林邑八楽の一つ。沙蛇調はLydianなので教会旋法中最も明るい音階と言える。その音階で作られた曲がご機嫌に響くのが当たり前。
京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターによる復元の演奏。序のゆったりとした雰囲気を破るような曲調のはずなのだが。このテンポでは入破の意味わかってないように聞こえる。
沙蛇調が壱越調に吸収されたのは笛吹きのレベルが下がって、沙蛇調に出てくる派生音を吹けなくなったからではないか?笛が音孔が大きすぎてクロスフィンガリングを用いても派生音を正確に鳴らせない性能になってしまったからでは?
演奏は話しにならないのだが、知識や説明の方は学ぶところが多い!!知識はあっても体現できない演奏の腕前、そんなレベルが大学の研究センターという現実には非常に残念。研究自体はおもしろいのだから、その知的レベルに相応する演奏の腕前で発表してほしい。
仁智要録をそのまま演奏すればご機嫌に響くはずなのだが?調をあらかじめ想定しておけば笛の譜字を沙蛇調の音に鳴らせるのではないか?
この曲に限った事ではないが、龍笛自体が最低音がDでないものが用いられている現在の状態では古譜を忠実に再現できるとは思えない。江戸時代初頭の宮中雅楽復興の時点から間違っていると思う。
長秋卿竹譜にこの曲は載っていないので単純に比較できないが、最も古い譜は込み入って書かれてはいない。
各楽器がシンプルな旋律に装飾を加えて弾いたのは、ソロがあてがわれていたからではないのか?大家龍笛要録譜が込み入って書かれているのは、それを基本にして合奏したからとは考えられない。あまりに複雑過ぎて他のパートが真似できないからだ。