聞かせようとして変に編曲してしまったのも一つの要因だろう。さらに宮廷で雇用されなくなった楽人が自分たちの才覚で食っていかなくてはいけなくなった時、音楽書を書き、自分たちの演奏を装飾で凝り固まらせて芸術的ハッタリをほどこさなくてはいけなかったことも要因だろう。大神系の笛譜はそのため非常に複雑に書かれていたりする。より原典に近いと思われる新撰笛譜では虚飾が無いシンプルな形で書かれていて、笛は独奏ではなく、箏や琵琶の旋律に寄り添うように演奏されたと思われる。

古譜を音源にした結果が次の動画。曲は新年。器楽はほとんど安名尊と同じ。

同じく梅枝。


古譜に書かれている雅楽曲はどの楽器も旋律を演奏している。古譜の歌譜には音程が書かれていないが、フレーズの長さと延ばす音は書かれており、箏、琵琶譜には歌詞が添えられている。歌の部分は箏琵琶の歌詞がついている箇所の音符を拾って、歌譜からフレーズを推定して復元している。

この方法によるとハミングで音程をいろいろと動く箇所が多い。Mozartの声楽のためのアリアを思わせる。本来どうだったのかはさっぱりわからない。