5 Sept 2022

明治撰定譜を読む:羅陵王

 まず現代の演奏


6:18から。1拍毎にブレスを取っている。全体に1回通すのみ。繰り返しなし。テンポを少しづつ増すのだが、始めはM.M.=6。他の管楽器が入ってきたらM.M.=9位になる。

11:16から半帖。

明治撰定譜に基づいていると思われるが、弦楽器が活躍していない。弦楽器の譜は琵琶がD Lydian、箏がD major pentatoni scaleなので、明るく響く。これを抑制するために管楽器だけにし、笙はC naturalを用いてD Mixolydianとしたのだろうか?それ故壱越調に属している。本来は沙陀調(D Lydian)だが。

明治撰定譜を読むと琵琶と笙の両方を修正してD Ionianにすると自然に聞こえることがわかった。

以前作った古譜バージョンではD Lydianで書かれていた琵琶を基本にしてD Lydianにしていたが、今回はD Ionianにした。


Youtubeの概要欄にMusicxmlのリンクが張ってあるので、楽譜を見れる。

楽譜を見ながら先の動画の旋律を追っていくと、本来箏と琵琶で演奏されるキャッチーな旋律が演奏されておらず、管楽器によって短調的に暗く響く演奏に変わっていて、旋律を息継ぎで細切れにして吹いていることがわかる。


先の動画は装飾過多な龍笛の旋律が演奏可能となるレベルまでテンポを下げたと考えられる。本来は琵琶をさらに簡素にしたような旋律を管楽器が吹いていたと考えられるので、後世に装飾が追加されたものが今に引き継がれているというところだろう。

雅楽の演奏に携わっている人たちは自分でおかしいと思って調べたりしないのか?明らかにおかしいのだが。そうできないくらい頭の機能が弱っている人たちがするのが雅楽なのだろうか?