30 Sept 2020

伎楽の笛

612伝来の伎楽の笛はどんなだったか?
田楽に使われる指穴7孔の笛か6孔の笛か?三重県北勢地域の獅子舞は指穴7孔の笛で第7孔はDのEnding holeで最低音はCである。Baroque fluteでは第7音はD#/EbのEnding holeで最低音がD。これらは指穴7孔の笛であるが、基本的な違いがある。
古譜から読み取れる当時の龍笛は最低音がD。この場合第7孔はD#/EbのEnding holeとして用いられたとしか考えられない。現代の龍笛は最低音がC#やCでEより下は用いないので古譜を演奏できない笛なのである。また高麗笛と神楽笛の間のピッチなのに神楽笛より太い内径もおかしい。おそらく江戸時代初期の宮中の雅楽復興の折に間違えたまま現代まで数百年を経ていると思われる。鎌倉時代にはすでに笛に糸を巻いて漆を塗り固める手法があった。これは笛の材料となる篠竹が簡単に手に入らなかったので、既にあった古いピッチの低い田楽笛の音孔を広げて龍笛として用いるための改造技術の一つではなかったのだろうか?

伎楽の師子は宮廷の雅楽に取り込まれた。そこでは龍笛を使っていた。

教訓抄に"狛笛、又伎横笛、又崙。"とある。つまり伎楽の横笛は高麗笛指穴6子孔ではないか?高麗楽は全音高いので、正倉院の所蔵の笛の内最短の笛が伎楽笛と思れれる。その笛は指穴が7孔。仏教系の曲のための笛は7孔だったのでは。