前波仲尾著「復元された古事記」は古事記がシュメール語とテュルク語で解読できるという内容の本。
昭和17年に出版しようとしたが、不敬罪で捕まる恐れから出版しなかった。1988(昭和63)に復刻されている。
国会図書館の検索では出てくるが、デジタルコレクションで読めなかったので、遠隔コピー(pdf)を頼んでいたら、謝絶だった。しかしデジタルコレクションの個人送信サービスで読めた。
猿田彦がどのように描かれているが興味があった。
p.127から猿田彦が登場する。下記の原文の意味は漢字とは全く異なっている。
居天八街 ザチマ(薩摩)国
上光高天原 〜を煽動して
下蘆原中國 同じ族類を
光 暴略して回った
以下、該当箇所を読んで、自分なりに現代文にした。
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1つの種族が複数の都市国家を建設している蘆原中國に王を派遣し、全ての都市国家を臣下とするという天神に対し、その王の息の根をとめてやる!と猿田(Sard テュルク族)は息巻いた。
ザチマ国を煽動して、同じ種族を暴略してまわったことに土豪達は狂い立った。
天神と高木は、売春婦でもある歌舞女に命令する。
「お前は、女に飢えている男に取り入って言いなりにしてしまえる女だ。色事を仕掛けて誑し込め!」
歌舞女は出かけて行き、「ここに住み着き、我が皇子の邪魔をしに来るのは誰だ!」と問うた時、
「我は土豪の猿田(Sard)。我が國に皇子を王として下らせるという決定をしきりに聞き及ぶ。皇子を取り囲んで叩きのめすのは止めさせるから、条約を結ぼう。」
若い歌舞女は裾をはだけて、肉付きの良い性器を露わにし、まぐわうために王に近寄った。(この部分は古事記には無く、日本書紀にある)
(天神と高木)「歌舞女よ、たらし込み、攻撃を止めさせたその才能に感謝する。猿田に仕え、色事し、絞め殺せ。その後釜に、お前を領主としてやろう。そして猿女(Sarma)と名乗れ。」
それで、表向きには猿田と恋愛関係になり、同棲し、飾りの釣り紐で死力を尽くして、吊るし、死刑に処した。争い騒ぎ、鈴が音を立てて、最後に息の根を止めた。
全聴衆である「黒」に対して(歌舞女)「猿田を絞め殺した。(お前達は)移動するか、それとも殺されるか?」
「天神の皇子と呼ぶ統治者を追い出すか、(自分たちが)立ち退くか?」
多数の諸部族はその申し出に我慢し、引き下がった。「黒」は返答しなかった。
歌舞女は「黒」に言った。
「この黒は答えない」
小刀を以って、「黒」を脅迫した。
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日本語として読むよりも現実的な描写になっている。著者が使用したスメル語、テュルク語辞書とはどんなものだったのか?
「黒」がナマコ。吉川「シュメール語辞書データベース」では「nigin」に対する訳語がたくさんあり過ぎる。シュメール語には同音異義語が大量にあるらしい。
万葉仮名の当時の読み方は復元されているようなので、それに基づいてシュメール語を探すことが現在はできる。
自分の実力では全く検証できない。
Sardをアッカド帝国のサルゴン王とする説とは合わない。
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