7 Mar 2019

Explanation of Local lion dance

前書き

楠村神社の箕田流獅子舞には箕田流獅子舞にあった寝獅子と子獅子、飼い慣らしが伝承されていない。また矢(?)踊りが失われている。。
楠の獅子舞のビデオの演奏にはテンポが明示されていない部分にも内在するテンポがある。これはクラシックの演奏の中にも見られる。しかし演奏の水準は遠く及ばない。調律されていない笛での演奏を聴くのは非常に苦痛であり、磨き抜いた音楽性が破壊されていくようであった。
5線譜に採譜する際には笛の音程に多いに悩まされた。ビデオの演奏の基準音程はおおよそ405hzで現在の標準である440hzを基準とすると半音より低く、全音より高く、捉えにくい。その調律されていない笛による酷い音程と半端に鍛えられた不出来な演奏による混沌は筆者の気力を多いに削ぎ続けた。数日の書き採り作業の後、英気を取り戻すのに数ヶ月を要した。そうしてビデオの通りに譜に書き採ってみたものの、リズムが乱れている箇所が多数あり、曲の繰り返し箇所と回数はほとんど分からず、構成がつかめない状態であった。
そこで書き採った譜をコンピューターを使って整理することにした。コンピューターに演奏させれば楽譜の客観性を確保できる。再び混沌とした音楽を聞くことに大きな抵抗を感じつつも、ビデオを繰り返し見ながら非効率的な作業を進めた。
結果、ビデオにある全曲をほぼ完全に把握することができた。当初は太鼓のリズムを書き採ることが困難であった。これは笛の旋律と太鼓のリズムのズレが頻発しているからであった。旋律の整理が進むと太鼓のリズムを捉えることができるようになった。
ビデオの演奏が西洋音楽の演奏の基本的な水準に達していれば不要だったであろう苦労が満載した作業であった。筆者が現役で活動する演奏家だったらとてもこなせなかったであろう。その不出来な演奏が研ぎ澄まされた音楽性を破壊するからである。一方で民間に伝承されている音楽を研究できたのは貴重な経験だった。