11 Aug 2025

都々逸の旋法

都々逸をいくつか採譜してみた。

2/4拍子と思われるが、崩れている箇所が散見する例が多い。

旋法(音階)はフリギア旋法(phrygian mode)か、その構成音をいくつか省略した六音、又は五音音階である。

五音音階の場合は小泉文夫のテトラコルドの方が説明しやすい。松浪千尋、恩田愛はフリギア旋法の方が説明しやすい。

歌の末尾で旋法の第2音が長2度になり明るく響く。終止のために一時的にエオリア旋法(Aeolian mode)の第2音を借用しているか。

似た例にはピカルディ終止というのがある。これは短調の曲が、その末尾で長三和音で終止する。Aeolian modeの曲がIonian modeの第3音を借用して終止している様なものか?

小泉理論で言えば、旋法下部分の都節のテトラコルドが、律のテトラコルドに変化して明るく響くというところか。


Wikipedia:都々逸にはリズムについて次の様に書かれている。

七・七・七・五はさらに(三・四)・(四・三)・(三・四)・五という音律数に分けられることが多い。この構成だと、最初と真中に休符(英語版)を入れて四拍子の自然なリズムで読み下せる。

例えば、先の唄なら、

△こいに こがれて なくせみ よりも△

△なかぬ ほたるが みをこが す△△△

となる(△ が休符)。なお、この最初の休符は三味線の音を聞くため、との説がある。

実演の場合、合の手の三味線が入るので句毎に間が設けられており、第1句と第2句の間にも間がある。


7775の音数律である。この形式には先例がある。

投節、弄斎節、甚句、潮来節、よしこの節、名古屋節(「どどいつどいどい」はこれ由来)


「潮来節」からその変種の「よしこの節」が生まれ、さらにこの変種として名古屋節の合の手を取り込んで「都々逸」が生まれたらしい。誰でも歌える様に簡単な節回しにされたらしい。


甲南女子大学で都々逸の資料が翻刻されている。

https://www.konan-wu.ac.jp/~nichibun/kokubun/54/54kikuchi.pdf

菊池先生のサイト

http://www.kikuchi2.com/dodo/dodosekai.html