現在の宮中の雅楽にはない廃絶曲。
信西古楽図に絵が載っている。獅子舞など二人の舞い手で1弾きの4足獣を演じる子馬形の一つ。雅楽には他に獅子、狛犬、狛竜があった。獅子は伎楽から独立して残ったものと思われる。
神社にある狛犬は社に向かって左が狛犬で右が獅子。狛犬は本来頭に一本角があった。現在では獅子と狛犬のが混ざって分からなくなってしまい、獅子の石像を狛犬と呼んでいる。
仁智要録と三五要録には2つのバージョンが収録されており、前者は4拍子で只拍子と思われる。後者は楽拍子と説明がある。平安時代末期には楽拍子の方が一般に演奏されたらしい。原曲は只拍子と思われる。楽拍子は行進曲のように一定のテンポを刻みつづける。メロディはそれに合うように工夫され、元の滑らかな旋律から離れている。
竜笛要録譜と懐中譜には8拍子の楽拍子の楽譜のみ掲載されている。
竜笛の譜は箏の旋律から割と離れている。篳篥は箏の旋律の変奏ということが分り易い。
古譜にある旋律を同じに演奏させるとごちゃごちゃで聞けたものではない。やはり其々の楽器がソロをとって変奏を披露していた、もしくは即興していたと思われる。
パーカッションには三度拍子を用いた。延八拍子らしいがテンポをゆっくりに設定してもおもしろくない。
テーマは箏の旋律からとった。他の楽器へはユニゾンで割り当て、音域内に収まるよう適宜オクターブ上げ下げしている。
今回の構成
構成
1. テーマ(箏の旋律をユニゾン)
2. 箏と琵琶(古譜にある通り)
3. 竜笛(古譜にある通り。琵琶は箏の旋律)
4. 篳篥(古譜にある通り。琵琶の箏の旋律)
5. テーマ
6. 楽拍子 テーマ(箏の旋律をユニゾン)
7. 篳篥(古譜にある通り。琵琶の箏の楽拍子の旋律)
8. 竜笛(古譜にある通り。琵琶の箏の楽拍子の旋律)
9. 琵琶(古譜にある通り)
10. 合奏(古譜にある通りの音を同じに演奏)
11. テーマ(箏の旋律をユニゾン)
参考文献
• 仁智要録@宮内庁書陵部 伏865
• 三五要録@宮内庁書陵部 伏931
• 懐中譜@東京国立博物館 和1368
• 竜笛要録譜@宮内庁書陵部 鷹609
• 教訓抄 日本思想体系 岩波書店