7 Mar 2019

Explanation of lion dance 2

Music sheet from IMSLP

座附

笛だけで演奏される。序奏にははっきりしたテンポが無い様に聞こえるが、この後に続く主要部分とほぼ同じ速さのテンポで演奏される。途中2/4拍子が表れるが基本的に4/4拍子である。11小節目では演奏の表現上一時的にテンポを逸脱する。そこは3/4拍子で演奏されように聞こえる。
序奏後の2/4拍子から31小節目までが楽曲の主要テーマで、楽曲の終盤の109から133小節目で再現される。これらはJazzの様にSwingを伴って演奏される。
54
小節目からの4小節の短いフレーズはSwingを伴わない。これはビデオの演奏で明確に吹き分けられている。
本曲の主要テーマは次曲のだんちょの主要テーマと旋律の流れが大変よく似ている。だんちょの主要テーマのモチーフの音価を部分的に伸ばせば座付の主要テーマになる。巻末に付した楽譜1の灰色部分が伸長された箇所である。座附という曲は元は序奏とだんちょの主要テーマを太鼓無しで演奏したものかもしれない。
座付の繰り返し箇所には雅楽で換頭と呼ばれる部分が用意されている。これは繰り返す時だけ演奏される。一方だんちょには複数の繰り返し箇所が設定されているがそれらは単純なである。
49から5292から9599から102小節にあるB-A-Gで構成されるモチーフは後続の曲でも用いられる。
本曲は後続の曲に用いられる要素を用いて作られている。この手法は西洋のオペラの序曲に見られる。

だんちょ

他の曲とは異なり序奏部分がない。太鼓の2小節のパターンで始まり、旋律が続く。主要テーマが座附のものと似ており、元々は座付の序奏の後に本曲が続き、1曲として構成されていたのではないか?後に座付を曲として切り出す際にだんちょをベースにしたのかもしれない。
33から53小節目までは舞上げの主要テーマである。ビデオの演奏では38-41小節間のフレーズは3小節で演奏されており、このテーマの繰り返し部分の33-50小節間で太鼓の2小節からなるリズムパターンと旋律の長さが合っていない。著者による校訂譜では39小節目のBの伸ばしを1小節延長してリズムパターンと旋律の長さを揃えている。太鼓のリズムパターンは舞上げとだんちょでは異なる。これが6回繰り返される。次に6/8拍子に突然変奏する。日本伝統音楽は2/44/42拍子系統の拍子から成る。6/8拍子は3拍子系統であり、本曲に日本伝統音楽以外の音楽の影響があったことを考えさせる。
59から62小節目までは座附に用いられたB-A-Gのモチーフである。
63から72小節からのRecitativoには後続の曲で用いられるフレーズ(69-71)が入っている。太鼓のrollはその前のパターンをacceldecrescしながら演奏する。

こっこっこっ

他地域で起こし舞と呼ばれる。序奏と本曲からなる。太鼓のリムを打つリズムが本曲のタイトルの由来と考えられる。それが鶏の鳴き声を表しているようにも聞こえる。
序奏には座附の序奏の前半をそのまま用い、本曲用の後半が付加されている。
主要部分は太鼓によって始まるが、そのリズムは本曲中のパターンではない。4小節目より本曲のリズムパターンが始まり、繰り返して演奏される。全曲中この曲の太鼓のみリムを打つ。
旋律はこのリズムパターンより遅れて始まる。要所ではリズムパターンが正確に合い、楽想を盛り上げる。例えば12小節目では旋律の頂点とリズムパターンが一致する。24小節目では6小節から成る旋律とリズムパターンが同時にスタートし、36小節目では旋律の3回目の繰り返しとリズムパターンの4回目の繰り返しが一致する。
40-42小節ではここまで一定していたリズムパターンが旋律に合わせて変更される。43小節目からパターンに戻る。4961小節は繰り返して演奏された時に注にあるように変奏される。
81小節目からの低音の旋律は花の舞の主要テーマに似ている。B-A-Gのモチーフが使用される。
108小節目から軽快で一定した、4小節から成るリズムパターンが始まる。この辺りから神事のための楽曲というようりも歌舞伎の楽曲ような印象に変わる。本曲前半のそれと比較すると単純である。旋律は区切りの良い長さなる。4小節間低音域を奏でた後、高音域へ移る。軽快なテンポを維持したまま、後続の曲でも用いられる結句をテンポに乗って奏し、途切れることなく次曲へ続く。太鼓は141小節目から次曲のリズムパターンを奏し始める。