24 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:古鳥蘇 新鳥蘇 高麗壱越調 改訂版

古鳥蘇


新鳥蘇


どちらも音階をE Ionianに設定した。というのは琵琶がE Ionianで書かれているから。琵琶の調弦はE MixolydianとE Dorianが同じ調弦でE MixolydianとE Lydianの違いが第7音でこれは箏の調弦には含まれていない音で左手の技法で作り出すから、E Ionianで演奏することが可能と思われる。


古鳥蘇の方が単純だが、たいして変わらない。5拍子の小節を含む古鳥蘇の方がノリが悪かったかもしれない。そこを改良したのか新鳥蘇では5拍子の小節は極々わずかしかない。

雅楽の古譜を読む:犬 破 急 高麗壱越調 改訂版


この曲は以前に動画にした。 

雅楽の古譜を読む:犬 破 急 高麗壱越調

法政大学で教鞭をとるスティーブンGネルソン教授の指摘を受けて、譜面の誤読箇所を修正したバージョン。

この曲は小節数によって3つ程の版があるが、笛の譜と小節数が合う基政説を採用している。

以前との大きな違いは音階。以前は琵琶はE Ionian、箏と笛はE mixolydianだった。これでも聞けないわけではないのだが、E Ionianは断然聴き易い。Ionianは長調の音階なので現代人の耳に慣れているからかもしれないが。


高麗壱越調自体がE Ionianスケールということになる。唐楽にはIonianすケースは無く、Mixolydian、Dorian、Lydian、Aeolianがある。そしてそれぞれに調弦方法がある。その調弦方法を用いて高麗曲の調も演奏するわけだ。それ故最も長調に近いMixolydianかLydianを適用して、半音でぶつかる第4音と第7音をトリルしてごまかすという手法が用いられているのではないかと考えていた。

Notationソフトの使い方にも慣れていなかったし、頭のメモリをめいいっぱい使っていたので方針を変えるという事ができずにいたというのもある。

2020年12月23日の時点で間違いはあるにしても高麗曲の全曲を読んだので、傾向は把握できた。もらった助言の活かし方も分かってきたので、修正版を作ってアップしていく。

23 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:新鳥蘇 高麗壱越調


改訂版。音階がIonian mode。序部分にパーカッションを追加。琵琶がIonian modeなのでそれに合わせた。


古鳥蘇の新しいバージョンらしい。

古鳥蘇の場合は5拍子+4拍子という構成だったが、新バージョンでは4拍子に統一されている。しかしテーマが5小節から成り、最終的には4小節から成るテーマで終曲する。

テーマをに3つのバリエーションを設けて、5小節から成る1と2を破に用い、4小節からなる3を急に用いる。長い換頭が用意されているがそれらは同一。1と2の間で演奏されるBridgeには2種類あって、1つは5拍子が挟まっている。


教訓抄によると序破と急にわけて演奏していたらしい。楽曲構成上は序は3小節程の長さしかない。破はテーマが5小節からなり、急は4小節から成るというだけで、唐楽の序破急に比べると技術が足らなさ過ぎる感がある。

 短い曲をループして演奏するという高麗楽のパターンを踏襲して、それに工夫を加えたように見える。




Youtubeに舞い付きの動画があった。

しかし、三重県の多度雅楽会の動画しかない。
この面が一体どういう意味の面なのか?

こういう不出来さというか単純さが残っているところが民衆の音楽へ影響を与え易かったのかもしれない。三重県北勢地区の獅子舞の曲楽曲構成に共通するところがある。

21 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:古鳥蘇 高麗壱越調


 ”ことりそ”

短い曲なのだが、繰り返しにバリエーションが設けられていて長い構成になっている。

篳篥と笛の譜は4拍子のみで書かれている。これに対して箏と琵琶は2回目の繰り返しまでは5+4拍子で書かれている。3回目の繰り返しからは4拍子のみになっているので、篳篥と笛は3回めの繰り返しから用いられると考えられる。


この5拍子が入っている意味がよく分からない。3回めの繰り返しにある4拍子だけの構成の法がわかりやすくて良いと思う。5拍子を用いるおもしろさがあったハズだが、それは何なのか?


Youtubeに新鳥蘇の方は動画があったが、古鳥蘇はなかった。

20 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:皇仁庭 高麗壱越調


全体でE Ionian modeで演奏するように変更。以前のものは琵琶だけE Ionian、他はE Mixolydianだった。


この曲は破と急の2楽章から成る。
教訓抄によるとその急には小踊り(こをどり)という舞いがあった。氏族によって舞う回数が異なるが3-5回程度舞っていたらしい。
”小躍りする”の語源だろうか?

破はゆっくり、中くらい、速いテンポで演奏されたらしい。速いのが京様、中くらいが奈良様だった。

フレーズを繰り返す箇所をエコーの様にしてみた。

Youtubeに動画があった。
2倍速で再生するとちょっとおもしろい。
青色と黄色の面を着けて舞うらしい。頭の後ろに見えるのが牟子だろうか?面を着ける時にかぶる帽子らしい。この青と白のボーダーが三重県鈴鹿市、四日市市を中心に活動する獅子舞の背中の模様と被っている。これは影響があると思う。左方楽の方ではこの柄を見たことがない。

2倍速で再生しても僕が作った音源の旋律に近づいているとは思えない。

古譜にある元の旋律を下敷きにして、それを長く伸ばして吹いて、その上に新たに旋律を付け足すという作曲技術は西洋でも発達した。それをカウンターポイントとか対位法という。
現在の日本の雅楽もそうやって発展してしまい、元の旋律を忘れてしまったのではないだろうか?
僕が読んでいる笛の古譜は室町時代位のもので、曲にもよるがとんでもなく込み入った譜が書かれていたりする。とても箏にある元の旋律を生き生きと演奏できないようなゆっくり過ぎるテンポで演奏しないと完全には吹けないような代物。







19 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:退宿徳 高麗壱越調


琵琶がE Ionianで書かれているので、それに統一してみた。前回の音源で最後が笛がテーマに戻るところが変奏していたので、それも修正。


 Youtubeには動画がない曲。先の進宿徳と似ている。

こちらは面が白くて老人に見えるらしい。後ろへ走りながら舞うところから「退走禿」と名が付いたという。

舞台を廻りながら舞った例もあったらしい。旋律の中間部分が短いフレーズの繰り返しになっているところが特徴的。この箇所で後ろへ下がり左右を見る振り付けが繰り返し行われたのか?

これに対して「進走禿」の方は前へ走りながら舞うということか?


これら宿徳は”盆踊り”等みんなで輪になって踊る舞いの元ではないのか?合いの手が入るところは進宿徳よりわかり難い。

雅楽の古譜を読む:進宿徳 高麗壱越調

 


全てのパートをE Ionianで演奏させた。この曲の調は高麗壱越調で唐楽の壱越調D mixolydianが全音高くなったと解してE mixolydianと考えていたが、琵琶はE Ionianで弾いているのでこれに合わせた。

篳篥の譜がない。

これは「若舞い」とも呼ばれるそうで、「退宿徳」という曲もある。

合いの手のようなフレーズが面白い。雅楽に合いの手があったとは考えもしなかった。

Youtubeには動画がなかった。これは廃絶曲ではないと思うが。


1曲が割と長い。そして演奏するテンポがゆっくりめ。これは笛の古譜がかなり込み入ってかかれているので、これくらいのテンポにしないととても吹けないから。


14世紀位はテンポがゆっくりになって笛が込み入った感じになっていたらしい。

18 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:狛鉾 高麗壱越調

以前のものは琵琶がE Ionianで演奏されていた。他の楽器はE mixolydian。新しい版ではすべてE Ionianで演奏している。

 ”こまぼこ”と読む。

宮内庁雅楽部の動画があった。

2倍速で再生するとちょっとおもしろい。演奏は趣味の団体とは違いますね。最後の方だとちょっとおもしろい。お祭りの囃子みたいに聞こえる。

この曲は18小節のものと22小節のものがある。18小節の方は曲の終わりが属音になっていて半終止になってしまう。
22小節のものは主音で終わる。これは18小節のものに冒頭の4小節に似たフレーズが付け加えられているように見える。
そこで僕が古譜を読んで音源化した版では冒頭の4小節を付け加えて曲を終えるようにした。

僕の作った音源にしてはテンポが遅い。それは笛の古譜にあるメロディが、この曲の旋律が快適に聞こえる位のテンポでは到底演奏できない位難しいからだ。凝り過ぎだと思う。しかしながらこれが演奏可能なテンポを求めていくと14世紀位にはかなり遅めで凝りに凝った演奏がなされていたことが想像できる。演奏の腕前が凄かっらしい。現在の日本の笛の伝統的奏法では舌を使って発音を助けたり、音を区切る奏法がないのだが、古譜にあるとんでもなく凝った演奏や同音を連続で発音したりする箇所が出てくるとこのタンギングという奏法があったのではと思う。

途中からの部分を「蘇利古」という別の舞いに用いるらしい。「進蘇利古」というまた別の舞いの曲を演奏せずに隠す時に、この部分を用いるらしい。


17 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:貴徳 破 急 高麗壱越調


紀元前に匈奴(北方騎馬民族)が中華帝国の漢に降伏して、属国になったという話しが元になっている。その匈奴の日逐王(じつちくおう)を帰徳候(きとくこう)と呼ぶらしい。

面を着けて舞う。その面が白表の鼻高面。一般的な鼻高面は赤で、天狗としても知られているし、日本書紀や古事記で描写される猿太彦の容貌だったりする。

Youtubeにも幾つも動画が上がっている。

これはばっちり白い面。2倍速で再生すると曲の旋律もちょっと楽しめる。舞いは雄壮なのかもしれないが、音楽はさっぱり雄壮に聞こえないけど、お祭りの囃子っぽい。聞くところによると雅楽では舞いが伴わなう演奏の場合は、その曲が管弦だけで演奏される時のテンポの倍の遅さで演奏するらしい。どうりで旋律聞き取り辛いハズ。2倍速再生で楽しめるようになるわけだ。

この貴徳には口がとがった鯉口という面があって、それは”ひょっとこ”面の元になったと考えられている。雅楽は明治になるまで一般の民衆は習うことができなかった音楽文化だが、祭囃子やお面などに影響があるのは余程おもしろかったということではないだろうか?
現在の退屈さがとても残念。
せめて曲を楽しめるテンポで倍にカウントして舞うとかできないのか?

これのペアになっている舞いが散手(さんしゅ)でこちらは赤い鼻高面を着けて舞う。


16 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:地久 破 急 高麗双調


琵琶譜がA Lydianで書かれているので、それが正しいとして他をA Lydianに統一してみた。


読みは”チキウ”。

別名”ヒタカホテモ舞””圓地楽”

面と甲を付けて舞う。虫除けの薄くて白い布を顔の前にかけるらしい。

こちらは第1版で古譜にあるように琵琶はA lydianで書かれているのをそのまま音にしている。次の動画ではそこを修正している。

呂催馬楽の「桜人」「美ノ山」に合うらしい。

桜人の内容は一夜を過ごした男が「明日また来る」と言って帰っていくのを「明日来ると言ったって妻帯者だから来ないでしょう。」と思いながら見送っているというもの。

アーフタクトで始まる曲が左方楽では珍しいが右方楽には幾つもある。

琵琶パートはA lydianで書かれているが、箏パートはA dorianだったりする。これは改訂版。

高麗双調は双調とつくからMixolyidianかと思いきやdorianだった。つまり黄鐘調と同じ。
試しにメロディをA mixolydianにしてみるとBとC#のクラッシュが気になって仕方ない。(単に僕のNotaterの知識の不足だった。)
そこでA dorianに統一することにして琵琶パートを修正してみた。
何故琵琶をA dorian 黄鐘調弦で書かなかったのか?黄鐘調ではないからか?と言う事はA dorian以外の可能性が高まる。


Youtube上に舞いの付いた動画がある。2倍速で再生するとちょっと面白い。

この動画の太鼓のパターンは高麗曲用の四拍子のパターンで僕も使っている。
どうしてこんなに彩りの無い旋律になるのだろうか?この人たちが音楽上手いとは思えない。

これまでの僕の音源動画では箏でアルペジオを常に聞かせていたのだが、この奏法は昔用いられたものではないと指摘があった。そこでアルペジオではなくて単音を同時に弾くように変更した。これによって低音が明瞭に聞こえる。この低音をテーマとして管楽器のソロの部分に重ねるとソロが効き易い。この場合ベースは要らない。全体として繊細さを増したと思う。また作業量も減った。

15 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:納曽利 破 急 高麗壱越調

 改訂版。琵琶だけがE Ionian modeで演奏し、残りはE Mixolydianだったのを総てのパートがE Ionianで演奏する様に変更。箏のアルペジオは止めた。繰り返し回数を増やしてテーマを憶え易くした。


双龍舞とも呼ばれる舞い。その名の通り2匹の龍が舞うという設定らしい。

これも相撲や競馬の節会で演奏されたらしい。

1人の舞人で舞う時は「落鱒」(らくそん)と呼ばれた。


この曲は破と急の楽章の間を切れ目なく演奏することがあったらしい。そのためのブリッジも譜に残っている。

箏の譜や琵琶の譜に拍子の記号が書かれていない箇所が多く、それぞれの譜やまた別の譜を照らし合わせながら読んだ。

Youtubeには舞いのついている動画が幾つもある。

これは簡単な解説がついて動画のどこから楽章が変わるかわかりやすい。2倍速でみると音楽もおもしろく聞こえる。少しだけだが。
古譜では箏や琵琶の譜が残っているのだが、最近の雅楽の演奏では高麗楽は弦楽器無しで演奏されている。それが余計につまらなさを感じさせていると思う。
これ破と急とそんなにテンポ変わらないように感じる。大きくテンポがかわることはほとんどないと思うが。これは西洋音楽でも言えることで昔の演奏は緩急の差はせまかったらしい。こちらが僕が古譜を読んで作った音源。
現代の雅楽は狂っていると思う。

参考文献
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子曲並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏884
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十七、十八、十九、二十
  • 平安時代の箏ー失われた伝承をめぐってー スティーヴン・G・ネルソン 2008


14 Dec 2020

雅楽の古譜を読む: 長保楽 破 急 高麗壱越調


右方楽の中曲。長浦楽、長宝楽、泛野楽など名前がある。

さらに破を保曾呂久世利、急を加利夜須という。

教訓抄でこれらの名を上げているがその名の由来については分からないとしている。

急については高麗笛平調、弦楽器下無調でkeyが違うとも言及されている。

仁智要録には急が2つ掲載されていて、同急とタイトルのある方は平調調弦で書かれている。三五要録には下無調の急だけが掲載されている。

笛と篳篥の譜は下無調で書かれているが、両方共小節数が異なっている。これらはどれも箏と琵琶の譜には合わない。

他のパートを移調して、箏の同急と比較してみたとろこ、管楽器は冒頭のテーマをそれぞれの末尾にコピペすればだいたい補完できる事がわかった。これで補完できない個所はそれぞれの譜の中の似た小節から切り貼りして補完できた。

こうして補完できた急は19小節あった。これは教訓抄で言及されている18小節に近い。冗長と思われる小節があるのでそれを省略したら18小節とすることができる。

これを下無調に移調して4本の楽器がそろった下無調の急ができあがった。


舞いのついた長保楽の急がYoutube上にあった。

急だけのもある。

右方楽の曲名は万葉仮名っぽい。この曲は長保楽という名だが、破を保曾呂久世利、急を加利夜須というらしい。これらの意味が分からないのは残念。
保曾呂は”ほそろ”は”ホト”で古い日本語で女性器を示すのではないか?”くせり”は古語の”くじる”で穴を開けると言う意味だが、”女性器を愛撫する(いじる)”といういみなのではないか?
”かり”は陰茎のカリで”ヤス”は古語で”やせる、やつれる”
つまり、破は女性器のを愛撫するする時にかける曲、急は男性器を果てさせて萎えさせる目的でかける曲ということではないのか?

左方楽の扶南と言う曲が房中楽で、子作りする行為の時に奏でる曲だったらしい。右方楽にも同種の曲があってもおかしくない。


12 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:五常楽 急 平調

 

現代の雅楽の箏では失われて用いられない奏法について研究しておられる大学教授が冊子を送ってくれた。それを読んでもう一寸修正できる個所があったので直した。

Yourtubeにアップしたところいろいろとアドバイスをもらって読譜のミスに気づいたので修正版を製作してアップした。古いのも残しておく。

これまで製作した音源のほぼ総てに誤った読譜が用いられているので、それらはいずれ直す。

五常楽には序破急そろっているのだが、とりあえず今回は急だけ。

この曲は唐で作られたということになっている。平調というEを主音とする短調系の調で書かれている。しかし箏はほとんどの場合他の調の特徴音を用いて演奏するので、旋法の間を行ったり来たりする感じがする。これが古代の雅楽の箏の演奏の特徴と思う。この手法は現代の雅楽では失われている。左手を使って音程を作りながら弾く手法は高度だったのだろうか?現代雅楽はたいして上手くもない奏者でもなんとか弾けるようにレベルを下げているように聞こえる。

この様な手法を用いるのは現代ではMode Jazzに見られる。

毎度の通りテーマは箏の旋律からとっているが、臨時記号で他の調っぽく聞こえるので、それを直して平調の旋律にした。箏の元の旋律は曲の中程でソロとして演奏させている。

其々の楽器のソロは古譜にある通り、そのままの演奏。


Youtubeにも五常楽の急の動画があった。

これは急のテンポじゃないと思う。ナメクジの急の感じだとこんなかな。


11 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:延喜楽 高麗壱越調

以前のバージョンは箏の左手の技法を誤解していたし、調弦自体がおかしかった。指摘を受けて直した版。長調で演奏されている。長調自体が唐楽にはないのだが、どうも高麗楽を特徴づける要素が長調らしい。



延喜(901-923)に日本人によって作られた曲。式内神社とか延喜式内神社とかはこの延喜。この頃に律令の細目が改正されまとめられた。今も神社の宮司が行っている儀式の次第とかはこの延喜式に書かれているらしい。

皇紀2600年とか適当なこと言っているわりには、神道の次第は1100年位前にまとめられたもので執り行っているわけ。それ以前からあった信仰はどうなったのだろう?

遣隋使という語は日本書紀に載っていないわけだが、遣隋使はあった。倭から倭の国の楽をもっていったら、隋ではもう見られない位古いスタイルの五弦琴を用いていたので、珍しいということで倭国楽として宮廷の宴会用楽に加えられた。中華帝国は周辺国を平定するとその音楽を取り込んで宮廷の宴会で演奏させていた。つまり倭国は取り込まれたというわけ。

この取り込まれた倭国を切り捨てて、日本として再度中華帝国と国交をしきり直そうとしたのが日本ではないのか?切り捨てられた倭国は沖縄へ逃亡したという説もある。後に海賊として対馬辺りを根城にして活動してたらしい。


Youtubeには舞いの付いた動画もある。

最低でも2倍速で聞かないと音楽のおもしろさはわからない。これ短調系に聞こえるんだけど。。高麗壱越調って短調?壱越調がD mixolydianだから第3音は長三度のハズだが。僕の読んだ譜と全然違うように聞こえるんだけど。。

10 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:仁和楽 高麗壱越調

 

音階をE ionianに統一。箏の奏法記号を誤読していたのを修正。

日本で作られた雅楽曲。仁和代(885-889)という短い間に作られた。

繰り返す時に演奏される換頭という箇所があるのだが、これは祕密とされていた。譜を読んでみたところ、秘密にすると言うほどのものではないと思う。

旋律のフレージングが長いのが左方楽や右方楽の大陸伝来の曲との違いだと思う。この曲が右方に配された経緯はわからない。そんなに良い曲とも思えない。

Youtubeで舞いの付いた動画があった。

せめて2倍にしてないと聞いてられない。
Youtube動画をもっと倍速で再生する方法はないのか?動画をダウンロードしてpcのプレイヤーで再生速度を上げる方法があった!これで3倍位で再生すると面白い。僕が読んだ古譜と全然違うけど。この動画で演奏している曲は古譜を元にしていないのか?基本的に全てのパートがユニゾンというのは古譜と同じ。

参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

9 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:林歌 高麗平調

箏と琵琶は平調で書かれているが、笛達に合わせるために全音高く調律する。

譜によっては”臨河”という異名があると説明されている。

前半はアーフタクトで始まる。後半は頭拍から始まる。拍子(小節数)は14なのだが、箏譜には拍子が11と短いものがある。動画では各楽器の独奏として拍子11版も演奏させている。

2倍の再生速度で再生するとちょっとおもしろい。

高麗壱越調は明るい調性に聞こえる。高麗曲の大半はこの調なので短調系の曲が少ない。

教訓抄には高麗平調は林鐘調と説明があった。

この旋律は催馬楽に用いられている。

現代語訳「催馬楽」(25)

7 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:白浜 高麗双調

 

読みは”はくひん”。

笛と篳篥の譜は箏と琵琶の譜より短いし、譜の終わりの音はEで高麗双調の主音Aとは異なる。

また1拍ズレている。1拍ズラして演奏する方法も用いられたのか?舞いの間くり返して演奏するので、聴衆の興味を弾くために様々な手段が講じられたと思われる。


この譜を読むのは苦労したのだが、意外にYoutubeに動画があったりする。

最低でも2倍速にしないとおもしろくない。よくもこんな遅さで演奏する気になるものだ。これが洗脳の結果というわけか。


参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

6 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:登天楽 高麗双調

三五要録は水調調弦でないとコクのオクターブが合わない。返風香調の調弦のまま全ての弦を全音高く調弦する。

三五要録では高麗双調は返風香調で弾くとあるが、それでは笛より1全音低い。水調調弦は返風香調を1全音高くしたものと同じ。

琵琶譜から#4個の調と思われるが、箏譜からは#2個の調に見える。

今回は笛達も#2個の調にして、琵琶は独奏の時に古譜のままに演奏させてた。

伏808は拍子が8と短いが繰り返しの反付から2小節間を末尾に加えて長くすれば、他の楽器に合う。


教訓抄によると男の舞いらしい。舞う間の拍子は50なので10回程くり返して演奏していたらしい。この間に1回位は曲の冒頭から演奏していたと思われる。

Youtubeに動画が上がっている。

他にも舞いがついているのもあるが、さらにゆっくりなテンポなので聞いてられない。

参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

5 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:埴破 高麗壱越調

読譜ミスを修正。

 ”はんなり”と読むらしい。

宮内庁書陵部に所蔵されている六調子及高麗曲譜 伏872には別名として”金玉舞”、”登球舞”とある。

子供が舞う童舞いとされることもあった。玉を持って舞うのだが、童舞いの時は花を持たせた。丸めた紙を持たせることもあったらしい。この舞いについての由来は平安時代末期にはすでにわからなくなっていたそうだ。(教訓抄より)

Youtubeには篳篥の独奏の動画があった。

僕は篳篥の古譜を見つけられなかったので、僕の動画では篳篥無しになっている。この人の演奏は現代の雅楽風に聞こえる。古譜を読んでいるのではないのだろうか?

これが僕が今回読んで音源化したもの。この曲のテンポは割とゆっくり。笛の譜の音符の大さに目を見張る。32音符の箇所が幾つもある。


雅楽の元になったのは大陸から伝来した舞楽。新羅楽、百済楽、高麗楽など三韓楽とよばれたものとか、インドからカンボジア辺りを経由して入ってきた林邑楽とか、隋唐の宴会で用いられた燕楽、朝鮮半島近海の済州島からと思われる渡羅楽など。燕楽は中華帝国の西方の国々の特徴的な曲が含まれていた。

龍笛はインドで発明されたBansuriが元になっていると思う。当時は最低音とその直ぐ上の第7指穴による音の音程は様々あっただろう。現在は最低音がReだったら第7音孔はRe#。妓楽の笛として伝わってきたものは最低音がDoとしたら第7音孔はDのものがあったと思われる。

日本の現在の龍笛では最低音は用いない。音程はDoかDo#で、第7音孔はD#。当初は最低音は最低音はReだった。江戸時代初期の宮廷の雅楽の再興の折りには最低音が半音以上低くなっており、古譜にある通りに吹けない龍笛が定着してしまい、これが現在まで続いている。

このバカな誤りを未だに直せないのが現代の雅楽。テンポも原曲の味わいがわからない位遅くなったまま、直そうともしないし。話しになりませんね。

4 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:蘇志摩利 高麗双調


平安時代末期以前にすでに廃絶曲だった。天暦(947-957)年代に多好茂が舞いを考えて再興した。明治時代に宮中の雅楽のレパートリーから外されたらしい。他に道教系の千金女児や案弓子等も外された。仏教系の舞い楽は残された。廃仏毀釈だったのに。

雨乞いのために用いられ、必ず雨が降ったと教訓抄には書いてある。おおよそ8回程くり返して演奏される間舞われる。

蘇志摩とも呼ばれ最後の”利”の字が省かれることもある。この”利”が何を意味するのか不明。

この曲には異名がある。廻庭楽とか敷手とか。敷手は別に曲がある。右方楽には鶴舞もダブってある。

Youtubeに動画があった。


再生速度2倍にすると少しは楽しめる。旋律がユニゾンで演奏されているのがよくわかる。この演奏は僕が古譜を読んで音源化したものに近い。

琵琶は水調調弦、箏は壱越性調調弦で読むと互いに合う。

参考文献

  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

3 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:酣酔楽 高麗壱越調

 廃絶曲。Youtubeに動画はない。


元々右方楽だったが、左方楽に移調、編曲された。藤原氏が春日大社に詣でた翌日の食事(うどん粉/小麦粉でつくられたもの)のBGMだったらしい。酣酔は酒にかなり酔っているという意味なので、酒のつまみというところか?それとも飲酒後の占めのラーメンか。

右方楽に多く見られる短いパッセージの繰り返しで構成されている。

雅楽には酒に関する曲が幾つもある。雅楽のベースは中華帝国の宴会用の曲なので当然といえば当然か。

現代の日本の雅楽はその宴会用の曲のテンポを4-16倍に引き伸ばして原曲の楽しい味わいを消し去り、荘厳さを感じさせるように編曲されたもの。これは明治以降の政府の度重なる要請によるものらしい。日本政府(右派)による日本国民洗脳の一手段と思われる。

国民主権なので国民は正しい、真の情報を提供されるべきだし、政府や皇族、旧華族の権威によって洗脳工作が行われているのは非道と思う。左翼は当然ゆるせないが、右翼にも断然許せないことをやっている奴等が入る。

特に今の天皇と前の天皇、皇族は少林寺拳法を手下にして、王族、旧華族の子供にリンチを仕掛けて従わせていた。皇位を継ぐにあたって、他の王族に認められる必要があるのだが、今の天皇はその王族に出自を知らせず、自分が王になることに同意させた。それを他皇族には皇位を継ぐことを認められたと吹聴していた。卑劣な屑野郎である。こんな奴が天皇でいいわけない!上に立つ者が屑だと下々がそれを見習って屑になる!

参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫199-0162
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

2 Dec 2020

雅楽の古譜を読む:胡徳楽 高麗壱越調

読譜ミスを修正したバージョン。
 

遍鼻胡徳とも言う。酔っ払って赤くなった顔を模した面を被って宴会の酒盛りの様子を演じる。そのBGMらしい。


信西古楽図 p.16は唐の燕楽の舞いを描いたものだが、そこにある遍鼻胡童の絵では舞っており、酒盛りの様子に見えないし、面を付けている様にも見えない。

Youtubeに現代の胡徳楽の動画がある。最後の方でちょっと踊っている。

僕が古譜を読んだのがこれ。


全然別の曲に聞こえる。現代演奏している雅楽は戦国時代に絶えていた宮中の雅楽を知るものが誰も居なくなってから、地方の楽人を呼び寄せて古譜や地方に残っていた雅楽を手がかりに復興させたもの。秀吉から家光位までかかった。

当時のテンポは今よりもずっと速かったらしい。僕の古譜の読譜した結果と同じくらいのテンポだったかどうかはわからない。

Cambridge Universityが笙の楽譜をベースにしてテンポを速く設定して復曲する研究をしているらしい。盤識参軍という曲においては、芝祐輔による復曲だと演奏に5時間かかるものが、40分で終わるらしい。どう考えても演奏に5時間はおかしい。平安時代の時間の感じ方が異なったと言っても宴会で5時間も1つの曲を楽しめないと思う。

明治以降の政府が権威を高めるために雅楽の演奏を荘厳に聞こえさせようとテンポを落として演奏するように再三要請した結果が現在の雅楽。宮中の雅楽が遅く演奏され、地方もその影響を受けただろう。音楽を国家の(皇族の)権威を高めるために歪ませる使い方は非常に悪質と思う。日本人は雅楽が中華帝国の宴会用の音楽だということさえ知らなかったりする。すでに40曲程雅楽の古譜を読んでみたが、どれもテンポを上げるとなかなかおもしろい旋律が聞こえてくる。どの曲もそうなのだ。


仏教系の雅楽曲もあるし、道教系の雅楽曲もあった。明治に道教系の雅楽曲は選定から漏れてしまい、演奏されなくなった。

天武帝とか道教狂いだった天皇がいた。その後も聖武とか仏教に入れ込んだりして、国を統治する立場でありながら、科学的に思考できないバカさだった。道教の影響も日本は強く受けている。家を立てる時に土を盛ってお祓いするのは土公という中華の呪術だったりする。

現代は国民が国政の有権者なのだから、国民はあるがままの本当のところを知らなければ判断できない。その情報は左翼系メディアTVと新聞によって偏向報道されていて、国民は洗脳されている。教育はその準備段階。教師は国家の左翼化に貢献しているのだ。日本を左翼化したいのは隣の中国。そしてアメリカの共産系の政治。日本の優位な技術力、生産力を破壊したいのはグローバルビジネス。

世界と関わらないという選択ができないのだから、これらの悪い勢力に対して徹底的に対抗して日本を守っていかなくてはいけない!


参考文献

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一
  • 信西古楽図 p.16 国立国会図書館

30 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:胡蝶 破 急 高麗壱越調

 

E Ionianで演奏させるよう直したもの。急は笛と篳篥が1拍後にズレていることがわかったのでそれを修正した。

子供が蝶々の着ぐるみを着て舞う舞い。番舞は迦陵頻伽で鳥の着ぐるみを着て舞う。

破は最後の繰り返しのみパーカッション付き。急は繰り返し回数の指定がない。

迦陵頻伽はインド伝来と考えられるが、胡蝶は日本で作曲されたものらしい。子供相撲のために作られたとか。

急の笛は4拍子で書かれているが、箏と琵琶は2/4拍子で書かれている。

急の管楽器はテーマから離れ過ぎに聞こえる。

Youtubeで幾つも動画がヒットする。

これは熱田神宮の。7:38位からが本曲。それまでは乱声とか音取りとか。たるいのを吹く決まり。

教訓抄 日本思想体系の脚注には着ぐるみの図が書かれている。


高麗壱越調は箏では平調調弦(E dorian)で弾くと指示があるのだが、これでは琵琶と微妙に合わない。太食調弦(E mixolydian)で弾くと琵琶との合わなさはだいぶん解消される。

琵琶と箏の古譜は其々三五要録と仁智要録で同じ人物が監修したので、これらの譜による演奏はより合うハズと思う。


参考文献

  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

29 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:崑崙八仙 高麗壱越調


教訓抄には 三五要略では鶴舞と呼ばれているとあるが、現存する三五要録では崑崙八仙になっている。

先に音源化した都志も鶴舞なので比較できる。


アイヌの踊りに鶴舞があったりする。そして楽器にも和琴がある。雅楽からの影響なのか?

右方楽には単純な旋律を繰り返して演奏するというものが多く見られる。このアイヌの鶴の舞の音楽も単純な短い旋律の繰り返しでできている。こういう構造のものがより古いのだろうか?


楽譜には小拍子が欠落しているとか、拍子が半拍ずれているとか、曲の末尾が足りないとか、問題があったこれらは箏の譜に合わせるように手を入れた。

Youtubeに宮内省楽部の昭和18年の演奏があった。葬式?という感じ。
春日大社で演じられたもので舞いがついているのがあった。

鶴というより小さな孔雀?けだる過ぎるテンポ。ナマケモノの舞い?

音楽を台無しにする遅すぎるテンポ、荘厳に聞かせて権威を示すという実を伴わないハッタリを国家規模でするの止めてほしい。やってはいけないことをやってると思う。

参考文献

  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

28 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:石川楽


読譜ミスを修正したバージョン。


教訓抄によると 読みはセッセー。

この旋律が歌詞を伴って催馬楽というジャンルで歌われた。

歌詞はこちら ≪巻第十二の催馬楽・つづき≫

このサイトの解説によると高麗から渡来した人が女性の家へ通って一夜を過ごした後に帯を取り間違えて返ってしまった話しらしい。畿内に渡来人が多く住んでいたのは興味深い。石川は大阪府南部にある川なのか。

吉桿という曲には”力無き蛙、骨無きミミズ”の歌詞が付いていた。

石川の旋律についている歌詞は”石川”という語句が入っている。そして”高麗人”も歌い困れているので、右方楽に属する曲であることを踏まえて歌詞が付けられたらしい。

平安時代末期には雅楽の石川の舞いはかろうじて残っていたが、それを伝える者は他者の質問に誠実に答えなかったらしい。現在では廃絶曲になっている。

この曲は箏は弱拍から始まる。笛と琵琶は強迫から始まっている。

曲中で2拍目からフレーズが始まる箇所がある。

笛の譜には初回は低い音域で、2回目以降は高い音域でと指示がある。これは珍しい。

石川姓の宮司の家系がある。


参考文献

  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一


雅楽の古譜を読む:都志与呂妓 高麗壱越調


読譜ミスを修正したバージョン。

 教訓抄によると鶴舞、八仙と呼ばれることもあるという。

崑崙八仙というい曲があるがそれと被るのではないか?

崑崙は妓楽の登場人物でもある。それはアフリカ系黒人奴隷を示すこともあった。

この曲想からは崑崙奴と関係があるようには思えない。


篳篥の譜を見つけられなかった。

平安時代末期には既に絶えていたらしい。仏教の法会のために用いられる曲だった。現在は廃絶曲。


リズムセクションは高麗の四拍子を採用。


右方楽はご機嫌な曲が多い様子。


参考文献

  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

19 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:蘇莫者 序 破 盤識調

箏の読譜の誤りを修正したバージョン。


新撰笛譜の旋律はシンプルで基本のメロディが分り易いが、六調子や大家龍笛要録譜は装飾が多すぎて話にならない。

これらの装飾過多の旋律が合奏されたとは考えにくい。

合奏には個人の奏者のためにソロパートが設けられていたのではないだろうか?Jazzのコンボみたいにソロを披露する機会があったのではないか?

 序の部分は古くは繰り返して演奏されたが、平安時代末期には繰り返し無しで演奏されたらしい。木管楽器の旋律が装飾過多なので、それらはオミットした。

破の方は木管楽器の装飾過多の旋律をソロパートとして演奏させている。

序は一定の拍子がないだけでテンポは遅くない。破は一定の拍子があるが、テンポは速くない。

この曲は復曲されていてYoutube上でも動画がある。

5:45からが当曲と思う。
雅楽は無駄に前置きが長い。

信西古楽図では蓑を着ていてこんなきれいな格好はしていないのだが。

譜によっては”蘇が莫者を作った”と書いてある。。

越殿楽なら”殿が作った”とか。。

聖徳太子が馬で出かけている時に馬上で尺八で蘇莫者を吹いたら山の神様が化け物の格好をして躍り出てきて舞った。その舞いをコピーしたのが宮中の蘇莫者の舞い。

日本の雅楽は中華帝国の宴会用の舞楽、流行歌なので、楽しんで見聞きできるハズなのだが。

聖徳太子自体が怪しい存在なので後付けのストーリーと思う。

日本は中華帝国に阿毎多利思比古が用明天皇と申告している。聖徳太子は用明の息子。

天照は九州王朝の歴代の王の一人だった。王年代記で中華帝国に渡った情報なのだが、これを保守も左翼も取り上げないのは何故?

参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏587
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録 巻之十七、十八、二十
  • 新撰笛譜 富山市立図書館 no.3828

15 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:阿夜岐利 高麗壱越調

読譜ミスを修正した改訂版。



面:女形 白 牟子 一説鳥甲

教訓抄p.95によると幾つも呼び名があったらしい。

  • 愛嗜女(御神楽の歌あじめの作法と関係あるか?)
  • 大靺鞨
  • 阿夜岐理
  • 高麗女

舞人が6人で亀甲の形に並んで舞う。拍子18、10。拍子100まで舞う。どのように見ても女姿の舞いである。口伝では音取らずして直接吹く。初二拍子序吹く。拍子打たず。初拍子は次に太鼓を打つ箇所。

常説は心調子を吹き、この曲を吹く。常楽の様に。

この曲には”ソライリ”というものがある。ミナイリナムトスルヨウニテ、又ウチカエリテ舞う。打返舞時、拍子加える。口伝では空入は舞入りて、後頭が舞台の端際まで歩き寄って、我に立ち返って舞う。


曲の冒頭の2小節が序ということなのだろうか?琵琶に小拍子1つ分に多量の音符が詰め込まれている。


伏904の琵琶譜は拍子14となっているが、譜には12しかない。冒頭の2小節を繰り返すというのがしばしば見られるパターンであるが、それを示す譜字はない。

伏808の篳篥譜は冒頭に太鼓の百と小拍子が書かれていない。この部分が序であろうか。百を数えると13あるので冒頭に1つ加えると14。反付の位置は3小節目に返るということと思われる。冒頭の小節は”引”の譜字をフレーズの目安として音符を割り振った。最初の百の前の譜字は不明。


伏872、伏808と伏904は基本の旋律線は合っているように聞こえる。しかしながら笛と篳篥の変奏は大胆。伏904の琵琶から基本旋律を抜き出して見ると仁智要録伏865と似ている旋律で構成されていることがわかった。そこで拍子18の仁智要録から拍子14のバージョンを復元してみた。琵琶譜の冒頭の2小節は繰り返して、1回目は倍遅く演奏し序とした。


パーカッションは高麗の四拍子を採用。


おかめの面はこの阿夜岐利から発展したと思われる。ひょっとこは同じく右方楽の貴徳の鯉口から。能の女面も源流はこれ。能には翁の面もあり、それも源流は右方楽の採桑老と思われる。

獅子舞の口取り、天狗は伎楽の治道。雅楽の左方楽の散手。明治になるまでは雅楽は一般民衆には公開されなかったのだが、影響は受けていた様子。能管が竜笛の見ためにそっくりなのも興味深い。しかし能管は喉があって音程が不安定でまともに吹けない。これは雅楽の楽器を民衆の手に渡さない工夫だったのか?

武士の間で能が流行ったのは雅楽を流出させてはいけなかったからか?

”どのように見ても女姿の舞いである。”そして鳥甲。女が鳥甲被るだろうか?また”どのようにみても”とわざわざ言う意味があるのか?この舞いは女に男装させて舞う舞いではないのか?白拍子に繋がるのか?


参考文献

  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 高麗曲並六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏904
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 楽家録 巻之十八、十九、二十一

12 Nov 2020

作物(造物) 高麗壱越調


読譜ミスを修正した改訂版。



教訓抄には 作物は高麗壱越調、双調、平調にあるらしい。それぞれ作曲者が異なる。

高麗壱越調のこの曲は百済真雄(貞雄)によるもの。姓が百済で曲が右方楽に属するところがおもしろい。


リズムセクションには高麗四拍子を採用した。

三五要録によると「散手」が作物を用いる時「貴徳」はこの曲を急として用いるとある。

教訓抄によると「貴徳」が急を隠す時、この曲を用いるとある。


参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫 199-0162
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録 巻之十八、十九、二十一

10 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:常武楽(常雄楽) 高麗壱越調


 教訓抄によると高麗の退出音声として用いられた。

しかし平安時代末期には高麗の退出音声自体演奏されなくなっていたらしい。高麗の参音声は顔除と黒甲序、この常雄楽の3つのことを指すのだろうか?

懐中譜は拍子12。三五要録は拍子13。これらの旋律は合わないところが多い。

今回は琵琶譜を元に笛のテーマを作った。繰り返し2順目は懐中譜のオリジナル。


高麗曲の方が唐楽よりも古い楽曲の様に感じる。構成が単純で短い。


参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹931
  • 高麗曲譜等 宮内庁書陵部 伏978
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫 199-0162
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

9 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:進蘇利古 高麗壱越調

 

読譜ミスを修正したバージョン。

Youtubeで見られる蘇利古と同じと思われる。古譜では進蘇利古となっていて、退蘇利古はない。

篳篥の譜を見つけられなかった。

太鼓は高麗の4拍子を採用した。懐中譜は小節線は分かるものの小拍子がないので音価が分かり難かったので箏の旋律に合うように校訂した。

教訓抄によると早楽とある。

幾つか見たがどれも速いテンポに聞こえないのだけど。。。調も短調系に聞こえるし。。

教訓抄が書かれた平安末期には舞いは絶えていたらしい。そして儀式の退場用の曲として用いられていた。

アーフタクトの音価は8分音符なのか?4分音符なのか?アーフタクトはあまり効果を上げていないと思う。


高麗楽は繰り返しを多用していて唐楽より古めかしく感じる。また唐拍子と呼ばれる2/4拍子の曲が高麗楽に多く見られるのも興味深い。この曲は4/4拍子。

三重県北勢地区の獅子舞の曲が2/4拍子なのも興味深い。この獅子舞は田楽系と考えられるが、その田楽は伎楽から発展した様である。伎楽は百済から入ってきたことになっている。


”千と千尋の神隠し”に登場するキャラはこれらしい。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹931
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫 199-0162
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

8 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:敷手(志妓手、志岐伝) 高麗壱越調


読譜ミスを修正した改訂版。




 教訓抄によると舞いがあり、天皇の元服を祝って舞うらしい。

拍子は14だが、しちりき篳篥は12。舞いは拍子が180になるまで舞われる。拍子12でだったら15回繰り返す。

舞人が大輪小輪を作るのが、四天王寺の獅子舞っぽい動きか。青海波に似ると書いてあるが、今の青海波は輪を作っていないのでは。早拍子なのに遅いし。。

舞がついていたらテンポが遅くなるのだろうか? 現代のは恐ろしく遅い。何がおもしろいんだかわからない。

三重県北部の多度雅楽会の演奏。テンポ遅すぎて合わないのではないか?大輪も小輪もないし。舞台セットとか衣装は良くても実力が伴っているとは思えない。こういうハッタリ精神は良くないと思う。


参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 楽家録
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店

6 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:黒甲序(倶倫甲序) 高麗壱越調

 

高麗の参音声の一つ。教訓抄と三五要録では拍子が13であるが、懐中譜と高麗曲等譜では拍子が12のものが掲載されている。

平安時代末期にはすでに演奏されていなかった。代わりに狛鉾が演奏されていた。

笛は基本の旋律に基づいているが、かなり凝った変奏をしている。

リズムセクションは顔除と同様にした。


参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 高麗曲等譜 伏978
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣府 199-0162
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店

雅楽の古譜を読む:顔除 高麗壱越調

三五要録にだけ譜が残っている。

2020 11 05 懐中譜に笛譜があるが、拍子16なので琵琶の拍子18と合わない。旋律線が共通のところを参考に琵琶譜にあうように補填、校訂した。

かつては行事の会場に右方の人が入る時、高麗の参音声として用いられたが、平安時代末期には既に演奏されなかった。この代わりに演奏されていたのが春庭花。新河浦がこの曲の急として用いられた。

高麗曲を読んでいて唐楽と変えた事がある。それは小拍子間の音価の割り方を基本的に2分するということ。例えば「8分音符+16分音符の3連符」を「16分音符4つ」として速いテンポに対応していたのだが、ここまで読んだ数曲の高麗曲ではそこまでテンポを上げずに前者のように読んだ方が、音楽が生き生きする。
Jazz waltzやbebopの様にテンポによってswingの度合いが変わるように雅楽でもテンポによる変化があったのではないか?

楽家録に太鼓、三之皷、鉦鼓の譜があるので、今回は打楽器に集中した。

アニメ映画「千と千尋の神隠し」に出てくる”かおなし”というキャラはこれを元にしているのではないか?

参考文献

  •   三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録 巻之十八、十九、二十一
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫 199-0162

4 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:越殿楽 黄鐘調

 

現存していないが、南宮譜と新撰笛譜では平調に越殿楽が含まれている。

盤識調に小曲が少ないため、編曲したらしい。黄鐘調への編曲の経緯については分からない。


退出用音声として用いられた。急として演奏されたのでテンポは速い。現在の越殿楽のテンポはどの文献に基づくのだろうか?笛の古譜の旋律は過度に装飾、変奏されていない。よって譜のまま合奏してもわりと聞ける。


黄鐘調の越殿楽の動画もYoutubeにあった。これが急のテンポなのか?テンポ設定は何に基づいているのか?


参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 六調子譜 宮内庁書陵部 伏892
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録巻之十七、十八、十九

3 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:新河浦 高麗壱越調

 

読譜ミスを修正したバージョン。

顔除の急として演奏される。

懐中譜に笛譜があったが、テクニカルな箇所が多く、箏の素のメロディーを隠してしまう。

動画では初めに笛無しバージョン、次に笛ありとした。

太鼓は4拍子のパターンを用いている。曲の入りは高麗曲の加える法を用いた。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一
  • 懐中譜 国立公文書館内閣文庫 199-0162

2 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:高麗竜 破 急 高麗壱越調


日本の雅楽にかつてあった4種の獅子舞型の舞の一つ。琵琶の譜だけが残っている。

2020 11 04 国立公文書館内閣文庫の懐中譜に掲載されている。

天皇が五月の節句で競馬を見にいく時、御輿に乗って出かけるが、その御輿を先導したのが獅子舞型の舞の一つである蘇芳菲。その番舞となるのがこの高麗龍。高麗龍は天皇が御輿に乗り込む時(?)だったかに演奏された。

急は結構ご機嫌な曲想。2/4を唐拍子というのだが、中華っぽい。

三重県北勢地区の由緒正しい獅子舞、稲生流、山本流、箕田流、中戸流の曲も基本2/4拍子。中華の唐拍子の影響を受けているのだと思う。

この地域では神社守の像は狛犬と呼ぶ。見た目は獅子。社から見て左が獅子で右が狛犬、これが本来だが、現在は両方とも獅子になっている。狛犬には頭に一本角があった。

鈴鹿市の長太地区の獅子頭には頭に小さな突起が付いている。これは狛犬の名残りと思われる。しかし獅子頭自体は朱で塗られている。

獅子連中は自分たちの芸に高いプライドを持っているが、井の中の蛙なので実際の腕はたいしたこと無いし、自分たちの獅子の歴史とか研究しないのでよく分かっていない。

参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録 巻之十八、十九、二十一
  • 懐中譜 国立公文書館内閣文庫 199-0162


1 Nov 2020

雅楽の古譜を読む:犬 序 破(破 急) 高麗壱越調

龍笛の秘曲が獅子で、狛笛の秘曲が犬。笛の譜は残っていない用だが、箏と琵琶は残っている。箏に少しだけ笛の譜が書いてあるが、狛笛は指穴が6孔なのに第7孔を示す譜字が使われている。これは狛笛はかつては7孔だったことを示しているのではないか?
2020 11 05 懐中譜に笛譜が掲載されていた。第7孔を示す譜字については僕の勘違い。

紫宸殿の玉座の前に狛犬と獅子の像が飾られている。雅楽においても獅子と狛犬の曲がかつてはあった。狛犬は頭に1本角がある。獅子にはない。

天皇の神輿を先導する蘇芳菲は金色の頭に1本角で子供を2匹連れている。しかし信西古楽図にある唐の蘇芳菲は角がなく、全身毛むくじゃらで今の沖縄の獅子舞に似ている。

序 拍子13、12、11

破 拍子12

箏の譜に部分的に笛が書き込まれている。それと懐中譜の譜とは一致しない。

仁智要録と三五要録は対応して複数パターンを掲載している。序が3、破が2。これらには基政、政清と名がある。また破には明運譜拍子二十四とあり、明進譜では倍の拍子をとっていたらしい。


教訓抄p.106

狛犬、破、拍子十一又十二。急、拍子十四。一説これを序破と言う。相撲に用いる。打毬の時右方の勝負の楽とした。舞う者二人。口取り二人。舞い入る時松明を含め(?)ながら入る。楽に破急あり。乱声狛犬でて、乱声狛犬伏す。破を吹くとき松明舞い興す。急を吹く時、火を食う舞いに入った。

古譜によると乱声を吹き入場曲と為す。犬出て付せる時序を吹く。次に大真人出る。出て来たところ犬が大真人を追い噛む時乱声吹く。次破吹き始めるべし。今は序は破となり(?)、破は急である。

p.108

狛笛には「犬」「吉桿」といって、左右無き道の秘事である。


序は他の雅楽曲と比べて異質であり、一定の拍子を持っている。譜や教訓抄が記す通り、かつては破だったと思われる。懐中譜には破と急として掲載されており、其々仁智、三五の序と破と旋律線が似ている。

序の笛は序が破だった頃のものではなく、序として演奏されるようになってから付け加えられたと思われるものがある。破として演奏すると間に合わない装飾がある。

懐中譜にも1拍に9個の音を詰め込んだパッセージがあり、速いテンポでは演奏不可能と思われるので、テンポがゆっくり設定された時のものと思われる。

琵琶にも1拍に多く詰め込まれた箇所があり、その部分は序になってからのものと思われる。

琵琶の譜は8分音符+16分音符の3連符で構成するよう読んだ。唐楽の方では16分音符4つにしていたが、この曲でその読み方をすると曲の生き生きした感じが損なわれた。

破の冒頭の音符は小拍子がついていないので分音符とした。雅楽には珍しいアーフタクトで演奏が始まる。


パーカッションは楽家録より四拍子のものを採用した。獅子は笛と太鼓(+鉦鼓?)のみで演奏されたと思われる。獅子に対応していた狛犬も同様だっただろうか?ここでは通常の高麗楽として三皷を用いた。鉦鼓は伎楽の時には銅拍子だったと思われるので音源ではChinese Symbalを用いた。

参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波新書
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫 199-0162
  • 楽家録巻之十八、十九、二十一

30 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:新靺鞨 高麗壱越調


まず靺鞨とは?靺鞨ーWikipedia隋(581-618)唐代に朝鮮半島の北方沿岸部(今はロシア)辺りに住んでいた農耕漁労民。後に渤海(698-926)を建国した粟末部と女真族になった黒水部から成る。

尿で顔や手を洗う習慣があったのは何故なのか?

雅楽も隋唐代に日本が取り入れたので時代は合う。その民族の音楽かと思われる。

渤海と日本は交流していたらしいので渤海楽というのが日本で演奏されたらしい。

鞨鼓ではなく三之皷が用いられる。唐拍子であるが16分音符と8分音符のセットの方を用いた。3連符の方は合わない。楽家録巻之二十一p690によると腰皷とも呼ぶ。これは伎楽の楽器。

伎楽は東アジア大陸に流行した仏教系音楽劇の集成で、日本に伝わったもの朝鮮経由で楽器を横笛と腰皷と銅拍子の構成にしたものではないか。

三五要録 鷹587調弦は平調(返黄鐘)で読んだ。小拍子と太鼓の百が書き込まれていない。伏931より補完。

箏は琵琶譜に対応させて太呂乞食調弦で読んだ。

六調子並高麗曲譜 伏808は曲の最後の繰り返し箇所が書き込まれていない。他譜を参考に補完。

パーカッションは太鼓と三之皷にし、楽家録の譜を用いた。冒頭の導入は綴拍子(楽家録巻之十八p.641)を用いている。


教訓抄p.181

右楽唐拍子の物というは、「新靺鞨」「崑崙」「狛竜」「吉桿」などである。これを早吹き物という。初拍子より綴拍子なり。

p.173

綴拍子 「胡飲酒」破躰の楽にある。

p.194

「胡飲酒」破の太鼓が書かれている。


楽家録巻之十八p.644

太鼓の唐拍子の説明がある。 

p.642

「胡飲酒」破の綴拍子の例がある。

p.643

唐拍子の例として「納曾利」急、新靺鞨等が上げられている。

楽家録巻之二十一p.693

三之皷の唐拍子の譜がある。三連符で構成されている。これをこの曲で演奏させると合わない。一説の方の16分音符と8分音符の組み合わせの方を用いた。譜には太鼓の強拍弱拍が逆に書かれている。

高麗壱越調はE lydianではないだろうか?

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録巻之十八、二十一

現代雅楽の動画が幾つか見つかる。

熱田神宮。。。おもしろくない。元の意味わかってるとは思えない。短調っぽく聞こえる。これだけおかしな事をこれだけ大掛かりにやっていたら当人達もおかしいとおもわなくなるのだろうか?
江戸時代初期に再興された雅楽は平安時代に隋唐の宴会用の燕楽を儀式用に整備したものではないだろうか?それが現代まで続いている。
元は宴会用の音楽なので、わかり易く楽しめたハズ。僕は儀式用のハッタリ音楽なんて要らないと思う。税金つぎ込むのおかしい。儀式など不要。おもしろい雅楽、燕楽だったころの雅楽を甦らせる方がおもしろい。

29 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:吉桿 高麗壱越調


読譜ミスを修正した改訂版。





笛の譜を見つけることができなかった。

2020 11 04 国立公文書館の懐中譜に笛譜が掲載されていた。

教訓抄には秘曲とある。 相撲の説に左方が勝った時に奏される剣気褌脱に対して右方が勝った時にこの曲が奏されたらしい。どちらも様々な猿楽(ジャグリング等)が出てきてそれぞれの芸を披露した。

唐拍子については楽家録巻之十八に太鼓の例があるが、鞨鼓の例は無かった。鉦鼓はどう打つのだろう?

10/30 唐拍子については楽家録巻の二十一に例があった。右方楽では三之皷を使う。

曲は2/4の2小節を繰り返すのが基本構造となっている。唐楽に比べると簡単。小節の頭拍から曲が始まるので、冒頭に太鼓が打たれる。唐楽では小節の半分から曲が始まる。

宮内庁書陵部にある伎楽譜の獅子も短いフレーズを繰り返す構造でできていた。

「力なき蛙、骨無きミミズ」をこの旋律で歌ったらしい。割と難しい。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録 巻之十八、二十一
  • 懐中譜 国立公文書館 内閣文庫199-0162

27 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:越殿楽 盤識調


元は平調だったと考えられる。盤識調と黄鐘調に移調された。
雅楽の場合移調時に一工夫加えるので、さらに移調して平調に戻しても元の平調の曲には戻らない。

教訓抄p.120によると三拍子を加えるとあるが、三拍子が不明。急、13回繰り返して吹くべし。
法勝寺で行われた供養で初めて用いられた。
盤識調には小曲がないので、盤識調に属する曲とされた。
康保3年(966)の侍臣奏楽では退場の楽として演奏された。この時拍子は六羯鼓、三度拍子を加えた。平調曲だった。

渡辺信一郎の雅楽の来た道に唐天宝13載(754)太楽署供奉曲名「唐会要」巻33「諸楽」が表で掲載されている。その小食調、双調の中の月殿「越天」が同曲と思われる。
林鐘角にある堂々が獅子舞。

六羯鼓がよくわからない。六拍子は楽家録にあるが。今回は三度拍子にしておいた。急とあるので快速のテンポで演奏されたと思われる。現代のテンポは異常に遅い。


Youtube上にある演奏動画も遅い。

今回の音源動画ではテーマを箏のものをベースにして盤識調に属さない音A#やGをAやG#に変更して用いている。
古譜にある箏の旋律は簡素。左手を用いて音程を変化させるのが妙技だったのかもしれない。


参考文献
  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 懐中譜 東京国立博物館 QA-1368
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹 587
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録
  • 雅楽の来た道 遣唐使と音楽 渡辺信一郎

24 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:鶏鳴楽 盤識調

仁智要録には2つのバージョンが掲載されている。

前者は4拍子に見えるが、8拍子でカウントしないと速すぎる。おそらくこちらが只拍子で、他方が楽拍子と思う。

新撰笛譜にはこの曲は無い。

三五要録 鷹587の9拍目前の辺りの不明箇所は伏931から補完した。

六調子及高麗曲譜 伏808の篳篥の旋律は跳躍が鶏の鳴き声を思わせるフレーズを含んでいる。この曲のテンポは鶏の鳴き声に聞こえる位だろうか?

教訓抄p.123によると換頭のある只拍子。吹き出しは普通の楽に似ていない。三度拍子を加える。臨時深更還御時(?)この曲を奏して退出の曲とした。

鶏が鳴くときこれを歌う。あるいは鶏鳴を歌う者『林歌』なり。

この曲の楽拍子については触れられていない。

管楽器の変奏方には旋律の音を装飾するということ以上の変奏が行われている。

これまで音源化してきた20曲程の中でも曲によって変奏の程度が異なる。特に横笛。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏871
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波新書

23 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:竹林楽 盤識調


六調子並高麗曲譜では 早八拍子と延四拍子の2説がある。リズムパターンは三度拍子。

管楽器の譜は込み入って書かれているので延四拍子での演奏のために書かれたのでは?

新撰笛譜は非常に簡素なので、こちらは早八拍子で演奏されたのかもしれない。

教訓抄によると大国の葬送の時に演奏された。吉事には奏するべきではない。などとある。


廃絶曲ではないらしい。Youtubeでは管楽器の独奏の動画はあったが、合奏は無かった。

コンサートのレパートリーには入ってないらしい。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波新書

21 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:遊字女 盤識調


この曲は新撰笛譜に掲載されている。現在は廃絶曲。

新撰笛譜の譜字の”引”は延ばす音価を具体的に示していない。そのため箏譜と対応させないと何拍延ばすのかわからない。

仁智要録には2曲掲載されている。
1曲目は只拍子と思われる。この譜は曲末に2拍の休符がある。この休符は管楽器にはない。
2曲目は箏のアルペジオが一定の間隔で入るので楽拍子のように聞こえるが、楽拍子特有の旋律の変化がない。箏独特の派生音を用いた装飾はわずかだけ用いられている。
この曲の説明

早八拍子(早八羯鼓)なのでテンポは速いめに設定した。

篳篥の最高音が続く部分は特殊な奏法なのではないか?wowwow聞こえるようにするとか音色を変化させるtimbre fingeringとか。

盤識調の箏の調弦によって音域が下方へ下がる。龍笛は第1オクターブを中心に演奏したのではなかろうか?それが盤識調の枯れた味わいの要素の一つではなかったか。

この曲の曲名を”遊児女”とする説もあるが、子供の女子が遊んでいる様子が表現されているようには聞こえない。隋の皇帝煬帝並子が作るという説がある。”並子”は不明。後宮に使える女が作ったか?

参考文献

  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏871
  • 新撰笛譜 富山市立図書館 3828
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波新書
  • 楽家録

19 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:千秋楽 盤識調

 

六調子並高麗曲譜によると早八拍子。16拍子、4拍子でも演奏されたらしい。

六調子並高麗曲譜と註大家龍笛要録譜に掲載されている譜はほぼ同じ。この曲は古譜にある通りに合奏させても旋律の流れが分かる。しかし箏の旋律をユニゾンで演奏させた時程すっきりはしていない。

教訓抄p.124によると1068-1072の大嘗会の時に中務省の諸庫の出納係の頼吉が作り、演奏した。頼吉は後に楽所預ずかりになった。笛の名手だった。盤識調には小曲が少ないのでレパートリーに取り上げることになった。

リズムパターンに2説ある。

  1.  早八鼓打つ、三拍子加える。
  2. 早四揚拍子(1小節4拍で2小節を1連とする)打ち、一拍子くわえる

Youtubeに動画がある。

天理大学のもあった。

古譜を読んで、それに書かれている音楽が生き生きと奏でられるテンポを探り設定している僕から見ると、彼らは死に体にされた音楽をそのまま演奏しているだけに聞こえる。そんなことに生きている時間使うの無駄じゃないのか?マインドコントロールされているというのはこういう状態じゃなかろうか?

この曲のタイトルは相撲の最終日に用いられるが、その関連はわからない。

教訓抄 p.123
剣気褌脱 相撲の節「猿楽」がこれを用いる。この猿楽とは左方の曲芸のことで、右方は吉簡。

p.106

狛犬相撲これを用いる。右方が勝った時に勝負の舞いとして演奏される。

p.75

昔相撲の節に撥弦楽器で抜頭が演奏された。


参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593

  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808

  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872

  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609

  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店

18 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:渋河鳥 沙蛇調

 

拍子10 行道に用いられる。5回繰り返す。パーカッションは三度拍子。廃絶曲。

これは中華帝国隋の時に作られた曲らしい。

篳篥のパートが頭拍がスラーでつなげられて、裏拍から吹くことが多い。素早いパッセージも含まれる。現代の様にたらたら演奏していない。

龍笛も大神流は手が込んでいるが宮内庁書陵部にある六調子及高麗曲譜と酷似している。

これらの変奏を同時に演奏してもやはり聞きづらい音楽になるだけ。かといって註大家龍笛要録譜の通りに他のパートが演奏できるとも思えない。

新撰笛譜が残っていたら、より簡素は笛の旋律が得られたと思われる。今回は箏からテーマをとっている。
新撰楽譜の例から旋律を細切れにする方向でフレージングした。

行道に用いるので歩く速さとテンポをシンクロさせるべきだろうか?

雅楽のテンポを著しく遅くしたのは明治政府の要請で雅楽を荘厳に響かせ、国家の権威を大きく見せるというハッタリ策のせいなのだが、同様のことが江戸時代にも起こっていたら、さらに前の時代にも起こっていたかもしれない。
つまり、大寺院の供養行事で荘厳さを演出するためにテンポを落として演奏していたのではないかと。

しかしながら譜に残っている旋律達を見るとちょうど良いテンポで弾いたとき、過去の奏者がインストの音楽を楽しんでいる様子が感じられる。

今回の場合、三五要録に同曲として収録されていた譜は緻密だった。基本的に昔の雅楽はユニゾンで演奏された様子。其々の楽器のために其々に変奏されたものが譜に残っているが、それらは全て旋律に基づいている。

参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609

14 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:採桑老 盤識調

 


延八拍子。ゆっくりしたテンポで1小節8拍。

リズムは繰り返しの最終回で三度拍子。テンポはこれまでの僕の製作した動画よりは遅いテンポに設定されているが、現代のテンポよりはずっと速い。

今回は源博雅による新撰笛譜をテーマにした。フレーズの多くは2つの音符でできていて、息継ぎが頻繁にある。朗々と歌うよりも語るように奏でるという印象。箏の旋律では派生音が多く用いられるが、この笛譜ではない。

楽拍子を採桑子と呼ぶらしい。楽拍子は旋律のラインが小拍子毎に区切られていて、一定の拍子が継続することが旋律を歌いあげることよりも優先されている。楽拍子では曲の個性が薄く感じられてしまう。楽拍子に関しては今後復元する意味がないと思う。

演奏したり、詠を読んだりが繰り返して行われる。4回繰り返されるのか5回繰り返されるのか説がある。

動画があった。他の曲とどう違うの?という印象。細かい節回しは他の曲でも耳にする。それには気づくのだが。

この曲は長寿を願うためのものらしい。仁智要録にある詠では100歳まで書かれている。今から1000年前に100歳まで生きる人がいたのだろうか?

盤識調もインド由来の調と考えられている。仏教系の呪術なのだろうか?

雅楽には道教系の楽曲もあったのだが、明治選定譜から漏れて、廃絶曲になった。何故道教系の曲が廃されたのか?

盤識調では箏の音域が下がっている。そのため低い音域が多く使われている。笛もそれに対応して低い音を中心に割り当てた。

琵琶では二拍三連符が見られる。これが珍しい。


参考文献

  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏587
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏855
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏892
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 新撰笛譜 富山市立図書館 3828
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 楽家録

10 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:青海波 盤識調

 

譜によると早八拍子。楽家録でも早八拍子の項に青海波用の鞨鼓のバリエーションが幾つも掲載されている。この当時から人気だった曲らしい。早と付く位だから快速なテンポの曲と思われる。しかしながら現代の青海波は遅すぎると思う。


昭和18年の宮内省雅楽部の演奏。

Dr. Pickenによって前世紀に日本の雅楽が4から16倍の遅さで演奏されていることが指摘された。国家の権威を示すために荘厳に聞こえるようにテンポを落として演奏することを度々政府から要請された結果らしい。

現代の雅楽は江戸時代当初(秀吉から家光まで)に既に廃れて元の姿を知る者が誰も居なくなっていた宮中の雅楽を地方に残る楽人を集めて復興させたもの。古譜にある旋律は用いられているが、古譜では龍笛、篳篥、箏、琵琶にはメロディの変奏が書かれている。博雅笛譜に書かれているのは変奏の無いメロディと思われる。箏は変奏の度合いが少ないが調の構成音でない音がブルーノートのように用いられていたりする。現在のmode jazzの様に同主音の近い旋法を用いるような感じがする。この手法は龍笛や篳篥の譜には見られない。琵琶には用いられている。実際の演奏では笛においても用いられていたのではないだろうか?

箏の譜(仁智要録)は2種の譜を載せている。今回は前者をテーマにして後者を変奏として構成した。

管楽器のブレスの位置でテーマの印象が変わる。博雅笛譜では結構細切れに音を切っているので、現代の様にたっぷりしたブレスで長い歌の線を描くような旋律の歌わせ方ではなかったようだ。


三重県四日市の近鉄四日市駅の駅裏におおきな天理教教会がある。そこへ笛の製作を習いに行っていた折、その先生より高圧的な扱い、且つ暴力を振るおうとされたことがある。それに対して柔術の関節技で対抗した。彼は大声で奥さんをよんで現場を見せ、僕が一方的に暴力を振るった様に主張した。彼はその教会を運営する浅井家の一人である。天理教教会のやり方とはこういうものかと思って、それ以降出入りしなかったら電話がかかってきて「許してやろう」と言う。頭おかしいなと思って縁を切った。

天理教は神道系の大きな宗教団体だが、頭のおかしいのは宗教で囲うよりも精神病院で隔離するべきと思う。

京都市立大学伝統音楽研究センターの復元と演奏。これは僕の動画に近いがこれでもテンポは結構遅いと思う。
笛のピッチ何とかして欲しい。他の曲で独奏の動画があって、箏や琵琶のはそう悪くはないが横笛は酷い。
上海のアマチュア。こちらの方がおもしろい。彼らは中国人で譜面は日本に残っているものを用いている。
どの団体にも言えることだが、演奏者としての技術が未熟過ぎる。知識は素晴らしいのにそれが反映されていないばかりか、能無し?と思われる演奏をする技量で伝統音楽の研究に関わって演奏を披露するのは頭おかしいと思うのだが。
演奏技術が未熟だと、当時のプロ演奏家のハイレベルな演奏にたどり着けないのではないかと思う。


参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 六調子譜  宮内庁書陵部 伏807
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏892
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏855
  • 新撰笛譜 富山市立図書館 3828
  • 註大家龍笛要録譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 楽家録

7 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:庶人三台 太食調


\拍子16

教訓抄より現代語訳して引用

p.117

相撲の節にこの曲をアララムギ(阿良々木)ということがある。近来舞いが絶えた。テンポが速い。

16拍子の時4鞨鼓が1拍子を加える。8拍子の時は早8鞨鼓、三度拍子を加える。


脚注によると紅の袴に薄衣という女房姿でイチメ笠を着て舞う。侍女一人付く。懐にろくろ(?)を構えて竹(丈?)を高くして清涼殿に尻をかける。


アニメの物語シリーズの主役  阿良々木くんの姓と関係あるのかと興味を抱いて読んでみた。が詠が日本語。中華曲ではないのか?イチイの木と関係あるのか?家紋に”五つイチメ笠”がある。市女笠は女性の外出用の笠。


速いテンポの曲で女性が舞うというのが興味深い。女性の舞いは優雅な舞いだけではなかったということか?袴の裾の高さ(?)が登場時にとても短く、舞台に上がるにつれ長くなるらしい。そして門や御殿に尻をかけて(腰かけて?)舞う。袴の裾を上げて素足を見せる舞いだったか?


天之受女のストリップが神話にある位なので、現在の感覚から見れば下品な舞いが宮廷で行われていても不思議ではない。宴の席で男二人に下半身を露出させたまま踊らせ、それを見て笑って楽しんだとかもある。性をおおらかに楽しんでいたのが日本人の文化なのだが、昨今はお行儀が良過ぎて去勢されているように見える。


仁智要録にはA#が出てくる。これはEを主音とする音階の第4音が半音上がっている。又D#も出てくる。これは第7音が半音上がっている。このためこの曲はE Lydianで作られているように聞こえる。

Dを主音とする壱越調の枝調子に沙蛇調D Lydianがあるように、Eを主音とする音階にもE Lydianがあったのではないか?

遠藤徹の雅楽の分析では太食調はE Mixolydianとされている。乞食調は元はEを主音とする調ではなく移調されたものらしい。


龍笛譜を3点読んで比較したところ鷹609が最も読みにくい。譜のタイトルが同じ註大家竜笛要略譜でも収録されている譜は微妙に異なる。


これまで同様古譜を全て同時に演奏しても微妙にズレていて聴き応えがある音楽に到達していない。やはり各楽器の独奏が行われる構成であったように思われる。


三五要録には西譜と書かれた譜が掲載されているが、太鼓の拍子が書かれていない。この譜はこの曲の只拍子の譜とほぼ同じである。


楽家録17巻p.590に鞨鼓について書かれている。早四拍子としてリズムパターンを加えた。しかし正と来の違いが分からない。Youtubeには小泉文夫の解説動画があるが、来は速いテンポでは使えない。おそらくリムショットではないかと思う。


参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 六調子譜 宮内庁書陵部 伏848
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 註大家竜笛要略譜 宮内庁書陵部 伏893
  • 註大家竜笛要略譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 楽家録 巻17

3 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:輪鼓褌脱 太食調(平調)


仁智要録の説明によると平調で弾くとある。左手の技法の残っていない楽譜、六調子曲譜

伏807で太食調弦で読んで鳴らしてみたところ、なかなかおもしろかったので太食調版と平調版を作ってみた。

管楽器の譜は調によって固有の派生音が反映されていない。太食調版は箏はAをG#に、笛はGをG#にしている。笛の場合クロスフィンガリングを用いるとエンディングホールが変わる。Gのエンディングホールは第4孔だがG#だと第3孔になる。これだと譜字がエンディングホールを指している意味がなくなる。よって太食調版は正解に近いとは言えない。

平調版は古譜通りと一応言えると思う。

太食調はE lydianなのでDがD#になるはずだが、笛でD#の譜字が全く用いられない。これは笛は指穴6孔だったことを示しているのではないか? 太食調はMixolydian。第7音がDで正しい。

龍笛の第7孔 D#が用いられている曲を調べてみたい。

拍子が22、23、24と複数の版がある。22と23がほとんど同じ例もある。最も長い構造を持つ版がすべての譜にあるようなので拍子23を選んだ。

これは高校生の演奏らしい。これ演奏していて何がおもしろいのか?集団催眠状態なのではないだろうか?

なかなかこの曲の動画がない。

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏807
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五懐中元本 宮内庁書陵部 伏848
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 註大家龍笛要略譜 宮内庁書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店

1 Oct 2020

雅楽の古譜を読む:剣気褌脱 盤識調


 拍子15

仁智要録によると破は廃絶曲らしい。褌脱だけが残っているということか。仁智要録では最後の小節は1拍、六調子曲譜では2拍ある。これは後者が繰り返しの際に演奏される音を含んでいるから。後者には左手による装飾が書かれていない。


三五要録伏931の太鼓の拍子の百等鷹587で修正した。盤識調弦で読むと乙クがD#Eとなりオクターブで合わない。黄鐘風香調調弦ではこれが合うので、この調弦で読んだ。

三五懐中元本 伏848は盤識調弦で読んだ。


三五懐中元本 伏848と三五要録 鷹587の譜は異なる調の同じ曲に聞こえる。音型は同じ。より仁智要録に合うのは前者だが、幾つかのAをG#に修正した。後者はG#以外の音を長1度上げると仁智に合うし、これらによって三五懐中元本と三五要録の譜は同一曲になる。


懐中譜と六調子及高麗曲譜伏808はよく似ている。装飾は後者の方が多い。どちらもAをG#にすると仁智要録と合う。

仁智要録のG#をAにすべきか?篳篥は音程を下げる方が簡易に思われる。そうであればAの運指でG#を演奏していたのではないか?

六調子並高麗曲譜 伏872は1拍子多い。最後のあたりを1小節分カットしても合う。今回は伏872をベースに註大家龍笛要略譜 伏894との旋律の共通箇所を追い、最後の4小節を継げて拍子15とした。


笛にはG#が入っていない。箏の調弦にはG#があってAはない。盤識調のペンタトニックに沿うようにAをG#に置き換えるべきではないか?


註大家龍笛要略譜はわずかなテンポのズレも書き込まれているように見える。そのためある程度の速さで演奏した時に簡素な旋律を見出すことができる。


教訓抄p.155によると唐拍子で打つとある。唐拍子は譜で百と表されている箇所に相応する。鞨鼓は用いない。しかし3度拍子を加えた。

この曲は猿楽、曲芸、雑技等の芸が披露される時のBGMだったらしい。御霊会の行進では道程で僧が短刀をジャグリングするという芸が魔除けとしてなされていたらしい。”剣気”という名称はここから来ているのではないか?

構成

  1. テーマ(仁智要録の旋律をユニゾン)
  2. オーボエ(懐中譜)
  3. オーボエ(六調子並高麗曲譜)
  4. フルート(六調子及高麗曲譜)
  5. 琵琶(三五要録)
  6. 琵琶(三五懐中元本)
  7. Mixed all parts
  8. テーマ(仁智要録の旋律をユニゾン)


参考文献

  •  仁智要録 宮内庁書陵部 鷹593
  • 六調子曲譜 宮内庁書陵部 伏807
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  • 三五要録 宮内庁書陵部 鷹587
  • 三五懐中元本 宮内庁書陵部 伏848
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 懐中譜 東京国立博物館 QA-1368
  • 六調子並高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏872
  • 註大家龍笛要略譜 宮内庁書陵部 伏894
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店


30 Sept 2020

伎楽の笛

612伝来の伎楽の笛はどんなだったか?
田楽に使われる指穴7孔の笛か6孔の笛か?三重県北勢地域の獅子舞は指穴7孔の笛で第7孔はDのEnding holeで最低音はCである。Baroque fluteでは第7音はD#/EbのEnding holeで最低音がD。これらは指穴7孔の笛であるが、基本的な違いがある。
古譜から読み取れる当時の龍笛は最低音がD。この場合第7孔はD#/EbのEnding holeとして用いられたとしか考えられない。現代の龍笛は最低音がC#やCでEより下は用いないので古譜を演奏できない笛なのである。また高麗笛と神楽笛の間のピッチなのに神楽笛より太い内径もおかしい。おそらく江戸時代初期の宮中の雅楽復興の折に間違えたまま現代まで数百年を経ていると思われる。鎌倉時代にはすでに笛に糸を巻いて漆を塗り固める手法があった。これは笛の材料となる篠竹が簡単に手に入らなかったので、既にあった古いピッチの低い田楽笛の音孔を広げて龍笛として用いるための改造技術の一つではなかったのだろうか?

伎楽の師子は宮廷の雅楽に取り込まれた。そこでは龍笛を使っていた。

教訓抄に"狛笛、又伎横笛、又崙。"とある。つまり伎楽の横笛は高麗笛指穴6子孔ではないか?高麗楽は全音高いので、正倉院の所蔵の笛の内最短の笛が伎楽笛と思れれる。その笛は指穴が7孔。仏教系の曲のための笛は7孔だったのでは。

28 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:新羅陵王 破 急 沙蛇調


新羅陵王 破 沙蛇調

拍子8

教訓抄

舞いは絶えた。近来天王寺では倍臚の破に用いる。


仁智要録の説明では3回繰り返す。終帖に拍子を加える。

南宮笛譜では

3回目に三度拍子


三五要録の綿譜説は仁智要録に合わない。

龍笛と篳篥の破の譜がない。


陵王の入破の笛と似ているところがあるが、同時に演奏させると大半がテーマから遠すぎることがわかる。なので似ている箇所のある別の曲。


新羅陵王 急 沙蛇調

拍子16

伏865の太鼓の百の欠落を鷹593で修正。

六調子並高麗曲譜 伏872の小拍子の欠落は仁智要録の旋律と対応させて補った。


お気楽極楽調の曲に聞こえる。沙蛇調はD Lydianなのでこれで正しいと思われる。龍王がご機嫌でおもしろおかしく舞うという印象。

繰り返し箇所の反付は六調子並高麗曲譜伏872に従った。


教会旋法に限って考えると明るい調はLydianとIonian、Mixolydianであとは暗い調(b 3rd)になり、暗い調の方が多い。人間の心は暗い方へ惹かれるのかもしれない。

沙蛇調が壱越調に吸収されたのはどうしてなのか?やはり管楽器の技術レベルが低くなってしまって沙蛇調に出てくるG#やC#を自在に出せなくなってしまったのか?

現在の龍笛は楽家録のサイズに近い。龍笛より低い神楽笛より太いのでおかしい。求められるピッチに合うようなサイズで作れば、古譜に出てくるように最低音がDで指穴が小さい笛になるのではなかろうか?これならトリッキーな演奏も可能と思う。


双調へ移調したものを復元している演奏。


双調へ渡された版の演奏は格調高く聞こえる。箏は聞けるが笛は。。。。。

沙蛇調が壱越調へ吸収されたのは格調高く聞こえるからだろうか?


参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 仁智要録 宮内調書陵部 鷹593
  • 三五要録 宮内調書陵部 伏931
  • 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 竜笛要録譜 宮内調書陵部 鷹609
  • 大家竜笛要録譜 宮内調書陵部 伏893
  • 六調子並高麗曲譜 宮内調書陵部 伏872

27 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:陵王 入破 沙蛇調

 


林邑八楽の一つ。沙蛇調はLydianなので教会旋法中最も明るい音階と言える。その音階で作られた曲がご機嫌に響くのが当たり前。


京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターによる復元の演奏。序のゆったりとした雰囲気を破るような曲調のはずなのだが。このテンポでは入破の意味わかってないように聞こえる。

沙蛇調が壱越調に吸収されたのは笛吹きのレベルが下がって、沙蛇調に出てくる派生音を吹けなくなったからではないか?笛が音孔が大きすぎてクロスフィンガリングを用いても派生音を正確に鳴らせない性能になってしまったからでは?

演奏は話しにならないのだが、知識や説明の方は学ぶところが多い!!知識はあっても体現できない演奏の腕前、そんなレベルが大学の研究センターという現実には非常に残念。研究自体はおもしろいのだから、その知的レベルに相応する演奏の腕前で発表してほしい。

仁智要録をそのまま演奏すればご機嫌に響くはずなのだが?調をあらかじめ想定しておけば笛の譜字を沙蛇調の音に鳴らせるのではないか?

この曲に限った事ではないが、龍笛自体が最低音がDでないものが用いられている現在の状態では古譜を忠実に再現できるとは思えない。江戸時代初頭の宮中雅楽復興の時点から間違っていると思う。

源氏物語の音楽 ─平安・鎌倉時代の雅楽はこんな曲!?─

長秋卿竹譜にこの曲は載っていないので単純に比較できないが、最も古い譜は込み入って書かれてはいない。

各楽器がシンプルな旋律に装飾を加えて弾いたのは、ソロがあてがわれていたからではないのか?大家龍笛要録譜が込み入って書かれているのは、それを基本にして合奏したからとは考えられない。あまりに複雑過ぎて他のパートが真似できないからだ。

24 Sept 2020

Usb wifi adapter on Puppy linux Xenial

以前にアンテナが伸びているusb wifi adapterをセットした方法はこちら

 MT7601Usta wifi driver 設定 Puppy linux Xenial(Ubuntu16) 日本語版

そのアンテナの根元を壊してしまったので、Aliexpressでアンテナが伸びていないものを購入した。MT7601のドライバで動く物を購入した。

起動前にusbに接続して起動したらあっさり動いた。

格安!! ワイヤレスミニ usb 無線 lan アダプタ 802.11N 150 150mbps USB2.0 受信機ドングル MT7601 ネットワークカードノート pc の windows mac


SpecificationにChip MT7601とある。

使用しているPuppy linux は有志が日本語化したものカーネルは4.4.95。

23 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:倍臚 平調

 


三五要録では拍子12、天王寺は拍子6を用いる。林邑八楽の一つとある。

教訓抄に詳しい説明がある。現代語で抜粋。

拍子13とあり、急として演奏する。破は新蘭陵王の破を用いる。拍子12を奈良様、拍子4を天王寺とする2説がある。2回繰り返して1帖。舞い人12人が輪を作る。当曲を馬頭の拍子で3回吹く。1回繰り返した後拍子を上げる。演奏は3回繰り返して舞いは1回。盾を持ちながら剣を抜いて舞う。

秦王楽に粗く似る。

建仁3年東大寺の供養で忠拍子で舞った。楽拍子でやりたかったが、笛吹きが楽拍子の説を知らなかった。

p.178 に笛譜に太鼓をつけたものが掲載されているが、龍笛要録譜とは異なる。音符の並びから冒頭の部分であろうと思われる。繰り返して演奏されるこの曲の冒頭は初めの1回目しか演奏されない。そこに太鼓が書かれているということは拍子が上がってからは馬頭の拍子を当てるべきなのか?


仁智要録に2つの版が収録されているが、どちらも楽拍子ではないように聞こえる。仁智要録が編纂された時には2通りの演奏が伝わっていたのだろう。

三五要録、には1つの版しか収録されていない。

三五要録の倍鱸太鼓の6拍目の譜字は林謙三の琵琶譜新考(p.78)によると親指を用いることを示している。第1弦2柱のGを親指で押さえることと思われる。

懐中譜よりも六調子及高麗曲譜の方が小拍子の位置が明確にわかるのでこちらを採用した。”ノ”の譜字は同じ音を示すと思われる。


教訓抄p.178の太鼓は繰り返した際に拍子を上げた時のものか?それにしては冒頭の旋律に太鼓が付いているのはおかしい。今回の音源には完全ではないがなるべく合わせた。

前回の弄槍とこの倍臚は両方とも魅力的ではない。

弄槍は棍、倍臚は剣を用いる武術系の舞いでおもしろいのはないだろうか?

参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
  •  六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
  • 竜笛要録譜 宮内調書陵部 鷹609
  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
  • 琵琶譜新考 林謙三 1964

22 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:弄槍 沙蛇調

 

沙蛇調はインド伝来の調と考えられている。現在は壱越調に組み込まれ本来の調性を失っている。

この曲の龍笛はとてもトリッキーで元と思われる箏の旋律からかけ離れている。

後に作られた十天楽がこの曲の代わりに用いられた。

特に良い曲というわけではない。時間をかけて楽譜を読んで残念だった感がある。

信西古楽図に弄槍の絵がある。4人で棒を持って踊っている。


参考文献

  • 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865

  • 三五要録 宮内庁書陵部 伏931

  • 懐中譜 東京国立博物館 QA-1368

  • 大家竜笛要録譜 宮内調書陵部 伏893

  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店

18 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:伎楽

 

楽曲構成とかは以前のブログ記事に書いた。
仏教系音楽劇の伎楽は612年に日本へ伝来し、広められた。それから150年位は大人気だったらしい。
伎楽譜は幾つか残っているが、飛鳥時代の譜面ではない。
上記の動画は仁智要録という箏の楽譜を集めたものを音源化した。
現在の雅楽の手法では元のテンポの4~16倍の遅さで演奏する。これは明治以降の日本政府が国の威信を高めるため荘厳に聞こえるようにゆっくり演奏するよう宮内庁雅楽部に要請した結果らしい。この遅すぎるテンポによって雅楽の原曲の印象が伝わらなくなっているのが非常に残念で馬鹿らしい。日本政府(これを支持している国民)の音楽に対する理解の低さを表している。
伎楽譜は林謙三によって研究されているが上記の雅楽手法で読まれている例もあっておかしな印象を感じていた。それ故自分で読んでみることにした。
各曲は結構短い。繰り返して演奏されていたのか?配役の登場毎にジングルの様に演奏されたのかはわからない。伎楽譜は幾つかあるが中身が同じ曲とは思えない程異なるものもある。伎楽に含まれている獅子でも平安時代末期にはすでに宮中と天王寺住吉大社のとはかなり違っていた。(教訓抄)

東京国立博物館のデジタルアーカイブに伎楽で用いられた面がある。
だいたい面毎に音楽がついている。
飛鳥時代の面を見てみる。
お寺の門にある金剛力士像。実は金剛と力士は別人。
その力士がこちら。
多分口髭があった。
金剛はこちら。

こちらも口髭顎髭があったと思われる。微妙だが口が開いている方が金剛らしい。
金剛力士像には短い棒を持っているものがある。その棒は太極棒という名称で売られている。武闘派仏教というのがある。古代には深く結びついていたと思われる。キリスト教もイスラム教も破壊活動やテロ活動をした。日本でもオーム真理教が地下鉄サリン事件起こしたし。怖い側面がある。公明党の母体の創価学会も武力集団持っている。その人達をつかって強迫することもあるから質悪い。大学のゼミや同好会等で罠をはって入信させる例がある。名古屋大学古楽研究会で行われていたが、大学側に抗議しても消極的な対応しかされなかったので、後に暴力事件に発展した。名古屋大学や古楽研究会はこの件を口外されたくないらしいが、国立大学内で行われている不正な宗教勧誘の実態を隠すことは社会不正義だからあちこちで話題にし続けている。

音楽のついていない面もある。それが治道。

鼻が長い。これが当時のインド人を特徴的に表している要素らしい。良く見ると黒髪?が描かれている。坊主じゃない。日本では天狗として今に伝わる。古事記や日本書紀では天孫降臨の際、天之受女にたらし込まれて道案内をしている猿太彦がこの容貌で描かれている。これら史書は伎楽伝来から100年後に書かれていて、当時はまだ伎楽が人気だった。それをモチーフにして描いたと考えられる。天孫降臨自体怪しい話しだが、よりでっちあげ感高まる。御霊会の行列を先導する散手も鼻高面を被っている。為政者は神道系の呪術では効果がなかったので仏教系の呪術をたよった。

この面に似ているのが婆羅門。カースト制を作ったバラモン教のバラモン。

鬚があったらしい。鼻や耳の特徴が治道と同じ。

動画の2曲目に呉公がある。その面がこれ。

鼻の特徴が異なる。舞台では笛を吹いたらしい。江戸時代に宮中の雅楽が復興された。
また異なる民族的特徴を示す面がある。崑崙。
これはアフリカ系黒人奴隷と思われる。アフリカ系黒人奴隷はアメリカで用いられるよりもずっと前に東南アジアで用いられていた。ずっと時代が下るが織田信長の家来に黒人がいた。この崑崙が用いるアイテムがマカケ。ブータンの仏教系の祭りでは僧がマカケを持って若い女性に性教育する。

17 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:抜頭 乞食調



2/4拍子。林邑八楽の一つ。教訓抄ではインド由来となっている。林邑は今のカンボジアとベトナム辺り。僧仏哲によって伝えられたと考えられる。東大寺の大仏開眼式で演奏されたか?

アニメ攻殻機動隊の登場人物バトーのモデルとなっている。アニメ中でバトーは自分の名をバトー仏哲と名乗っている。

短い小品。三五要録の説明によると舞いに従って繰り返して弾くとある。繰り返し回数があらかじめ決まっていない。

仁智要録では乞食調に分類されている。

パーカッションは教訓抄(岩波書店)のp.118にあるものを使用。教訓抄の笛譜と竜笛要録譜は若干の違いがある。譜字の下の”動”は何を意味するのか?フラッタータンギングではないか?

曲想は明るい。とても猛獣を恨んで復習するという内容には思えない。馬が蛇を退治する内容であるという説もある。笑いの要素を含んでいたのではないだろうか?昔話が吹き込まれたレコードとかCDのBGMっぽい。

この曲でも古譜にある音を同じに演奏すると綺麗に聞こえない。其々ソロで演奏させると分かり良い。琵琶は単独で演奏しても元の旋律を想定できる位分り易い変奏(即興?)に聞こえる。

これは現在の雅楽の抜頭の演奏。いつも通り全然違う。コミカルでは全くないし、格式高い感じになっている。
この格式高さ自体が嘘ハッタリかもしれない。国民を騙しているのは新聞TV等の左派メディアだけではない。
明治以来政府が宮内庁雅楽部に荘厳に聞こえるようにテンポを落として演奏することを要請しつづけた結果が今の雅楽。原曲の印象さっぱり感じ取れない。
秀吉から家光の頃に復興した雅楽が今の雅楽に続いているのだが、それ以前の宮中の雅楽は廃れてしまい、どのように演奏されていたか誰も知らない状況になっていた。
そんな状況で箏の旋律をベースにして新たに構成されたのではないか?
言い換えれば、拙い腕前でも演奏できるように変奏、即興部分を排除してアレンジし直したのでは。。そういうわけで古譜をそのまま再現した演奏と全然違ったりするわけだろう。

僕は古譜の雅楽はジャズコンボの様にテーマと変奏(または即興)で構成されていたと考えている。
京都市立大学日本伝統音楽研究センターでも古譜に基づいて再現しているが、奏者の腕が拙すぎておもしろくない演奏になっている。研究する前に前提となる演奏の腕前が怪しい。

”雅楽の古譜を読む”では
  1. 古譜にある旋律をそのままDTMで音源化してどんな音楽が書かれているのか聞いてみる。
  2. 同時に演奏するとどうなるか?
  3. 各楽器のソロで演奏するとどうなるか?
  4. 箏の旋律をユニゾンで演奏したらどうなるか?
  5. どんなテンポが心地よく聞けるか?
を見当している。その音源を公開することで楽譜が読めなくても古譜にどんな音楽が書かれているか聞いて知ることができる。その上で研究者達による再現を聞いてみるとおもしろいと思う。
元がどんななのか?どこを直しているのか?変奏、即興は古譜に基づいているか?
研究者の腕前は確かなのか?LOL

構成

  1.  テーマ(箏の旋律をユニゾン)
  2.  篳篥(古譜にある通り。琵琶の箏の旋律)
  3. 竜笛(古譜にある通り。琵琶は箏の旋律)
  4. 琵琶(古譜にある通り)
  5. 合奏(古譜にある通りの音を同じに演奏)
  6. テーマ(箏の旋律をユニゾン)


参考文献

  •  仁智要録@宮内庁書陵部 伏865
  • 三五要録@宮内庁書陵部 伏931
  • 懐中譜@東京国立博物館 和1368
  • 竜笛要録譜@宮内庁書陵部 鷹609
  •  教訓抄 日本思想体系 岩波書店

16 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:蘇芳菲 乞食調

現在の宮中の雅楽にはない廃絶曲。

信西古楽図に絵が載っている。獅子舞など二人の舞い手で1弾きの4足獣を演じる子馬形の一つ。雅楽には他に獅子、狛犬、狛竜があった。獅子は伎楽から独立して残ったものと思われる。

神社にある狛犬は社に向かって左が狛犬で右が獅子。狛犬は本来頭に一本角があった。現在では獅子と狛犬のが混ざって分からなくなってしまい、獅子の石像を狛犬と呼んでいる。

仁智要録と三五要録には2つのバージョンが収録されており、前者は4拍子で只拍子と思われる。後者は楽拍子と説明がある。平安時代末期には楽拍子の方が一般に演奏されたらしい。原曲は只拍子と思われる。楽拍子は行進曲のように一定のテンポを刻みつづける。メロディはそれに合うように工夫され、元の滑らかな旋律から離れている。

竜笛要録譜と懐中譜には8拍子の楽拍子の楽譜のみ掲載されている。

竜笛の譜は箏の旋律から割と離れている。篳篥は箏の旋律の変奏ということが分り易い。

古譜にある旋律を同じに演奏させるとごちゃごちゃで聞けたものではない。やはり其々の楽器がソロをとって変奏を披露していた、もしくは即興していたと思われる。


パーカッションには三度拍子を用いた。延八拍子らしいがテンポをゆっくりに設定してもおもしろくない。

テーマは箏の旋律からとった。他の楽器へはユニゾンで割り当て、音域内に収まるよう適宜オクターブ上げ下げしている。

今回の構成

構成

    1. テーマ(箏の旋律をユニゾン)

    2. 箏と琵琶(古譜にある通り)

    3. 竜笛(古譜にある通り。琵琶は箏の旋律)

    4. 篳篥(古譜にある通り。琵琶の箏の旋律)

    5. テーマ

    6. 楽拍子 テーマ(箏の旋律をユニゾン)

    7. 篳篥(古譜にある通り。琵琶の箏の楽拍子の旋律)

    8. 竜笛(古譜にある通り。琵琶の箏の楽拍子の旋律)

    9. 琵琶(古譜にある通り)

    10. 合奏(古譜にある通りの音を同じに演奏)

    11. テーマ(箏の旋律をユニゾン)


参考文献

    • 仁智要録@宮内庁書陵部 伏865

    • 三五要録@宮内庁書陵部 伏931

    • 懐中譜@東京国立博物館 和1368

    • 竜笛要録譜@宮内庁書陵部 鷹609

    • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店

14 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:想夫恋 平調

 京都市立大学日本伝統音楽研究センターのyoutubeチャンネルで動画が見れる。

これは鎌倉時代のスタイル。


こんにちのスタイルでの演奏もある。

鎌倉時代のスタイルの別バージョン。

僕が読んでいる楽譜も平安末期から鎌倉辺りなので、ほぼ同じものが再現できるはず。

しかし竜笛下手過ぎる。演奏技術が未熟過ぎて話しにならない。

これが古譜を読んでそのまま音にしたもの。雅楽の伝統的奏法や各楽器特有過ぎる奏法は無ししている。
平調なのに箏にはG#、D#が出てきてDがでてこない。箏の譜はシンプルなのだが、それでも一癖あるように見える。
先の京都市立大学日本伝統音楽研究センターの再現しているものに近い。研究所のは平調の構成音だけで演奏されている。

雅楽は機能和声のない時代の音楽で旋法によって作られている。その特徴としてBlu noteがあると考えられる。箏の譜に現れている調に所属しない音はそれではないのか?

曲のタイトルと曲想を考えると研究所の方が出来が良いように聞こえる。

上海の唐代礼楽復原組というアマチュア楽団による再現はテンポが遅すぎると思う。彼らは仁智要録の譜を修正している。原曲の味わいがわからなくなってしまった日本の雅楽よりずっとマシ。

この復原組の再現では笛や琵琶の即興演奏がない。アマチュアなので難しいのか?

日本の雅楽は古譜に立ち返ってみるべきと思う。今の雅楽ではおもしろくない。政府はハッタリをかまし続けるためにさらに遅いテンポで演奏するよう要請し続けるのだろうか?

右も左もハッタリには用はない。そいつらは一掃すべき。

参考文献
  • 仁智要録@宮内庁書陵部 伏865

  • 三五要録@宮内庁書陵部 伏931

  • 懐中譜@東京国立博物館 和1368

  • 竜笛要録譜@宮内庁書陵部 鷹609

  • 教訓抄 日本思想体系 岩波書店

  • 楽家録

雅楽の古譜を読む:武徳楽 壱越調


 9/14動画差し替え。先の投稿では繰り返しを用いず、古譜のまま合奏させていたのだが、他の雅楽曲を同様の手法で合奏させるととても聞けたものではないケースが見られたのでこの動画も組み直した。武徳楽の竜笛、篳篥の変奏は箏のテーマからそう遠く離れていない。エンディングで用いられる曲なので、奏者の腕前を披露するという目的は主眼におかれていないと思われる。

この曲は伎楽の最後に演奏される曲で、この曲が演奏される間は舞いは舞われない。
エンディングに使われていると思われる。
今回は現存する雅楽の古譜を読んで、それらを洋譜に直し、それをコンピューターに打ち込んで重ね合わせて演奏させてみた。
それぞれの楽器の音域を守らせるとそれなりに聞けるように鳴った。
以前は一回の繰り返し毎に一つの楽器とが旋律を演奏し、次の繰り返しではまた別の楽器が、と続けていき、最後は全員で演奏すると考えていたのだが、Tuittiでもそこそこ聞けるのがわかった。
譜の読み方はまだ手探り中である。特に笛譜の読み方が今一わからない。

用いた楽譜のソース:  
  • flute (壱越調曲譜 伏824)
  • English horn (懐中譜@東京国立博物館 QA-1368)
  • Harp (仁智要録@宮内庁書陵部 伏865)
  • Slap Bass (三五要録@宮内庁書陵部 伏931)

読める古譜もあれば読みにくいものもある。誤字もあるし。

今回笙を使わなかった。無くても構わないと思っているが、そこまで手が回らない。曲の下の姿を知るにはこれで充分と思う。

現代の雅楽はDr. Laurence Pickenによってテンポが異常に遅く演奏されている事が指摘されている。僕は彼の主張に沿って、原曲を味わうことができる程度のテンポで古譜を読んでいる。

12 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:長慶子 太食調


源博雅作曲 主に退出用に用いられる。

加える拍子に3パターンある。この動画では三度拍子にした。

三五要録では黄鐘調弦とあるが、平調でないと他の楽器に合わない。

仁智要録では平調とあるが、実際にはD#とDが交互に用いられていたりする。2パターンの譜が収録されている。


今回は箏の2パターンを冒頭に配置して、その後に各楽器の即興?変奏(古譜)を配置した。

この古譜にある変奏を同時に演奏させるとやっぱり合わないところがある。やはり独奏のための譜ではないかと思う。

テーマは箏のメロディーから取っていて、笛と箏の独奏の時は琵琶に箏のテーマを弾かせている。

三度拍子は仁智要録に収録されている伎楽の獅子にも合うと思う。

参考文献

  • 仁智要録@宮内庁書陵部 鷹593

  • 三五要録@宮内庁書陵部 伏931

  • 懐中譜@東京国立博物館 和1368

  • 竜笛要録譜@宮内庁書陵部 鷹609

11 Sept 2020

雅楽の古譜を読む:酒胡子 壱越調

 


前世紀、英国の音楽学者Dr. Laurence Pickenによって日本の雅楽が本来のテンポの4-16倍遅く演奏されているという指摘が行われた。


例えばこの動画では東京芸大の小泉文夫教授の模範演奏を16倍の速さに再生することで本来の楽曲の旋律を聞くことができている。これは非常におもしろい。

宮中の雅楽は平安時代末期に戦乱の世になり、廃れてしまった。秀吉がその復興を支援し始め、家光の頃に完成したものが現在も続いている雅楽である。しかしながら復興に際しては奈良、大阪、京都から楽人を呼び寄せても誰一人として楽曲の元の姿を知る者がおらず、復曲は分担して、それぞれに伝承されているものをつぎはぎして行われたようである。

おそらくこの折りに古譜は読まれたであろうが、同時に演奏してもそろって綺麗に聞こえないし、譜面通りに演奏しようとしても竜笛などは高い演奏能力が必要なのでできなかったかもしれない。

そこで技術がつたない楽人でも演奏できるように古譜をベースにしつつも高い演奏能力を必要としないオーケストレーションが考え出されたということではないだろうか。

ここのところ古譜を読んでいてDTMでそれを再現させている。古譜にある通りに演奏させ、それを合奏させてもたいしておもしろくない。箏の譜面は簡素で美しい。これをユニゾンで演奏する方がまだ楽しめる。即興演奏ができた奏者の演奏で、聴衆も耳が肥えた人達ならば即興演奏が組み込まれていた方が断然おもしろい。


明治以降、政府は宮内庁の雅楽の演奏を権威を感じさせるように荘厳に響かそうとテンポを遅くすることを度々要請していたらしい。

原曲の味わいを感じられず、楽しくもない音楽と演奏の保存に税金がつぎ込まれているのである。まったくもってバカバカしい。

雅楽曲は中華風歌謡曲やインドの仏教系楽劇の曲、東南アジアから伝わったり、朝鮮半島の国々の音楽、そして日本で作られた曲の集成である。現在の大陸の国家は中国であるが、文化大革命によって古い伝統を遺す書籍は焼かれてしまった。雅楽は残っていない。

日本には古譜がたくさん残っている。古譜には雅楽の生き生きとした姿を見ることができる。現行のおかしな雅楽は改めるべきと思う。


参考文献

  • 仁智要録@宮内庁書陵部 鷹593

  • 三五要録@宮内庁書陵部 伏931

  • 懐中譜@東京国立博物館 和1368

  • 壱越調曲譜@宮内庁書陵部 伏824