「〇〇権現(ごんげん)」と呼ばれる神は、神仏習合の時代において、仏教の影響を受けた神道の神々です。権現とは、仏教における菩薩や如来が日本の神の姿を借りて現れるという考え方に基づいています。以下に代表的な権現を列挙します。
### 代表的な権現
1. **熊野権現(くまのごんげん)**
- 主祭神:熊野三山の三社(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)に祀られている神々(伊邪那岐命、伊邪那美命、素盞嗚命など)。
2. **日光権現(にっこうごんげん)**
- 主祭神:日光東照宮の徳川家康(東照大権現)や二荒山神社の大己貴命、田心姫命、味耜高彦根命。
3. **白山権現(はくさんごんげん)**
- 主祭神:白山比咩神社の菊理媛命(くくりひめのみこと)、伊邪那美命、大己貴命。
4. **金比羅権現(こんぴらごんげん)**
- 主祭神:金刀比羅宮の大物主神(おおものぬしのかみ)、崇徳天皇(すとくてんのう)。
5. **浅間権現(あさまごんげん)**
- 主祭神:浅間神社の木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。
6. **八坂権現(やさかごんげん)**
- 主祭神:八坂神社の素盞嗚尊(すさのおのみこと)。
7. **天神権現(てんじんごんげん)**
- 主祭神:菅原道真(すがわらのみちざね)。天満宮などに祀られる。
8. **厳島権現(いつくしまごんげん)**
- 主祭神:厳島神社の市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。
9. **春日権現(かすがごんげん)**
- 主祭神:春日大社の武甕槌命(たけみかづちのみこと)、経津主命(ふつぬしのみこと)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、比売神(ひめがみ)。
10. **五所権現(ごしょごんげん)**
- 主祭神:五所神社の大山祇命、事代主命、速玉男命など。
### 権現信仰の背景
権現信仰は、平安時代から鎌倉時代にかけて盛んになり、日本の神々が仏教の仏や菩薩の化身として現れるという思想が広がりました。この考え方により、日本古来の神々が仏教的な要素を取り入れ、神仏習合の形で信仰されるようになりました。明治時代の神仏分離令により、多くの権現は純粋な神道の神として再定義されましたが、権現という呼び方は今でも一部の神社で使用されています。
続いて権現の列を挙げてもらった。
以下に、「〇〇権現」と呼ばれる神々を、上記で挙げたもの以外で列挙します。ただし、「全て」を挙げることは難しいため、代表的なものを追加で挙げます。
### 追加の代表的な権現
1. **青龍権現(せいりゅうごんげん)**
- 主祭神:青龍(せいりゅう)、東方の守護神。
2. **金剛権現(こんごうごんげん)**
- 主祭神:金剛蔵王菩薩(こんごうざおうぼさつ)。奈良県の吉野山金峯山寺に祀られる。
3. **愛宕権現(あたごごんげん)**
- 主祭神:伊弉冉尊(いざなみのみこと)。愛宕神社に祀られる火防の神。
4. **金時権現(きんときごんげん)**
- 主祭神:坂田金時(さかたのきんとき)、別名金太郎。静岡県の金時山に祀られる。
5. **弁財天権現(べんざいてんごんげん)**
- 主祭神:弁才天(べんざいてん)、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。
6. **龍神権現(りゅうじんごんげん)**
- 主祭神:龍神(りゅうじん)。龍神信仰がある地域に祀られる。
7. **箱根権現(はこねごんげん)**
- 主祭神:箱根大神(はこねのおおかみ)。神奈川県の箱根神社に祀られる。
8. **蔵王権現(ざおうごんげん)**
- 主祭神:蔵王権現(ざおうごんげん)、金剛蔵王菩薩。奈良県の金峯山寺や宮城県の蔵王山などに祀られる。
9. **長谷権現(はせごんげん)**
- 主祭神:十一面観音(じゅういちめんかんのん)。奈良県の長谷寺に祀られる。
10. **妙見権現(みょうけんごんげん)**
- 主祭神:妙見菩薩(みょうけんぼさつ)。妙見信仰に基づく神社に祀られる。
11. **玉前権現(たまさきごんげん)**
- 主祭神:玉依姫命(たまよりひめのみこと)。千葉県の玉前神社に祀られる。
12. **鞍馬権現(くらまごんげん)**
- 主祭神:毘沙門天(びしゃもんてん)、千手観音(せんじゅかんのん)、護法魔王尊(ごほうまおうそん)。京都の鞍馬寺に祀られる。
### 参考文献
- 「神道辞典」:国学院大学日本文化研究所編
- 「神仏習合の研究」:村上重良著
- 「日本の神々 - 神社と聖地」:谷川健一編
これらの参考文献は、権現信仰や神仏習合の詳細な背景と事例を提供しています。