17 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:抜頭 乞食調



2/4拍子。林邑八楽の一つ。教訓抄ではインド由来となっている。林邑は今のカンボジアとベトナム辺り。僧仏哲によって伝えられたと考えられる。東大寺の大仏開眼式で演奏されたか?

アニメ攻殻機動隊の登場人物バトーのモデルとなっている。アニメ中でバトーは自分の名をバトー仏哲と名乗っている。

短い小品。三五要録の説明によると舞いに従って繰り返して弾くとある。繰り返し回数があらかじめ決まっていない。

仁智要録では乞食調に分類されている。

パーカッションは教訓抄(岩波書店)のp.118にあるものを使用。教訓抄の笛譜と竜笛要録譜は若干の違いがある。譜字の下の”動”は何を意味するのか?フラッタータンギングではないか?

曲想は明るい。とても猛獣を恨んで復習するという内容には思えない。馬が蛇を退治する内容であるという説もある。笑いの要素を含んでいたのではないだろうか?昔話が吹き込まれたレコードとかCDのBGMっぽい。

この曲でも古譜にある音を同じに演奏すると綺麗に聞こえない。其々ソロで演奏させると分かり良い。琵琶は単独で演奏しても元の旋律を想定できる位分り易い変奏(即興?)に聞こえる。

これは現在の雅楽の抜頭の演奏。いつも通り全然違う。コミカルでは全くないし、格式高い感じになっている。
この格式高さ自体が嘘ハッタリかもしれない。国民を騙しているのは新聞TV等の左派メディアだけではない。
明治以来政府が宮内庁雅楽部に荘厳に聞こえるようにテンポを落として演奏することを要請しつづけた結果が今の雅楽。原曲の印象さっぱり感じ取れない。
秀吉から家光の頃に復興した雅楽が今の雅楽に続いているのだが、それ以前の宮中の雅楽は廃れてしまい、どのように演奏されていたか誰も知らない状況になっていた。
そんな状況で箏の旋律をベースにして新たに構成されたのではないか?
言い換えれば、拙い腕前でも演奏できるように変奏、即興部分を排除してアレンジし直したのでは。。そういうわけで古譜をそのまま再現した演奏と全然違ったりするわけだろう。

僕は古譜の雅楽はジャズコンボの様にテーマと変奏(または即興)で構成されていたと考えている。
京都市立大学日本伝統音楽研究センターでも古譜に基づいて再現しているが、奏者の腕が拙すぎておもしろくない演奏になっている。研究する前に前提となる演奏の腕前が怪しい。

”雅楽の古譜を読む”では
  1. 古譜にある旋律をそのままDTMで音源化してどんな音楽が書かれているのか聞いてみる。
  2. 同時に演奏するとどうなるか?
  3. 各楽器のソロで演奏するとどうなるか?
  4. 箏の旋律をユニゾンで演奏したらどうなるか?
  5. どんなテンポが心地よく聞けるか?
を見当している。その音源を公開することで楽譜が読めなくても古譜にどんな音楽が書かれているか聞いて知ることができる。その上で研究者達による再現を聞いてみるとおもしろいと思う。
元がどんななのか?どこを直しているのか?変奏、即興は古譜に基づいているか?
研究者の腕前は確かなのか?LOL

構成

  1.  テーマ(箏の旋律をユニゾン)
  2.  篳篥(古譜にある通り。琵琶の箏の旋律)
  3. 竜笛(古譜にある通り。琵琶は箏の旋律)
  4. 琵琶(古譜にある通り)
  5. 合奏(古譜にある通りの音を同じに演奏)
  6. テーマ(箏の旋律をユニゾン)


参考文献

  •  仁智要録@宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録@宮内庁書陵部 伏931
  • 懐中譜@東京国立博物館 和1368
  • 竜笛要録譜@宮内庁書陵部 鷹609
  •  教訓抄 日本思想体系 岩波書店