三五要録では拍子12、天王寺は拍子6を用いる。林邑八楽の一つとある。
教訓抄に詳しい説明がある。現代語で抜粋。
拍子13とあり、急として演奏する。破は新蘭陵王の破を用いる。拍子12を奈良様、拍子4を天王寺とする2説がある。2回繰り返して1帖。舞い人12人が輪を作る。当曲を馬頭の拍子で3回吹く。1回繰り返した後拍子を上げる。演奏は3回繰り返して舞いは1回。盾を持ちながら剣を抜いて舞う。
秦王楽に粗く似る。
建仁3年東大寺の供養で忠拍子で舞った。楽拍子でやりたかったが、笛吹きが楽拍子の説を知らなかった。
p.178 に笛譜に太鼓をつけたものが掲載されているが、龍笛要録譜とは異なる。音符の並びから冒頭の部分であろうと思われる。繰り返して演奏されるこの曲の冒頭は初めの1回目しか演奏されない。そこに太鼓が書かれているということは拍子が上がってからは馬頭の拍子を当てるべきなのか?
仁智要録に2つの版が収録されているが、どちらも楽拍子ではないように聞こえる。仁智要録が編纂された時には2通りの演奏が伝わっていたのだろう。
三五要録、には1つの版しか収録されていない。
三五要録の倍鱸太鼓の6拍目の譜字は林謙三の琵琶譜新考(p.78)によると親指を用いることを示している。第1弦2柱のGを親指で押さえることと思われる。
懐中譜よりも六調子及高麗曲譜の方が小拍子の位置が明確にわかるのでこちらを採用した。”ノ”の譜字は同じ音を示すと思われる。
教訓抄p.178の太鼓は繰り返した際に拍子を上げた時のものか?それにしては冒頭の旋律に太鼓が付いているのはおかしい。今回の音源には完全ではないがなるべく合わせた。
前回の弄槍とこの倍臚は両方とも魅力的ではない。
弄槍は棍、倍臚は剣を用いる武術系の舞いでおもしろいのはないだろうか?
参考文献
- 仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
- 三五要録 宮内庁書陵部 伏931
- 六調子及高麗曲譜 宮内庁書陵部 伏808
- 竜笛要録譜 宮内調書陵部 鷹609
- 教訓抄 日本思想体系 岩波書店
- 琵琶譜新考 林謙三 1964