7 Mar 2019

Explanation of lion dance 5


舞上げ

花の舞から続いて景気の良い太鼓のリズムパターンと笛がそろって始まる。前半のテーマはだんちょで用いられたものである。リズムパターンはだんちょとは異なる。だんちょで著者によって直された箇所は11-12小節目に当たる。舞上げのリズムパターンは1小節毎の繰り返しであり、2小節で1組かどうかはっきりしない。B-A-Gのフレーズを経て後半のRecitativoへ進む。
全体の構造を把握してみれば、楽譜無しで記憶するのはそう難しいことではないことがわかる。楠では譜面は一切用いられずに伝承されていたようだが、他地区では一部を譜面にしているところもある。四日市市立図書館蔵の長倉神社の獅子舞の資料には仮名譜が納められている。仮名譜では正確に音程と音価を表現できておらず、それだけを元に正確に曲を再現することは難しいと思われる。

おかぐら

湯の花神事で演奏される。序奏部分はC melodic minor scaleから成る。主要部分はC pentatonic + B6音音階で構成されるが、この音階は主音をEとするE aeolian scale without f# (natural minor scale)であろう。つまり序奏部分から主要部分へ転調している。序奏部分では(123 45- -)Ebであり、主要部分では(123 45- -)Eである。ここでも明確にEbEの違いを観察することができる。雅楽ではAeorian scaleは角調に当たる。リズムパターンだけが音量の大小を付けて演奏される。
リズムパターンは大きな音量で始める。序奏の後3小節間を1小節に1回打ち、次に2小節から成るリズムパターンを7回繰り返す。その後リズムパターンを維持しつつ、2小節毎に小さい音量、大きい音量からなる4小節のパターンとして7回繰り返す。8回目の3拍目は曲の冒頭(序奏の後)に戻る。
本曲は獅子舞の演目の中では演奏されないが、箕田流獅子舞が伝承されている石薬師南町ではこの曲も伝承されている。石薬師南町の演奏ではぴったり音程のあった笛が平安の風雅を漂わせるが、楠のビデオの演奏ではそんな風雅は微塵もなく、ただただ実直である。