7 Aug 2022

結美大学の雅楽についての動画につっ込みを入れる


2:02 古代中華帝国にあった宴会用の舞楽で燕楽と呼ばれた。雅楽は宗教的儀式の音楽のことでこちらは日本は取り入れなかった。となりのトトロでさつきとメイが庭の大木の上でトトロ達と吹いていた丸い土笛が用いられる。この笛はB.C.5000-4500年前の長江下流域の河姆渡文化の遺跡から発掘されていて、日本でも北九州から能登辺りまでの範囲の弥生時代後期の遺跡から100個位見つかっている。


3:24  遣唐使の停止以後に、中華帝国から講師を招いて学んでいた。この時楽制改革が行われて左方楽と右方楽にまとめられたか。


3:50 平安時代とか明治に入る前は雅楽以外の音楽としては田楽があった。田楽は大変盛況だったことが古い書物に書かれている。田楽は612伝来の大乗仏教系仮面音楽劇:伎楽の楽器編成(笛、腰鼓、銅拍子)に呪術用ささらを加えて演奏される。伎楽由来か?田植え前に田に入って演奏し、地鎮を行った。田楽は田楽法師だけに許可されていた。現代に伝承される獅子舞には田楽の要素が組み合わさったものがある。雅楽よりも複雑な構造を持つものもあり、それらは楽譜を用いず伝承される。


6:33 平安時代に成立した新撰笛譜(一部のみ残存)、末期に成立した雅楽の古譜(仁智要録、三五要録)全体が残存。しかし、戦国時代に宮中(朝廷)の雅楽が断絶し、それを伝えるものがいなくなった。江戸時代初期からの雅楽復興の時には地方で雅楽を伝えていた楽人達が集められて復興したわけだが、彼らは宮中の雅楽の姿を知らない世代だった。江戸時代までは一般庶民には雅楽を学ぶことは禁止されていた。明治から一般庶民も学べるようになった。そこで地方の雅楽と統一しようということになって、明治撰定譜ができた。道教系の曲は廃止された。この明治撰定譜は平安時代から室町時代に成立した雅楽の古譜と異なる点が多い。箏の左手の奏法の省略とか、日本独自のアレンジ版である楽拍子がないとか。元々はすべての楽器が全員で旋律を演奏していたのだが、明治撰定譜ではそうなっていない。琵琶は古譜のままだったりする。なので旋律を弾いているのは主に琶のはず。

明治撰定譜をMIDIで再現した音源を公開している方がいる。雅楽のMIDI再現。僕が古譜から作っている音源もMIDIで行っているので、聴き比べし易いと思う。


9:41 ベトナムから日本に林邑楽が伝来した。これは大乗仏教系の舞楽で752の大仏開眼供養で演奏された。抜頭という曲は林邑楽の曲で、林邑楽は仏哲という僧が伝えた。漫画、アニメの攻殻機動隊の登場人物バトーは自分の名前をバトー仏哲と言っている。その容貌からも抜頭をモチーフにしていることがわかる。


11:02 612伝来の伎楽が”諸仏の供養は楽を以って行え”という詔に従って、神道と融合した仏教、その寺院を中心に広まった。雅楽が入ってきて、伎楽曲が部分的に入れ替えられたり、拡張されたりして儀式が整えられていった。雅楽曲には仏教系の舞楽が多数ある。


13:49 雅楽は江戸時代の復興によってそれ以前とは異なるアレンジが施されている。明治以降は政府からの要請でより荘厳に聞こえるようにテンポを落とすことを要請され、その結果今は古譜の4-12倍の遅さで演奏されている。”さくら さくら”を4倍の遅さで歌ってみると、元の曲想の印象とかなり違うのわかる。それ位古譜と現代の雅楽は異なっている。また笙の古譜には調子には和音で演奏する記号が書かれているが、曲には和音のための記号はほぼ書かれていない。現代の演奏は和音使いまくっている。

江戸時代には古譜の写が多数あった。宮内庁書陵部に多数残されている。唱歌は4-12倍遅いテンポで、引き伸ばされた音に抑揚を持たせてそれらしく聞こえるようにしたものではないのか?鎌倉時代に成立した音楽書の教訓抄には唱歌について言及があるので、当時存在していたことはわかるが、現在まで伝承されている唱歌譜が当時と同一のものかはわからず。器楽の古譜をMIDIで再現してみると唱歌の介在する余地はほぼないことがわかる。


24:30 管弦は早め、舞楽は2倍の遅さではないのか?逆のことを言っている。この場面の舞いの動画は倍早い。


25:40 蘭陵王の高恭順の話は?蘭陵王は林邑楽に含まれるので、龍王による呪術舞という説がある。抜頭も猛獣に両親を殺された子供が復讐を果たすというストーリーになっているが、これも?高楠博士は王の馬が毒蛇を踏み潰して退治した場面を描いたという説が古譜の旋律には合う。



19:13 其駒を多家秘書に含まれている譜を分析して、テンポを落として間延びした箇所に適用されたパッセージを排除し、本来のテンポに戻したもの。この曲は神を呼び出して舞楽を楽しんでもらった後、送り返す時に歌われる。だから”馬でもおみやげにどうぞ”という位の意味か。


29:33 更衣の古譜を音源にしたもの。この曲は今年の新作よーってお披露目して、衣替えしましょうよ!って呼びかけているCMソングと考えられる。



30:51 五常楽。古譜を音源にしたもの。序破急そろってます。古譜には詠(えい)と呼ばれる詩が書かれている。元々は歌詞だったという説もある。

31:58 序は決して遅いテンポではない。4拍子の曲、6拍子の曲というように一定の拍子で作られている曲ではないだけ。フレーズ毎に長さが異なっている。
破は一定の拍子(4/4拍子2小節を1グループにするので、雅楽では8拍子となっている。)で作られた曲。テンポは中庸。
急も一定の拍子(2/4拍子2小節を1グループにするので、雅楽では4拍子となっている。)で作られた曲。テンポは早め。


35:16 各調に調子がある。上調(かんじょう)、略式、入調(にゅうじょう)これらは舞楽の時、舞い人が舞台に登場する間とか退場する間に演奏された。この作曲技法は対位法と思われる。”かえるのうた”とか輪唱の曲を作る技法。

例えば、太食調調子