3 Nov 2021

雅楽の古譜を読む:山城

 ”やましろ”

この曲は明治選定譜に掲載されている。

明治選定譜というのは明治時代に選定、編曲された雅楽譜を言う。箏から左手の奏法が排された。

国文学研究資料館で明治選定譜が見れる。ネット越しでも可。

山城 明治選定譜

文化デジタルライブラリーで雅楽の歴史について書かれている。これによると江戸時代からの雅楽の演奏家の紅葉山楽人に加えてあらたに関西の三方楽所の楽人を加えたらしい。そして雅楽曲の解釈などを統一したできたものが明治選定譜だと。慎重に協議された結果が現在の雅楽とは片腹痛い。そんな程度が当時の日本の雅楽の演奏家だったということか。


Youtubeでも山城が演奏されている動画がある。


冒頭は似ているのだが、仁智と三五の両方でオクターブのジャンプが見られるのに、この動画の歌は同一のGを歌い続けている。その後は古譜に書かれていない節回しもあるし、テンポが遅すぎる。
この曲の歌詞は求婚を迫られた農家の乙女の心情が綴ったものである。上の動画からそんな乙女心を感じ取れるだろうか?

僕が仁智と三五を読んだ結果が次の動画。


歌譜には山城と真金吹の譜が無いのでフレーズの長さを推定できなかった。なので他の曲を参考にしてフレーズの長さを決めている。

雅楽の楽人達に雅楽曲の真の姿を探求する姿勢なんて皆無なのだろう。それっぽいものをでっち上げるのが彼らの職務なのだろう。

明治選定譜は歴史的改悪と思う。