2 Sept 2022

明治撰定譜を読む:越殿楽 平調

愛知県の天理教系の雅楽演奏団体による越殿楽。


ここは上手いので、音程は良い。

明治撰定譜を使っていると思われる。明治撰定譜を読んでみたところ、箏の調弦は六斗はDと思われる。この動画ではC#。

明治撰定譜を読んでいて気づいたのは、唱歌を考慮に入れて音価を決定すると、シンプルに書かれた譜面が複雑化するということ。本来の曲想を奏でるためには唱歌を考慮すべきではない。

明治撰定譜から作った音源。唱歌を考慮にいれていない。また冒頭の1フレーズはテンポを10倍遅くして、導入部分としてみた。


打楽器の部分も明治撰定譜に書かれている。また明治撰定譜にはこの曲は早四拍子と書かれている。仁智や三五に掲載されている曲は全て読んで分析した。その結果四拍子は2/4拍子からなる曲だということがわかっている。明治撰定譜においても旋律から分析した結果は同じだった。

箏の譜は輪説にあり、盤識調の譜をそのまま使う様にと書かれている。

つまり明治撰定譜が書かれた時点ではこの曲は速いテンポで演奏されていたということだと思う。それが政府の度重なる要請によってテンポが落とされ、現在のように10倍遅いという事態になったのだろう。雅楽の演奏家がそれを知らないのは全くもっておかしいと思う。彼らが用いている譜は明治撰定譜ではないのか?それを元に書き改められたものなのか?