前だけ44cmにすると背中を曲げ伸しして手の高さを変え易い。鍵盤上の手の位置と高さは上中下又は奥中手前に分けられる。白鍵だけを弾く時は下又は手前、黒鍵に親指と小指が乗っている時は上又は奥。
古典派までの時代は#やbが多く付く調はあまり演奏されなかったので、鍵盤上の手の高さは上記の中と手前、または中と下だけで間に合ったのではないか。しかしロマン派以降に#やbの多い調が多く使用されるようになり、鍵盤の長さを延ばして上または奥のポジションで演奏できるように改造されたのではないか。ショパンの頃にはこの鍵盤の延長がなされていたのだろう。ショパンは上、奥のポジションを基本にしていた。つまり黒鍵の多い調を基本にしていた。
鍵盤に対して手の位置が高過ぎると大きな音が出し易くなる。言い換えれば常に音量が大きく、やかましい演奏になる。指には重さが乗るし、薬指はポジションが上がるほど弾き易いので、難しい曲を練習する時には一時的に椅子を高くするのも効果がある。しかし逆に鍵盤への命中精度が下がるので、曲を仕上げるには向かない。
鍵盤に対して手の位置が低過ぎると大きな音は出せなくなる。また指に力が入らなくなり、精緻に動かす練習はできない。ある程度の高さが必要となる。鍵盤への命中精度は上がるので、指に力が入る程度の低さを下限とすべきか。
椅子の傾きは、前を1cm上げると背中が丸まる。これで座高の調節がし易くなり、それに伴い鍵盤上の手の高さを変え易くなる。椅子に傾きを与えなくても、お腹をへこませて背中側を丸めることにより座高の高さを調節し易くできる。この姿勢が重力奏法に見られるものではないか。
2024/12/13 前46後45
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