7 Aug 2021

雅楽の古譜を読む:団乱旋

 ”とらんでん”

この曲は序が数回繰り替えされる。その序が一定の拍子がある部分+一定の拍子がない部分(通常の序)で構成されているのが珍しい。

この曲は壱越調に属している。その調で読んで音源にしたのが下の動画。

D Mixolydian / 壱越調

以前に読んだ時は琵琶の譜の調性に合わせていたのでD Lydianだった。

今回は笙の譜面を読んだ。それはD Mixolydianで書かれていた。

壱越調はD Mixolydian。この曲はその調に属するのでD Mixolydianで演奏されるハズ。

今回の動画ではD Mixolydianで演奏させている。冒頭と入破が特におかしいと思う。Natural Cに違和感がある。旋律旋がスムーズでないし。

C#に変更すると聞きやすくなる。特に入破の前半部分。CとC#を交互に使いわける曲なのではないだろうか?

そういった例として喜春楽がある。


CとC#を使い分けたりして実験してみた結果、C#を専ら使ってD Ionianで演奏させると明るい曲調が全体的に維持されることがわかった。

D Ionian


この曲を最初に読んだ時は、琵琶がD Lydian / 沙陀調で書かれていたので、D Lydianで音源を作っていた。

D Lydian

この団乱旋という曲は元は中華曲ではないのでは?
タイトルも中華曲っぽくないし。仕立て直したものか?
壱越調の大曲の2曲目が壱越調から外れているのは意外だった。日本の雅楽の調性は中華の学理にのっとっているが、伝来して残存し、まとめられるまで残った楽曲はその中華の学理で作られたものだけではなかったということか。