24 Mar 2019

MediaTek mt7601 wifi adapter for puppy linux precise 5.7.1

At last, I got a contract of wireless Internet service.

I bought a wifi adapter from China. The bland is ACEHE.
The description says it's for linux, too.

# lsusb
Bus 002 Device 003: ID 148f:7601 Ralink Technology, Corp.

We can get source of the driver from MediaTek. I got MT7601U's.

Puppy linux needs additional sfs packages for compiling. It's dev and kernel source.

then, we need some editting. The source is written for kernel 2.4 and 2.6. My precise's kernel is 3.2.48. The following weblog mentioned about that. 
 puppylinux pup4.3.1_JP2012でUSB無線LANアダプタの設定してみました

puppylinux precise571JPの無線LANドライバをビルドしてみました。

Actually, I need simple stuff. "findstring 2.4" is changed to "findstringxxx" on os/linux/config.mk and Makefile.

Unplug the wifi adapter.

Then, make & make install.

Reboot. 

We can see ra0 in the network set up. Frisbee can work to set it up.

7 Mar 2019

Explanation of lion dance 6


後書き

楽曲分析から笛が楽曲に適していないことがわかった。第7孔がDのために開けられ、Ebをクロスフィンガリングやハーフホールで出していては曲の要求している演奏はできない。
龍笛の指使いで最低音をD、第7孔をEbのために開けたも笛で、1全音高く移調して演奏すれば、より良く演奏できると考えられる。もとの調のままで演奏するのならばソプラノリコーダーで演奏するのが安価で合理的だろう。この場合実音は1全音程高くなる。
曲には雅楽の形式(序破急)の影響が見られる。楽曲を書き採り、分析して、繰り返し箇所をまとめていくと、ビデオの混沌とした演奏の中には到底無いと思われた科学的傾向を見ることができる。
作曲された当初は龍笛の系列の笛を使用し、1全音高く移調してD lydian scale(雅楽の沙蛇調)で演奏していたのではないか。そうであれば正しい音程で演奏でき、且つ合理的である。龍笛とヨーロッパのバロックフルートは同系統の音孔の配置である。笛の第7孔がEb/D#のために開けられることによってほぼ完全に半音階を演奏することができ、EbEFF#の吹き分けが容易になる。雅楽で用いられる笛の製作方法は江戸時代には秘匿されていたので民間では作れなかった。従って調律の整っていない笛で演奏する他なかった。それが現在まで伝承されているのであろう。
調律されていない笛とレベルの低い演奏が混沌を生み出し、振り蒔き、楽曲の真の姿とその価値を覆い隠している。前の世代の演奏を鵜呑みに学んで同じように演奏すれば良いというものではない。それは次の世代の知的発達を妨げる社会的悪である。楽曲を分析し理解して教え伝え、次の世代がより高い科学性を獲得するのが文化伝承のあるべき姿であろう。現実には先の世代の虚栄心が次の世代の科学性の発達を損ない、足を引っ張っている。
今回採譜、校訂した楠の獅子舞の楽曲は歴史的音楽資料として興味深い。次世代の音楽性を育み、それを破壊しないためには従来の非合理的伝承方法を廃し、笛は楽曲を十分に演奏可能でで、且つ調律されたものに変更すべきである。獅子舞を擁する神道も、かつて獅子舞を要した仏教も、神事と称して混沌を振りまく人々も、社会に不条理を生み出す人々も人間の科学的発達を阻害するので社会から退場すべきである。
三重県には獅子舞を行なう地域が多数ある。それら楽曲を神道の神事から切り離し、誰でもそれを研究できるよう公的文化遺産としてまとめておけば、地域に伝承された音楽の研究に役立つであろう。特に箕田流の獅子舞は広く伝承されており、標本数は比較的多く研究し易い。

Explanation of lion dance 5


舞上げ

花の舞から続いて景気の良い太鼓のリズムパターンと笛がそろって始まる。前半のテーマはだんちょで用いられたものである。リズムパターンはだんちょとは異なる。だんちょで著者によって直された箇所は11-12小節目に当たる。舞上げのリズムパターンは1小節毎の繰り返しであり、2小節で1組かどうかはっきりしない。B-A-Gのフレーズを経て後半のRecitativoへ進む。
全体の構造を把握してみれば、楽譜無しで記憶するのはそう難しいことではないことがわかる。楠では譜面は一切用いられずに伝承されていたようだが、他地区では一部を譜面にしているところもある。四日市市立図書館蔵の長倉神社の獅子舞の資料には仮名譜が納められている。仮名譜では正確に音程と音価を表現できておらず、それだけを元に正確に曲を再現することは難しいと思われる。

おかぐら

湯の花神事で演奏される。序奏部分はC melodic minor scaleから成る。主要部分はC pentatonic + B6音音階で構成されるが、この音階は主音をEとするE aeolian scale without f# (natural minor scale)であろう。つまり序奏部分から主要部分へ転調している。序奏部分では(123 45- -)Ebであり、主要部分では(123 45- -)Eである。ここでも明確にEbEの違いを観察することができる。雅楽ではAeorian scaleは角調に当たる。リズムパターンだけが音量の大小を付けて演奏される。
リズムパターンは大きな音量で始める。序奏の後3小節間を1小節に1回打ち、次に2小節から成るリズムパターンを7回繰り返す。その後リズムパターンを維持しつつ、2小節毎に小さい音量、大きい音量からなる4小節のパターンとして7回繰り返す。8回目の3拍目は曲の冒頭(序奏の後)に戻る。
本曲は獅子舞の演目の中では演奏されないが、箕田流獅子舞が伝承されている石薬師南町ではこの曲も伝承されている。石薬師南町の演奏ではぴったり音程のあった笛が平安の風雅を漂わせるが、楠のビデオの演奏ではそんな風雅は微塵もなく、ただただ実直である。

Explanation of lion dance 4


花の舞 序奏

序奏は舞出し345のものに似るがより簡素になっている。著者による校訂では23小節目から4小節間は3/4拍子としている。ビデオでは2/4拍子に付け足すように装飾音が演奏されており、明確に3/4拍子と判別できるほどではない。コンピューターに演奏させると2/4拍子で表すよりも3/4拍子とした方がビデオの演奏に近かったので、3/4拍子とした。この部分は花の舞の主要テーマーの結句であり、何度も現れる。

花の舞1-4

主要部分は15に分けられる。花の舞の主要テーマに工夫を加えながら15回繰り返している。
花の舞の主要テーマは本来は本来は長調であり、天下太平を感じさせるものだったと考えられる。しかしながらビデオの演奏ではEEbに聞こえ、陰鬱な様相を表している。これは笛の調律が曲に合っていないからである。
1曲から第4曲までは同一曲の繰り返しである。主要テーマは低音域で静かに演奏され、15小節目から突然活気のある部分が奏され、18小節目からは再び静かになる。20小節目の装飾音は楽譜通りに演奏されていないように聞こえる。18-21小節は4-7小節間をオクターブ上で演奏したものであるから、装飾音は理想的には18-21小節と同様と推定できる。笛の特性上、演奏が難しい音程であるが、それをこなせる程磨き抜かれた腕前ではないとも言える。22小節目からは本曲の始めからをオクターブ上で演奏している。55小節目からは再び3/4拍子の部分になる。ビデオの演奏ではこの箇所では装飾音符がやや多かったので、そのまま譜にしている。

花の舞5

主要テーマに独自の朗らかな旋律(15小節目から)を追加したもの。ここで追加された旋律は14曲目で再登場する。

花の舞6,8,10,12

主要テーマのみ。6810は同一曲である。第12曲は最後の部分が若干異なるのだが、同一曲と見て良い。

花の舞7

主要テーマのみの変形。

花の舞9,11

主要テーマと花の舞1-4で用いられた活気ある部分を短く纏めたもの。910は同一曲である。

花の舞13

主要テーマに序奏のモチーフを追加したもの。

花の舞14

主要テーマの繰り返しに第5曲に登場した朗らかテーマを加えたもの。

花の舞15

主要テーマの後、これまで演奏された曲の特徴的部分が短いフレーズで次々に再現されていく。舞出し345の落胆のテーマがまず加わる。22-23小節は本来は24-2526-27小節と同じ音程と考えられる。ビデオの演奏の中には22-23小節目だけ音程が低いものがあったのでそれを譜で表しておいた。次に座付、だんちょで用いられたB-A-Gの繰り返しが再登場する。こっこっこっ、舞出し3、舞出し5で用いられた結句で終わる。終結感が物足りないのは舞上げが残されているからだろうか。

Explanation of lion dance 3


舞出し1

本曲の序奏部分は前曲と本曲を繋ぐ役割を持っており、間奏と呼ぶのが適当であろう。冒頭の2小節は座付の序奏のモチーフが縮小されたものである。2小節単位の繰り返しで構成され、この曲の間に獅子の舞人が交代する。太鼓は前曲の結句からのリズムパターンを維持する。
舞出から切れ目なく続く一連の曲は間奏部分によって5つに分けられる。別れ扇、跳び扇(置き扇)、銜え扇はこの区分と合致していない。本曲に入って即興的な演奏がなされ、それによって主旋律が引き出されていく。録画によってリズムパターンや旋律の装飾に差があり、演奏者によって若干の個性が反映されている。
間奏の後、笛の即興風の旋律が始まると太鼓のリズムパターンが変わる。2小節から成る。15小節目から舞出しの主要テーマ1が始まるが複数回に渡って旋律が途切れ、虫食い状態で演奏されていく。本来の旋律の長さがやや延ばされ、元の旋律が在ることを想定し難い。著者による校訂では、15から35小節目までを元の旋律の長さを保持しつつ、旋律が虫食い状態になるように変更を加えた。これによって本来の表現に戻ったと考えている。67-71小節間は中音のF#が出てくる。楠周辺の箕田流、稲生流の獅子舞では右手の中指で音孔を常に塞いでおく指使いを基本としており、フォークフィンガリングを用いないので実質F#は演奏出来ず、聞くこともなかった。しかし楠のビデオでは時折使われる。Youtubeにある中戸流の獅子舞の動画でもF#を聞くことができる。77小節目からは舞出しの主要テーマ2が始まる。95小節目から主要テーマ1が虫食い無い完全な状態で再登場する。結句を経て次曲の序奏へ進む。

舞出し2

2曲も録画によるリズムパターンの差がある。勢いの落ち着いた間奏で始まる。この間奏は座附、こっこっこの序奏を感じさせる。舞出1で用いられた主要テーマ2が演奏され、舞出し1の冒頭風の間奏(51-54小節は舞出しの間奏部分を想起させる)が続く。次に主要テーマ2が演奏される。その後冒頭の間奏に戻り、中間の間奏まで演奏した後、別途用意されたCodaに進む。

舞出し3

序奏は舞出2と同じ。次に太鼓のrollと笛によるRetitativo(オペラ等歌曲で明確なテンポが無く、語る様に歌われる部分)が続く。50小節目からのHigh Cの連続に伝統的奏法が用いられていないのは謎である。
次にC melodic minor scaleによる短調旋律(Ebを持つ)が出てくる。117-121小節間にはFが見られ、C Lydian scaleの構成音EF#EbFに代わっている。転旋である。これは扇を取れなかった師子の落胆を表現している。これに続いて再び師子に扇に興味を持たせよう励ます口取の軽快な旋律が奏され、これが繰り返される。師子の落胆の旋律部分は旋律は4/4拍子、太鼓は2/4拍子に聞こえる。しかし後続の曲で使用される際には旋律も2/4拍子に聞こえる。数ヶ所で用いられる落胆の旋律は明確に聞こえる箇所に揃えた。
こっこっこっで用いられた結句を経て次曲へ進む。

舞出し4

冒頭の間奏部分に6小節付加される。これは55-59小節目にも太鼓を伴わず現れるがそこでは1小節短い。舞出し3の冒頭の間奏が続き、Recitativoが繰り返され、舞出し3で現れた落胆と励ましの旋律が繰り返される。別途用意されたCodaへ至り、こっこっこっ、舞出し3で用いられた結句が奏され、次曲へ進む。

舞出し5

序奏部分の旋律は舞出し3と同じだが、太鼓は叩く拍数が増える。テンポが少し速い。
舞出し12で用いられた主要テーマ228小節目から、主要テーマ146小節目から再登場する。こっこっこっ、舞出し3で用いられた結句を挟み、舞出し34で用いられた落胆と励ましの旋律が続く。167小節目から新しい展開が見られる。167-1704小節から成るフレーズが低音域で2回繰り返され、続いてオクターブ上で奏され続いていく。口取が師子に噛みつかれる場面へ向かって盛り上がっていく。
212-216221-228のフレーズこの曲で初めて登場する。この後Recitativoが再び演奏され、こっこっこっ、舞出し3、本曲の中間で用いられた結句で非常にあっさりと終わる。
ここまでの一連の舞出し曲で用いられた主要テーマが全て登場し、扇をめぐる一連の演目がまとめられる。
舞出し24は其々の前曲で使われた主要テーマを構成を変えて繰り返すだけの曲であり、これといって独自性がない。

Explanation of lion dance 2

Music sheet from IMSLP

座附

笛だけで演奏される。序奏にははっきりしたテンポが無い様に聞こえるが、この後に続く主要部分とほぼ同じ速さのテンポで演奏される。途中2/4拍子が表れるが基本的に4/4拍子である。11小節目では演奏の表現上一時的にテンポを逸脱する。そこは3/4拍子で演奏されように聞こえる。
序奏後の2/4拍子から31小節目までが楽曲の主要テーマで、楽曲の終盤の109から133小節目で再現される。これらはJazzの様にSwingを伴って演奏される。
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小節目からの4小節の短いフレーズはSwingを伴わない。これはビデオの演奏で明確に吹き分けられている。
本曲の主要テーマは次曲のだんちょの主要テーマと旋律の流れが大変よく似ている。だんちょの主要テーマのモチーフの音価を部分的に伸ばせば座付の主要テーマになる。巻末に付した楽譜1の灰色部分が伸長された箇所である。座附という曲は元は序奏とだんちょの主要テーマを太鼓無しで演奏したものかもしれない。
座付の繰り返し箇所には雅楽で換頭と呼ばれる部分が用意されている。これは繰り返す時だけ演奏される。一方だんちょには複数の繰り返し箇所が設定されているがそれらは単純なである。
49から5292から9599から102小節にあるB-A-Gで構成されるモチーフは後続の曲でも用いられる。
本曲は後続の曲に用いられる要素を用いて作られている。この手法は西洋のオペラの序曲に見られる。

だんちょ

他の曲とは異なり序奏部分がない。太鼓の2小節のパターンで始まり、旋律が続く。主要テーマが座附のものと似ており、元々は座付の序奏の後に本曲が続き、1曲として構成されていたのではないか?後に座付を曲として切り出す際にだんちょをベースにしたのかもしれない。
33から53小節目までは舞上げの主要テーマである。ビデオの演奏では38-41小節間のフレーズは3小節で演奏されており、このテーマの繰り返し部分の33-50小節間で太鼓の2小節からなるリズムパターンと旋律の長さが合っていない。著者による校訂譜では39小節目のBの伸ばしを1小節延長してリズムパターンと旋律の長さを揃えている。太鼓のリズムパターンは舞上げとだんちょでは異なる。これが6回繰り返される。次に6/8拍子に突然変奏する。日本伝統音楽は2/44/42拍子系統の拍子から成る。6/8拍子は3拍子系統であり、本曲に日本伝統音楽以外の音楽の影響があったことを考えさせる。
59から62小節目までは座附に用いられたB-A-Gのモチーフである。
63から72小節からのRecitativoには後続の曲で用いられるフレーズ(69-71)が入っている。太鼓のrollはその前のパターンをacceldecrescしながら演奏する。

こっこっこっ

他地域で起こし舞と呼ばれる。序奏と本曲からなる。太鼓のリムを打つリズムが本曲のタイトルの由来と考えられる。それが鶏の鳴き声を表しているようにも聞こえる。
序奏には座附の序奏の前半をそのまま用い、本曲用の後半が付加されている。
主要部分は太鼓によって始まるが、そのリズムは本曲中のパターンではない。4小節目より本曲のリズムパターンが始まり、繰り返して演奏される。全曲中この曲の太鼓のみリムを打つ。
旋律はこのリズムパターンより遅れて始まる。要所ではリズムパターンが正確に合い、楽想を盛り上げる。例えば12小節目では旋律の頂点とリズムパターンが一致する。24小節目では6小節から成る旋律とリズムパターンが同時にスタートし、36小節目では旋律の3回目の繰り返しとリズムパターンの4回目の繰り返しが一致する。
40-42小節ではここまで一定していたリズムパターンが旋律に合わせて変更される。43小節目からパターンに戻る。4961小節は繰り返して演奏された時に注にあるように変奏される。
81小節目からの低音の旋律は花の舞の主要テーマに似ている。B-A-Gのモチーフが使用される。
108小節目から軽快で一定した、4小節から成るリズムパターンが始まる。この辺りから神事のための楽曲というようりも歌舞伎の楽曲ような印象に変わる。本曲前半のそれと比較すると単純である。旋律は区切りの良い長さなる。4小節間低音域を奏でた後、高音域へ移る。軽快なテンポを維持したまま、後続の曲でも用いられる結句をテンポに乗って奏し、途切れることなく次曲へ続く。太鼓は141小節目から次曲のリズムパターンを奏し始める。

Explanation of lion dance 1


基準音程

楠村神社で使用されていた獅子笛は405hz程度であり、周辺地域の箕田流の笛よりも高い。これらは昭和40年に奉納されたものであり、それよりも前の笛については記録がなくわからない。箕田流の獅子舞を伝承している地域によってピッチが異なる場合もある。名古屋市の菊田雅楽器が箕田流用の横笛を作っている。そのピッチは392hzである。
便宜上笛の指穴を全閉して得られる最低音をCとして論じる。

音階

全曲を通じてC Lydian scale(c d e f# g a b)が用いられる。これは雅楽でいう沙蛇調(d e f# g# a b c#)を全音下げたものに相当する。その他、一時的にC melodic minor scale(c d eb f g a b)が使われる。

楽曲構成

テンポのゆっくりな序奏とテンポの中庸な主要部分からなる。雅楽の楽曲にも見られる構成である。モチーフ、旋律は繰り返して用いられる。日本伝統音楽は主音と第4音を核音としてそれらの周囲を漂うように構成されるが、主要部分の旋律は主音と5度が軸になっており、トリル、前打音からなる装飾音を多数伴う点で西洋バロック音楽に近い。
主要旋律が定調的に繰り返されるので飽き易い。

リズムパターン

基本的リズムは笛と太鼓に共通している。太鼓のリズムパターンは2小節又は4小節で構成される。ビデオによってリズムパターンが異なる場合がある。

Explanation of Local lion dance

前書き

楠村神社の箕田流獅子舞には箕田流獅子舞にあった寝獅子と子獅子、飼い慣らしが伝承されていない。また矢(?)踊りが失われている。。
楠の獅子舞のビデオの演奏にはテンポが明示されていない部分にも内在するテンポがある。これはクラシックの演奏の中にも見られる。しかし演奏の水準は遠く及ばない。調律されていない笛での演奏を聴くのは非常に苦痛であり、磨き抜いた音楽性が破壊されていくようであった。
5線譜に採譜する際には笛の音程に多いに悩まされた。ビデオの演奏の基準音程はおおよそ405hzで現在の標準である440hzを基準とすると半音より低く、全音より高く、捉えにくい。その調律されていない笛による酷い音程と半端に鍛えられた不出来な演奏による混沌は筆者の気力を多いに削ぎ続けた。数日の書き採り作業の後、英気を取り戻すのに数ヶ月を要した。そうしてビデオの通りに譜に書き採ってみたものの、リズムが乱れている箇所が多数あり、曲の繰り返し箇所と回数はほとんど分からず、構成がつかめない状態であった。
そこで書き採った譜をコンピューターを使って整理することにした。コンピューターに演奏させれば楽譜の客観性を確保できる。再び混沌とした音楽を聞くことに大きな抵抗を感じつつも、ビデオを繰り返し見ながら非効率的な作業を進めた。
結果、ビデオにある全曲をほぼ完全に把握することができた。当初は太鼓のリズムを書き採ることが困難であった。これは笛の旋律と太鼓のリズムのズレが頻発しているからであった。旋律の整理が進むと太鼓のリズムを捉えることができるようになった。
ビデオの演奏が西洋音楽の演奏の基本的な水準に達していれば不要だったであろう苦労が満載した作業であった。筆者が現役で活動する演奏家だったらとてもこなせなかったであろう。その不出来な演奏が研ぎ澄まされた音楽性を破壊するからである。一方で民間に伝承されている音楽を研究できたのは貴重な経験だった。